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らん豚女神と縛りプレイ  作者: ジェームズ・リッチマン
第三章 討つは奴への猜疑心
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眠いんでサブタイは後で考えます

 リージョンコテージの実験を行うため、俺達はカルロニアの城壁外周部までやってきた。

 外周部。まぁ、“外”とはいっても壁の内側である。野生のなんぞが襲いかかってくる心配は低いだろう。

 そこは門から離れた外側ということもあり、住宅地ではあっても空き地の多い場所のようだ。

 地面に落ちた木片や石片、打ち捨てられた朽ちた家屋など、スラムっぽい雰囲気も漂っている。

 ……若い女三人を連れてくるような場所ではないが、まぁ他に使えるような場所もないのだ。仕方あるまい。


「ここらへんなら大丈夫かね」

「はい、問題ないかと」


 クローネが太鼓判を押すなら問題ないのだろう。

 まぁ、人も見ていないし……オンボロ建築群の中にもう一つオンボロ建築が出来たところで、誰も気にしないか。ミニチュア見る限り、ただの物置みたいだもんなコレ。



名前:リージョンコテージ

系譜:万神ヤォ、光輝神ライカール、祭器神ロウドエメス、閉錠神ギムターム

意義:複数人の使用者が霊力を注ぐことで人数分の簡易住居になる。日の出と共に解除される。

現所有:ヤツシロ・ランバチ

前所有:カジー・バドロブ



 プレイジオの欠片によって投射された説明はこんな感じだった。

 前所有者の名前がなんか胡散臭かったが、まぁそれは関係ないので良いとしよう。

使い方は至って簡単で、このミニチュアに霊力を注ぎこむだけでいいのだそうだ。気持ち的には、息を吹き込んで膨らませるのとあまり変わらない。


 三人でリージョンコテージを中心にして輪になる。

 これだけ見ると皆で一気にワープしそうであるが、やるのは家の作成だ。

 ちなみにペトルは隅っこの方に離れさせている。こいつはどうも、自分から霊力を出すのが嫌らしいので。


「さて、んじゃ念の為に同時に、タイミングを揃えて注いでみるか」

「はい」

「わかったわ」

「よし、いくぞ……3、2、1、0!」


 カウントダウン完了と同時に、念の為に多めの霊力を注ぐ。

 すると自分の中から力がするっと抜け出ていくのを知覚すると同時に、リージョンコテージが淡い輝きを放つのがわかった。


「お、おお?」

「きゃっ」


 クローネの目つきに似合わない可愛い悲鳴が上がる。

 コヤンは特に声を出していないが、ズザッと勢い良く後退した上に尻尾がすごい動きをしている。


 だが、二人が驚くのも無理は無いだろう。

 俺だって、呆けすぎていて反応できなかったくらいなのだから。


「まじか」

「こ、これは……本当だったんですね」

「うわー……すごいわね。こうなるんだ……」


 リージョンコテージから一瞬、光の膜のようなものが広がったかと思ったら、なんとそれは俺達を包む小屋になっていた。

 驚くべきことに、コテージは俺達を屋内に内包する形で出現したのである。


「おほ……おじゃまします……」


 俺達が感動にちょっとだけ唖然としていると、入り口からペトルがよそよそしい感じで入ってきた。

 変な空間に閉じ込められでもしたのかと錯覚したが、どうやらしっかり外と繋がっているようだ。当たり前か。


「……風もないですし、古めかしくはありますが、造りは思ったほど悪く無いですね」

「広さもまぁ……良い感じじゃない? 四人で寝泊まりすることを考えるとちょっとキツいかもしれないけど」


 少々手狭に感じるのは、三人の霊力で作った部屋に4人入ったからだろうか。寝るときは川の字になるしかなさそうだ。

 いや、しかしこれは思ったよりもすごいぞ?

 結構頑丈そうな感じがするし、雨風も凌げそうだ。これが次の朝まで残っているなら、十分上等なテントではないだろうか。


「これは……ヤツシロさん、かなり便利な神器を手に入れたかもしれませんね」

「おお、だろ? そうだろ?」

「そうね、悪くない。予想外の露営の時なんかは、これがあるだけでもかなり心強いと思うわ」


 二人からの反応も上々である。

 どうやらこの簡易コテージを、それなりに気に入ってもらえたようだ。


「でもここ、ベッドないの?」


 そんな中、ちょっとだけさみしげな顔をしていたのは案の定ペトルであった。

 宿にあるような寝台が見えないことに、不安を感じているようだ。


「いや、まぁな……さすがにベッドまでは……」

「んー……だったら、ベッドは流石に無理だけど、私が寝具くらいなら持ち運ぶわよ」

「えっ、そんなこともできるのか!」

「当然よ。背負袋に入るサイズなら、厚みがそれほどなければ入るわよ。元に、私は何枚もブランケット入れてるし」


 ……すごいな。寝具もコテージも持ち歩けるなんて……ほとんど移動式宿屋みたいなものである。


「いい買い物をしましたね、ヤツシロさん」

「神様の力とはいえ、まぁ、目利きだわ。よくやったわよ、ヤツシロ!」

「ははは……まぁ、一応年長者なんで」


 大荷物はコヤンが管理し、日々の祈りの祭壇はクローネがスキルで出して、俺は……コテージを持ってる人? いや、これ持ち運ぶとなるとコヤンに渡しそうだし……あれ。俺って何ができるんだろう……カード? 微妙だなそれ……。


「ねえねえシロ」

「ん? どうしたペトル?」

「このおうち、しまえないの?」


 ……あ、そうか。


「自発的には畳めないのでしょうか」

「どうだろう。……うーん、プレイジオの欠片では出ないな」

「壁に霊力を注いでも戻る感じはないわね……」


 ……ということは、俺達の意思でこれを回収することはできないのか。

 小さくさせて再び持ち運びするには、朝日を拝まなければならない、と。


 ……つまりいざというときは、このリージョンコテージをその場においていくことになるかもしれないということか。

 そんな緊急の事態は、できれば起きてほしくないが……一応覚悟はしておいたほうが良いのかもしれん。


 ……案外、この便利な神器が売りに出されていたのも、そうやって人の手を離れることが多かったからなのかもしれないな。


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