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第1章 Part.2

東南アジア周辺の鬱蒼とした熱帯雨林、人ひとり見つける事の出来ないその樹海の中の改装された洞窟に彼らは潜伏していた。



「お帰りなさい。琥珀大姉様、翡翠様」



洞窟の入り口で琥珀と容姿が似ている20代前半の女性が2人を上品でしっとりとした笑顔で迎えた。



「葵か・・・」


「こんな暑い中、ご苦労様です。お風呂の準備は済ませてあるので翡翠様はB2階へ、琥珀大姉様は私と一緒にB1階のシャワー室へ・・・」


「えぇ~今日は久々に浴槽に浸かりたい気分だったのに・・・」



琥珀はここでも自分に対しての扱いにぼやく。



「何か・・・?」



葵は琥珀に向き直る。


笑顔はそのままに、しかし入り口で出迎えてくれた時とは違い、極寒の地に放り出された様な温度差に琥珀は身を震わせる。



「な・・・何でもありません・・・」


「殿方と同じ湯を共有する様なはしたない真似をさせる訳にいかないでしょう?」


「うぅ・・・」



葵の向ける笑顔に琥珀は何も言い返せずに黙り込んでしまった。


こうして見ると清純で生粋の乙女を連想させる姉がわがままな妹を窘めている様にしか見えない。


見た目も琥珀が10代半ばであり、事情を知らない人が見たらそう見えるのかもしれないが、それらは彼女達が創られた時のそれぞれの設定年齢の問題であり、事実上では琥珀の方が年上である。



「別に俺の事はいいから、お前はB2階の風呂場を使えよ」


「いいの!?」



2人の間に割って入ってきた翡翠に琥珀は目を潤ませる。



「今日は全然動いてないしな」


「そうですか・・・」



葵の笑顔が多少揺らいだような気がしたが翡翠は気のせいだと決め付ける。


無論、琥珀は気が付いていない。


琥珀は何かを思いついた様に翡翠に向き直る。


顔は仄かに紅潮している。



「でも翡翠に悪いから・・・この際、一緒に・・・・・・」


「・・・」



次の瞬間、琥珀は極寒に放り出されただけでなく、体に何かを貫かれた感覚に見舞われ、周りからは大袈裟に感じる程の身震いをした。


琥珀は自分の元へと発せられている“気”の発信源をおずおずと目を向ける。



「ひっ・・・1人でゆったりと入らせていただきます・・・・・・」


『・・・よろしい』


「・・・?」



翡翠は2人の間に流れた一瞬の出来事に首を傾げた。



            **********



人類のエネルギーの歴史を紐解いていくと、原始人が火を発見した約100万年前から10万年前にまで遡る。


やがて、その火の発見から急激に文明が発達し、科学・技術の進歩を促したのだ。


それに伴って人類の使用するエネルギー消費が増加、人類は次第に新たなエネルギー源を欲し、薪炭、石炭、石油へとエネルギー源は移り変わっていった。


そして今、世間体で最も重宝されている一番のエネルギーは原子エネルギー。


原子核の変換や核反応に伴って放出される多量のエネルギーのことであり、一般市民の間で身近な例を挙げるとしたら原子力発電だろう。


旧日本国にもかつて国内に30ヶ所、100基の原子力発電所が存在していて、国内の8割もの電力を供給していた時期もあった。


やがて、それらは国民の反感を買い、30ヶ所、100基あった発電所も10ヶ所、30基へと数を減らしたのだった。



「そこで、日本は原子力に次ぐ新たなエネルギーを欲したって訳よ」


「葵姉・・・さっきから誰に話し掛けてんのよ」



翡翠達の潜伏している隠れ家のペニンシュラ型のセミオープンキッチンでお湯を沸す葵に、リビングのソファでゴロゴロしている10代後半の女性が口を挟んだ。


清楚な感じの葵とは対照的なボーイッシュな雰囲気を醸し出している。


そして、彼女も葵に容姿が似ている。



「あら紅、何か問題でも?」



葵はソファで寛いでいる紅と呼ばれた女性にニッコリと微笑む。



「い・・・いや、何にも・・・」



葵からの角度ではソファの背凭れで姿を確認できないが、何かを恐れ、かなり動揺しているのを紅から感じられた。



「そう・・・、ならいいわね」



葵は咳払いを一度すると、誰かに説明をする口調で続けた。



「経緯は今はいいとして・・・、そこで旧日本国政府が目を付けたのが生命エネルギー・・・」



宇宙の各次元に存在するとされる全ての根源的なエネルギー。


生命体を生み出す根源のエネルギーでもあり、生命体を生かし、生命体としての活動を可能にしているエネルギーである。


勿論、学者の中では反対の声が挙がった。


そもそも、そのエネルギーが存在していると言われている次元が違うのだ。


多次元への干渉は下手をしたら核の被害よりも危険だと唱える学者も出たのだった。


しかし、国内の殆どの原発が停止し、極度のエネルギー不足の中に置かれている旧日本国には生命エネルギーというものに賭ける他に選択はなかった。


そして、生命エネルギーの研究が数々の情報隠蔽の下、秘密裏に行われたのだった。


流石に、研究を始めると言っても最初から旧日本国は挫折の最中にいた。


そもそも、この世界に生命エネルギーという産物を直接目で確かめた者などいない。


それに加え、旧日本国は海外に対してもこの研究を隠していた為に生命エネルギーに関しての資料不足もあった。


研究の進展が無く、半ば凍結状態にあったが、研究が始まってから5年の歳月の後、1人の天才が現れた。



「その天才の名前は森本一進、そう・・・翡翠のお父様・・・」



彼により、研究が今まで足踏み状態で完全凍結も噂されていたのが嘘だったかのように進んでいき、そのまた3年後には生命エネルギーを多次元から引きずり出す事に成功したのだった。



「しかし、森本一進によって採取可能になったエネルギーは想像を絶する程のものだった・・・」



もし、今の世界に存在している核ミサイル1本に積んでいる核燃料を同量の生命エネルギーに積み替えるだけで、そのミサイルの威力が従来の核ミサイルの数十倍以上に跳ね上がるという報告結果が出たのだった。



「この報告には流石の旧日本政府は度肝を抜かれたらしく、生命エネルギーの永久凍結を唱える議員も出始めたの・・・」


「・・・でも、これまで研究に費やしてきた費用を考えると損害があまりにも大きすぎる」


「・・・そう、そこで旧日本政府は生命エネルギーを国内のエネルギー不足の解消以外の転用、特に兵器への転用を禁じたの・・・。でもいつの時代にも闇ってものは存在する訳で・・・」



一部の学者達の間で1つの秘密結社が設立され、生命エネルギー研究が秘密裏に続行されたのだった。


後に政府に秘密結社の存在が見つかるが、その時には政府にも手に負えない程に秘密結社は肥大化し、彼らの行動を黙認する事しかできなくなってしまっていたのだった。


そして政府にも止められない存在になった秘密結社はとある計画に乗り出した。



「それがGG計画・・・」



そして、GG Numbersを始め、GG Extra Numbers、Glaivezが次々と生み出されていく中、政府の中で以前、原発の再稼動を異常なほど押していた左派の政党が異例に秘密結社と秘密裏に協定を結んだのだった。


政党側は資金援助を、秘密結社側は政党側に対して裏からの全面的なバックアップを約束した。


そして一党独裁が事実上、ここ旧日本国でも成立を果たしたのだった。



「そして、秘密結社側は協定の証として私達、Glaivezを政府に提供したの。政党側は大いに役に立つ駒を手に入れたけれど、同時に足枷をされた形となった。現に私達は当時、秘密結社側から、もし、政党側が不穏な動きを見せたら迷わずに報告と暗殺を指示されていたからね・・・」


「そして、政党側に付いた私達の初めての仕事だけど、それは国内のエネルギー不足の解消だった・・・」



彼女達、GlaivezはGG Numbersや GG Extra Numbersよりも格下の存在であり、異次元から生命エネルギーを自力で引きずり出す事ができない。


そこで、彼女達が下された仕事は収容所に収容されている主に死刑囚の体内から生命エネルギーを吸い出し、発電所へと送るというものだった。


年齢や健康状態にもよるが、死刑囚1人辺りから吸い出される生命エネルギーで国内全土で消費される約1年半の電力を賄える事ができる。


国民は知らずして人の命の灯火を利用して電力を消費していたのだった。


しかし、この様な非人道的な電力供給で日本国内では原発ゼロになったにも関わらず、エネルギー問題は無事に解決される事ができたのだった。


一方、秘密結社内では学者同士の意見の相違によって数々の分裂を繰り返し、第1次GG計画は実行を断念。


そして、2年前の米中戦争の開戦に乗じて第2次GG計画が再度実行されたが、翡翠と那美によって阻止されたのだった。


そして、この戦争により旧日本国は地図から消え去り、本州はアメリカ、中国によって占領された。


秘密結社が組織の存在を海外に覚られない様に秘密結社に通じていた政治家を始め様々な要人、秘密結社外の生命エネルギー研究に携わった人々を戦争の混乱に乗じて消していった為に翡翠、琥珀をはじめとした機密が海外などに漏れる事はなかったのだった。



            **********



「そんな経緯で旧日本政府が無くなった後、路頭に彷徨っていた私達、Glaivezを翡翠様が拾ってくれて現在に至ると・・・」


「・・・長々とご苦労だな」


「ひ、翡翠様!?」



シャワーから上がってきた翡翠が肩に掛けているタオルで髪の毛を拭きながらリビングの入り口に立っていた。



「い・・・いつからそこに?」



今まで説明に夢中だったせいか、翡翠の突然の登場に葵は赤くなって動揺していた。



「因みに、私は気が付いてたけど?」



紅はソファから身を起こす。


シャツ1枚という大胆な格好だったが彼女は翡翠の目を気にしていないようだ。



「それより、お茶を1杯くれないか?」


「は、はい!!ただいま!!!!」



葵はお湯を急須に注ごうとしたが、さっき沸かしたはずのお湯は既に冷め切っていた。


葵はキッチンで目を回しながら忙しなくパタパタと動き回る。



「お~お~・・・、葵姉がこんなにテンパる姿なんて久し振りに見たわ・・・」


「・・・ところで他の連中は?」


「琥珀大姉は多分まだお風呂、山吹と白雪は紫苑を呼びに行ってるけど・・・あの3人は遅いな…」



紅はリビングの壁に掛かってる時計に目を向ける。


彼女らは紫苑を呼びに行って彼是30分は経っていた。



「・・・一応、様子を見てくる」


「あ~・・・くれぐれも気をつけてね」


「・・・?」



リビングを出て行く翡翠に向かって紅は声を掛けたが翡翠は彼女の意図する事が分からず首を傾げた。



            **********



「お前ら、こんな所で何してるんだ?」



紫苑の部屋近くの廊下で紫苑を呼びに行ったはずの山吹と白雪を鉢合わせた。



「あっ・・・翡翠様ぁ!!!」



山吹は翡翠の声に反応し、涙目で翡翠に歩み寄ってくる。


すぐ横には無表情の白雪が山吹に引っ付く様に立っている。



「・・・お前ら、紫苑を呼びに行ったんじゃなかったのか?」


「呼びに行ったんですけど・・・」



山吹は今にも泣き出しそうな表情で翡翠を見上げる。



「・・・・・・呼んでも・・・・・・何にも反応がなかった・・・・・・」



すぐ横にちょこんと立っている小雪が、言葉を詰まらせている山吹の代わりに滅多に開かない口を開く。



「・・・そんなの部屋に入ればいいだろ」



翡翠は溜め息混じりに呟く。



「そんなの絶対無理です!!!塵も残さず消されます殺されます!!!」



山吹は翡翠を見上げながら必死に何かを翡翠に訴えかける。


まるで自分の死が間じかに迫って来ているかの様に・・・。


小雪も無表情に深く何度も頷いている。


いつも感情が表情に出ない小雪でさえも無表情ながら冷や汗が垣間見れる。



「お前ら・・・紫苑はGlaivezの中でも末っ子だぞ」



山吹と小雪の外見は10代前半、Glaivezの中では三女と四女の双子であり、紫苑の姉に当たるのだ。



「・・・・・・翡翠様は知らない・・・・・・彼女の恐ろしさを・・・・・・彼女はGlaivez凶悪危険物体第1位と僅差の第2位・・・・・・」


「・・・分かった、俺が呼んでくるからお前らは戻ってて良いぞ」


「生身では危険です!!!翡翠様!!!」



山吹と小雪は翡翠を止めようと付いてくる。


紫苑の部屋の前まで来て、翡翠は彼女の部屋のドアをノックするが彼女達の言った通りに無反応だった。



「紫苑・・・?」


「・・・・・・・・・」



翡翠の呼び掛けにも何も反応しない。



「おい・・・開けるぞ?」


「いいいけません!!!翡翠さm・・・」



山吹は止めようとしたが、翡翠は既にドアに手を掛けていた。


そしてドアがほんの少し開いた瞬間、妖気にも似た禍々しい殺気が翡翠達3人を包み込んだ。


咄嗟に翡翠はGG-01-を復元する。






ズガガガガガガがガガガガガガッガガガガガがガガガガガガガッ






紫苑の部屋の中からの一斉掃射。


7.62x51mm NATO弾の嵐が翡翠、山吹、小雪を襲った。



約1分間の掃射の後、辺りはシンと静まり返る。


部屋の中からはモクモクと上がる砲煙の中、8歳児の体格に似合わない2丁のM60機関銃を両肩に担いだ紫苑が歩み寄ってくる。


勿論、彼女の顔は鬼の形相。



「一々いちいちイチイチ五月ッッッ蝿ぇんだよ!!!ちったぁ静かにできねぇのかこの糞尼共がッ!!!」



翡翠はGG-01-を構えたまま紫苑の変わりように、ただ呆然と立ち尽くしてしまっていた。


山吹と白雪は翡翠の後ろに隠れ、山吹は涙を流しながら、白雪は無表情でガタガタと震えている。


紫苑の怒りも段々と収まり、紫苑はやっと翡翠の存在を認識し始める。


両肩に担がれていた2丁のM60がゴトリと地面に転がり落ち、紫苑の顔から血の気がサーッと消え失せていく。



「ひ・・・ひ・・・翡翡翠様!?!?」


「山吹・・・白雪・・・」


「は・・・はひっ」



翡翠に名前を呼ばれ、山吹と白雪は未だに震えながら返事をする。



「・・・俺が悪かった、これから紫苑を呼ぶ時は俺を頼れ・・・絶対にだ・・・」


「ひ・・・翡翠様ぁ~!!!」



山吹と白雪はガッシリと翡翠にしがみ付き、山吹が大声を上げて泣き始めた。


翡翠は山吹と白雪の頭を優しく撫でながら何かを思い出した様に山吹に問い掛ける。



「・・・因みに、その凶悪危険物体ってやつの第1位って誰だ?」


「・・・・・・それは・・・」



           **********



「お疲れ様~・・・、詳しい話は山吹と白雪に聞いたよ。まさか、あんな至近距離から蜂の巣にされたのに全て弾き返すとは…。私や葵姉でも30秒も保てないよ」


「煽てても何も出ないぞ・・・。こっちは危うく死ぬところだったんだからな・・・」



リビングに戻ってきた翡翠は好奇な視線を向けてくる紅を溜め息混じりに受け流す。


紫苑はソファにちょこんと座っているが、茫然自失とした表情で虚空を眺めていた。


そんな彼女を未だに警戒しているのか、山吹と白雪はピッタリと紅に引っ付いている。



「・・・琥珀はいないけど、始めるぞ」


「まぁ・・・、大姉様がいると一向に話が進みませんものね・・・」



葵は苦笑いを浮かべながら人数分のお茶をテーブルに置いた。


最初からそのつもりだったのか、湯呑の数は琥珀の分は含まれてない。


葵に続いて紅、山吹、白雪は琥珀の愚痴を呟く。



「空気読めないっていうか・・・」


「戦闘以外は全然集中力も無いですし!!!」


「・・・はっきり言って・・・・・・邪魔・・・・・・」


『おいコラ、聞こえてるんだけど・・・。っかわざと霊波線を飛ばしてるでしょ!?』



霊波線を通じて皆に琥珀の声が頭の中に直に響いてくる。



「聞こえてるんだったらこっちに来なくてもいいぞ」



翡翠は頭を抱えながら面倒臭そうな表情を浮かべた。



『えっ・・・、まさか翡翠も皆と同じ事思ってんの!?』


「・・・・・・」


『~~~!!!』



まだ浴槽に浸かっているのか、琥珀の声は頭の中で反響してきた。


それらを無視して翡翠は咳払いをする。



「・・・紫苑を通してもう伝わってると思うが、中国を後ろ盾に玖肆連合が大規模に動き出した。奴等の狙いは勿論、本州全土だ」



翡翠が議題を挙げたのを機にリビングに漂っていた空気が一瞬にして変わった。


さっきまで頭の中で騒いでいた琥珀も黙り込む。



「その際に中国は玖肆連合に対し、戦闘物資の援助及び1個旅団クラスの軍事支援で同意している」


「でも今時、あんな島に価値なんてないと思いますけど!!!」


「“島”・・・にはね・・・」



山吹の疑問に対して、紅は心当たりがあるかの様に呟く。


向かいに座っている葵も事態を把握しているのか、黙ってお茶を啜っている。


ひと息付いた後、葵は山吹をスッと見据えた。



「・・・山吹ちゃん、2年前の9月の事は覚えているわね・・・」


「あっ・・・」



葵の何も穢れの無い吸い込まれそうな程に透き通った蒼味を帯びた瞳に何かを感じ取ったのか、山吹は唐突に声を上げた。



「・・・」



翡翠は何も言わず、ただ黙ってお茶の水面を見つめている。




(2X13年、9月・・・ 国会議事堂前暴動)




そしてその暴動の火付け役となった、将来の歴史書には決して載らないであろう組織と翡翠達との騒乱・・・。


この騒乱さえ無ければ今も尚、翡翠の横には那美が寄り添っていただろう。


そして、翡翠の初めてとも言える相棒も・・・。


しかし、今は湿っぽい過去を振り返っている場合ではないと、翡翠は自分に言い聞かせる。



「・・・そう、お前らGlaivezはあの一連の事件に直接的には関わっていなかったが・・・感じた筈だ」



GG Numbers、GG Extra Numbers、そしてGlaivez・・・。


彼らと似て非なる絶対的な存在。


彼らの存在その物の真髄・・・。


云わば全ての始まり、そして全ての元凶であり、世界を・・・惑星自体をも揺るがしかねない存在・・・。



(GG-Axis-)



「お・・・覚えています」



山吹は俯くとカタカタと震え出した。


白雪も紅の腕にしがみ付いている手の力が強くなる。


その他のメンバーは表情には出していないが、それぞれ動揺しているようだ。



「・・・でも・・・・・・GG-Axis-は・・・第1次GG計画の時に・・・・・・」



紅の横で震えていた白雪はおずおずと疑問を口にする。


彼女の言った通り、GG-Axis-は第1次GG計画の途中で大規模な暴走を引き起こし消滅した・・・いや、当時の幼いGG-01-である翡翠と彼の幼馴染であったGG-02-とGG-03-によって消滅させた筈であった。


しかし、今になって思い返してみると自分達の創造主と言っても過言でもない存在を、あんなにも容易く消滅させる事が出来た事自体がおかしいのだ。



「・・・まさか本州の何処かに!?」


「さぁな・・・、でも常に最悪の事態を想定して動いた方が良さそうだな・・・組織の動きも含めて不明な点が多すぎる」



翡翠の認識している範囲内では、組織が動いているという情報はまだ無い。しかし、自分達の推測通りにGG-Axis-が関与しているのだとすると確実に動き出し、裏で手を回すだろう。


そして玖肆連合の後ろ盾とはいえ、中国が動いた以上、アメリカが黙っている訳もない。



「・・・そこで、北海国、玖肆連合、本州それぞれに行って探りを入れる訳ですね」


「あぁ、紅と白雪で玖肆連合、葵と山吹で北海国、俺と琥珀は肆州高知地区に寄った後、本州へ向かう。紫苑は万が一の為にここに残ってくれるか」


「了解です。ちょうど例のデカ物を邪魔が入らない所で弄繰り回したいと思ってたところですから・・・」



紫苑は山吹と白雪に視線を向ける。


目を合わせてしまった白雪は恐怖のあまり、硬直したまま動けなくなってしまった。


「あの・・・翡翠様?」


「なんだ?」



話が一通り終わった後から落ち着きがなくなった山吹に翡翠は向き直る。



「今回の割り振り、変更とか無しですか?」



山吹は潤ませた上目遣いで翡翠に何かを必死に問い掛ける。


フッとさっきの凶悪危険物体第1位の話題が翡翠の頭を過ぎる。


翡翠は溜め息をつくと、そっと白雪に目を向ける。



「拒否します」



翡翠が何を言いたいのか予想ができていたのか、白雪は即答する。


紅にしがみ付く力が一層強くなる。



「あら、何か私に不満でもあるのかしら?」



今までお茶を啜りながら事の成り行きを傍観していた葵は、柔らかい笑顔で優しく山吹に問い掛ける。



「い・・・いえ・・・、何にもありません・・・」



山吹は背筋をピンと伸ばすと力無く葵の問いに答えた。



この葵が、M60を至近距離から乱射する様な者の上をいくとは翡翠には想像ができなかった。



『・・・琥珀、話があるからさっさと風呂から出て来い』



翡翠は思い出したように霊波線を琥珀に飛ばした。



『りょ~かい』



琥珀も翡翠への受け答えに霊波線を飛ばす。



「明日にはここから発ってもらうから、各々支度をしとけよ」



翡翠はリビングにいる全員に声を掛けると自室へと帰っていった。

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