表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Poesia

翹望

作者: 路瀕存

どこかをたずねようとしていて

できればあたたかなところがいいのと

うんとしずかな思い出の地下室があればいいのと


ながれたイメージは

ファジー

空気にただよう言葉たちに

もまれ


みたすこともできず

みたされることも

みちたりた姿が何なのかさえ

語ることができずにいる


そのまま語るべき言葉をもたず、


そのまま語るべき言葉をもたずに、

語ることができずに

みちたりない

みたされない

みたすこともできないのに



この街での息の吸い込み方を知っているか いいや

窒息して、

苦しいと、

いくばくか、

息を吸い込むまいと決めてから、



記憶を瓶詰めに

うんとしずかな暗がりの中に


ふるえるばかりで

語ることもできずに

埃のセロファンに蓋をされて だって

ほうっておいたらすぐに

溢れでてしまうから



そう

です、それは、

こころの糸

くず、

絡んだときに解れたもの

です、



古びた漁村の墓地で弔われるの だって、

寝床がいつまでも街のくぼみにはまらない

ぜい肉は、ふるきの里に置いてきた

いまも切れずにふるさとに

たれ流しつづけているのに



ハロー、

心。

ここにはいない

心。

ハロー、

心、

ハロゲンの心、

うわついたままファジー

あまだれを吸い込みすぎたんだね、

ふやけた心 さびついていて



やあ、

すっかり冷えてしまったね

醗酵したビブラート

ようやくここに座り

きみのふるえをみつめて



たとえば、



たとえば雨がそれとして。

          (たとえば秋雨が音色だとして、

そうして音があって

ドヴォルザークをきいていた

弾ける木管 四散するこだま

音色は

あたたかな色あいをした飛沫

びしょぬれに浸されて心地いい

コンサートホールにいる、こんや。

           (たとえば雨が愛のことばだとして

音があって

ことばがあって

偶にあらぬ方向へ 飛び立って

とんだきり、帰ってこなくって

けれども帰りを待ち侘びていて

其処彼処に喧騒が在って

徒言ばかりが姦しいなかで

はた、と

こだまする

ほら甲高いソプラノをきけば

結合すべきことばとことばがむすびついた


あい して います

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ