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らん豚女神と縛りプレイ  作者: ジェームズ・リッチマン
第二章 無知と未知への恐怖心
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異教徒でも無闇に殴ってはいけない


「ここは宿場町で、教会もないのですが、多くの祭壇や礼拝堂があるのです」

「へえ、礼拝堂……」

「おほー」


 小腹も満たされたところで、俺達はクローネを先頭に町を歩いていた。

 といっても、さすがに宿場町であるためか、人気は少ない。

 昼なので多少は賑わっているのだろうが、さほど人が多いわけでもなく、町の雰囲気もメイルザムに比べると随分と牧歌的だ。


「若い子ちゃんたち、お茶いかがかね?」


 それに、さっきから随分とお茶屋の爺さん婆さんから声をかけられる。

 お茶ってのは多分、緑茶じゃなくてあの甘いやつなんだろうな。

 けど、久々に食べた肉の後味の余韻に浸りたいので、今はパスだ。


「チェスザムにある信仰施設は、光輝神ライカールの礼拝堂、教布神エトラトジエの祭壇、慈聖神フルクシエルの祭壇、耕穣神モビーの祭壇……メイルザムなど大きな街にはさすがに負けますが、様々な種類があるので、暮らす分には不便がありません」

「随分と沢山あるんだな……」

「自らの信仰する神々への祈りは、定期的に行わなければなりませんから……住む場所に祭壇などがなければ、隣町に足を運ぶ必要があります」

「うわ、そりゃ大変だ」

「珍しいことではありませんよ? だから、こうして中継地点の宿場町が発展するのですから」

「……なるほど」

「まぁ、それでも遠出をするのは苦労しますから、私達宣教師が出向いて『光の祭壇』による簡易的な専用祭壇を作り出すことの方が多いんですけど」


 しかし、あまりポピュラーじゃない神様を信仰していると、さすがに定期的なお祈りとやらが面倒くさそうだ。

 俺は最初に軽々と剣の神様を信仰しそうになっていたが、もしもクローネがいなかったらってことを考えると、ある意味信仰できなくてよかったのかもしれんね。


「ああ、ありました。ここが教布神(きょうふしん)エトラトジエの祭壇です」

「おおー……おお?」

「おほ……?」


 そうこう話しているうちにクローネが立ち止まったのは、道端にどでんと配置された大きな石の前だ。

 石は立方体で、側面にこそそれっぽい簡素な彫刻が施されていたが、上面はまっ平ら。ひょいとジャンプして腰をかけるには丁度よさそうな台である。


「これが祭壇?」

「しかくい」


 失礼かもしれないが、遠目に見た時は“あー誰かのお墓なのかなー”としか思えなかった。

 屋根も無ければ立て看板で自己主張がされているわけでもないし、言われて初めて気付くレベルである。


「お、お二人共失礼ですね……確かに教布神は一般の方々にはあまり人気の無い神ではありますが、各地を回る宣教師達にとっては重要なものなのですよ」

「ほへー」

「ぺ、ペクタルロトルさん……確かにペクタルロトルさんには下々の話かもしれませんけどね……」


 クローネさんよ、あまりペトルを偉い人扱いしすぎると、後々苦労するぞ。

 今も充分に苦労してるように見えるけど。


「クローネは、教布神を主信仰にしてるんだっけ」

「え、あはい。エトラトジエ主信仰です。宣教師ですからね」

「じゃあエトラトジエっていう神様がどんな姿をしてるのかって、わかるか?」

「姿……ですか?」

「ああ。ペトルを見てたら、なんだか気になってな」

「おほ?」


 ペトルは何の話かと頭を傾け、整った金髪をサラリと流した。

 あどけない表情は相変わらず、神様には見えない。


 俺はこのペトルの他にも、二つの神と出会っている。

 万神ヤォと、暗神ザイニオルだ。

 既に三種類の神様の姿をこの目にしている俺なのだが、他の神様も実際に目にする機会はあるのだろうかと、ちょっとだけ気になったわけである。


 そこにはわずかに、ものすごく美人な女神様とも会えるんじゃないかなーって下心もあったのだが、もちろん理由はそれだけじゃないので。うん。


「……一般的に、信仰は深まれば深まるほど、人の霊力は高まります」

「ほう。霊力が高まる……」

「逆に言えば、霊力が高いほど神に近いとも言えますね。実際、霊力の高い人は神の啓示やお告げを聞くときにも、その言葉をはっきりと聞き取ることができますし」

「姿を見るのも、霊力が高ければ?」

「はい……実際に見れることも、あるのではないかと。ここまで説明して気づいているかもしれませんが、人が神を実際に目にするということは、ほとんどありません。なので私もフルクシエルの姿は、人の想像上の画でしか……」

「やっぱりか」


 まぁ当然だよな。俺もお稲荷様見たこと無いし。


 ……あれ? でもおかしいな。


「えっと、クローネ。じゃあ神様の言葉を聞くときって、クローネならどう聞こえてる?」

「声ですか? ……そうですね、啓示やお告げなどは、とぎれとぎれで、辛うじて意志が伝わってくるというか……その程度でしょうか」

「はっきりと聞こえるっていうことはない?」

「……どういう意味ですか?」

「こうして会話をするみたいな……」

「そんなことあり得ませんよ。そこまではっきり聞こえたら怖いです」

「あ、そうなんだ……」


 どうやら、神様の声というものははっきり聞こえるものではないらしい。

 朧気に、心の中に語りかけられるようなものであるらしいのだ。


 ……けど、俺は符神ミス・リヴンにお願いごとをした時、結構はっきりと聞こえたような気がするんだが……。




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