エゴと恋
初めて書いた短編?です。右も左もわからず書いているので展開が滅茶苦茶な部分など多いと思います。どんどん改善していきたいので、批評お願いします!
恋をした。
自分の精いっぱいの恋をした。
でも、ぼくのエゴが彼女を壊した。
彼女が誰かと幸せを描くたび、
私は苦虫を噛み潰したような顔を隠した。
触れちゃいけなかった。
彼女の隣にいるのは私じゃだめだった。
高校一年生の春
彼女に出会った
柔らかく光を反射させる髪
琥珀色の目に日光が透ける
目が合った時には手遅れだった。
一人でいることに慣れきった私に、彼女は何の躊躇もなく話しかけた。
「よろしくね」
そういって差し伸べられた手がやけに温かかった。
彼女は太陽のような人だった
夏には海へ走って
ぐしょぐしょに濡れたお互いの顔を見合って笑った
砂だらけになって飲んだラムネ
彼女が瓶を傾けながら
「なんか閉じ込められてるみたいじゃない?」
目をまんまるにして覗き込んでいた
ビー玉がカランと音を立てる
光を受けて揺れるそれが、やけに綺麗だった
帰り道で買った色違いのキーホルダー。
友達だと、目に見える証ができた気がした。
彼女も、友達の印だとそう言って笑った。
ーー彼女と過ごす時間がたまらなく愛おしかった
三年生になった頃、彼女に好きな人ができた。
「王子様みたいな人でね」
そう誇らしげに話す彼女は、眩しかった。
私の知らない笑顔だった。
おめでとうなんて、嘘でも言えなかった。
一学期最後の日、校門の前で仲睦ましく笑う二人を見てしまった。
私に向ける目とは違う。
溶けそうな笑顔だった。
胸の奥が重く沈む
目の端がチカチカする。
ただ、
私の頭の中がうるさかった。
ただ必死に走った。
呼び止める声も、
彼女の声さえ聞かずに。
家に着いた頃には汗だくで、口にも目にも入って痛かった。
なんだかわからない涙も、全部が嫌で
彼女の隣は私じゃなきゃ嫌なのに。
友達じゃ足りないのに。
疲れ切った体をゼイゼイ言わせていた
その時
ふと、思った。
思ってしまった。
私が王子様になればいいのだと。
次に会うのは夏祭り。
その日に伝えよう。それがいい。
彼女は笑ってくれる。
大好きな顔で。
喜んでくれる。
伸ばしていた髪を切った。
ズンと重かった頭が軽くなって
指の、一本一本に絡まった髪は
たった今まで、私の髪だったとは思えない
背中に、ゾワリと嫌悪感が走った。
部屋いっぱいに散った
不揃いな長さの髪。
焦点の合っていない目。
「あは、」
「あはは、あはははは」
鏡の中に映っていたのは、
王子様の紛い物だった。
でも、こうしなきゃ、
彼女の隣にはいれそうになくて。
夏祭り、
人混みの熱気。
遠くで太鼓が鳴っていた。
ヨーヨーを片手にぶら下げて笑う
彼女に言った。
「私じゃだめ?」
「え、?」
その瞬間、大好きな目が揺れた。
「なんで」と混乱したような、
責めるような口調だった。
「だって、君の隣は私でしょ?」
彼女の顔が歪んでいた。
吸うたびに痛い空気。
乾いた喉に刺さるようだった。
困っているような、今にも泣きそうな、そんな顔で。
私を見ていた。
「ごめん」
そう呟いて、逃げた。
私のことを一瞥していった。
悲しげな目で、
裏切られたとでも言いたげだった。
怖がらせてごめん。
夜はただ静かだった。
翌日、
廊下ではヒソヒソ声がやけに目立つ。
教室の戸を開けると
ツンと鼻を刺すシンナーの匂いがした。
私の机は真っ黒だった。
びっしり重ねられた文字。
カバンは校庭に投げられていた。
彼女とお揃いで買ったキーホルダーは
窓から投げ捨てられ、傷だらけになった。
私を笑い、蔑む
その輪の中に
彼女がいた。
肩を震わせ、輪の中で慰められていた。
「大丈夫だよ」
「悪いことなんにもしてないじゃん!」
「あいつが勘違いしたのが悪いっしょ笑」
私と目が合うと
怯えたように逸らす。
彼女の目には、化物がいた。
海が好きだ。
そう言ってくれた、彼女はいなかった。
もう、顔すら見せてくれない。
あのとき差し伸べてくれた手は、
自分を守るために強く握られ、
私の方なんて向いてもいなかった。
ただ、
一回でいいから
「やめて」といってほしかった。
やりすぎだとそういってほしかった。
でも、それが叶うはずもなかった。
彼女のカバンには、新しいキーホルダー。
私のカバンには傷だらけのまま残っている。
お揃いの欠片が、喉に刺さっている。
痛くないのに、
ずっと、吐き出せない。




