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らん豚女神と縛りプレイ  作者: ジェームズ・リッチマン
第三章 討つは奴への猜疑心
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このくらいじゃケモいとは言わない


「えっ、家畜用馬車?」

「そうみたい。大人しいモクトーン達に囲まれて、結構楽しくやってるらしいわよ」

「……なんだそりゃ」


 コヤンがお馬さんに尋ね、それを伝言方式で前へ前へと送っていったところ、ペトルの安否が確認されたらしい。結構簡単な方法である。

 どうやらあのお騒がせ女神さんは4つほど先の、家畜用の馬車にいるのだとか。

 なんでそうなった。


「よかった……ペクタルロトルさん、一緒にいるのですね」

「人騒がせな奴だな……まぁ、置き去りとかじゃなくて何よりだよ」


 こういったトラブルに備えて、馬車同士はある程度言葉のやり取りができるらしい。

 そりゃまぁ、病人が出たり何らかの連絡事項が生まれた時の事を考えれば、常にそういった連絡のラインを確保しておくというのは常識だ。

 ただ、今もなお走ってる馬自身がその連絡役を努めるっていうのは、あまりにも意外だったが……。


「ありがとうコヤン、助かった」

「いやいや、大事ないようで良かったよ」

「ありがとうございます!」


 俺の好感度が4くらい上がったけど、クローネの方は多分50くらい上がっているのかもしれない。

 もちろん俺の4っていうのはかなり感謝してるので気を悪くしないでほしい。感謝の気持ちをケチってるわけじゃないです。


「それにしても、豚の貨物と一緒にしばらく走るっていうのは……辛そうねぇ」

「……いや、ペトルなら多分楽しんで乗ってるんじゃないかな」

「ええ、そうなの? モクトーンと一緒に楽しむって……うーん……」


 コヤンは獣人だが、魔獣としての豚などに対して同族意識はないらしい。一般的な女の子が感じるようなソレだ。

 しかしペトルの方はといえば、よほど気持ち悪いフォルムのもので無い限りはどんな生物が相手でも馴染んでしまえそうである。

 食料用の豚だろうし、ひとまず心配しなくても大丈夫だろう。


「ま、肩の荷が降りたところでさ。立ちっぱなしというのもなんだし、ゆっくり座りながらお話してましょうよ。旅は長いんだから」

「おう、そうするかぁ」


 コヤンの提案で、俺とクローネも腰を下ろす。

 騒々しいスタートだったが、旅はまだまだ始まったばかりだ。


 馬車の揺れは腰に悪いので、なるべく楽な姿勢を保ちながら到着時に備えておくとしよう。




「へえ、やっぱり光輝神の聖地へ向かうんだ」

「まぁな。ちょっとそっちの方ですっぽかせない用事があってな」


 割りとまじですっぽかせないから怖い。


「宣教師さんは光輝神も信仰しないといけないから大変よね。……あ、私は一応商神の聖地でちょっとした商売をやろうと思ってるんだけどね……」

「商売って……どこかに積み荷でもあるのか? そんな風には見えないけど」


 この馬車の中には幾つかの木箱があるだけで、他に荷物らしいものはない。

 他にコヤンが持っているものといえば、彼女が背負う背嚢くらいだろうか。


「ふふん。私はこの背嚢がひとつあればそれで大丈夫な商人なのよ」


 コヤンは背負ったリュックサックをこちらに向けて、ドヤ顔を決めた。

 どこにでもあるような革のリュックを見せつけるついでに、大きな尻尾がフワリと揺れた。

 どちらかというと、地味なリュックよりも視線がそっちに行ってしまう。


「もしや……それは神の背嚢でしょうか?」

「おお、さすがは宣教師様! いかにも、私が持つスキル“神の背嚢”の恩恵により、私が身に付ける背嚢は限りない容量を得ているのよ!」

「おー! アイテムパックみたいなものか!」

「……? ふふん、凄いでしょう!」


 カルカロンの貨幣袋を見た時から薄々あるんじゃないかとは思っていたが、やはりこの世界には無限の道具袋があるようだ。

 剣でも盾でも大量にしまうことができ、薬草99個とポーション99個なんていう万全の状態を整えることのできるという、まさに神の道具。

 憧れの主人公アイテムをお目にかかれる日が来ようとは……。


「本来なら祭器神ロウドエメスをかなり信仰し続けていないと手に入らないスキルなんだけど、技神の信仰を始めた時に運良くこのスキルをもらってね」

「……ああ、技神ミス・キルン? 信仰した時にスキルをもらえるっていう」

「ま、こればかりは運命よね! このスキルを下賜された時に思ったわ。“ああ、私は大商人になるために生まれてきたんだ”、ってね!」


 自分の持つスキルを誇らしげに話すコヤン。

 要はタダで運良くもらったスキルなのであるが、それがアイテムパックともなれば素直に羨ましいし凄いとも思ってしまう。


 俺も何か欲しいなぁ、スキル……。

 でもミス・キルン信仰しないともらえないんだよな……無理だわ……。


 ペトルって何かスキルくれないのかな……?

 いや、無理そうだな……あいつそもそもスキルとか知ってるかどうかも怪しいしな……。


「それで、あんたはどんなスキルをもらったのよ?」

「え?」


 まじか、ここで俺に話題振ってくるのか。いや、結構当然の流れだったけど。


「剣士だから……やっぱり刀装神のスキルとか? 戦闘系のやつ?」

「いや……」

「なによなによ。良いじゃないのぉ、教えてくれたってさ」


 ぐいぐいと肘を押し付けられても、正直答えに困窮してしまう。


 俺のスキル、俺のスキル……ああだめだ、思い返してみても俺ってスキル一つも持ってないじゃん。

 今まで使ってきたのが全部スキルカードだったから意識してなかったけど、俺自身が素で使える能力っていうと何も無い。


「バ……」

「ば?」

「バインダー・オープン……とか?」

「……それ、スキルじゃないわよ」


 あ、やっぱそうだよね。知ってたけど。


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