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榕樹(ガジュマル)

電源ボタンを押す。

スマホはついた。


「よかった」


そう思って、

また電源を切る。


手のひらを見る。

赤い。

ズボンの裾も、赤い。

夕焼けも、赤い。

僕はまだ歩ける。


頬が痛い。

肘が痛い。

足首が痛い。

それでも、まだ歩ける。


榕樹が一本あった。

高く見えた。

けれど、枝分かれは低かった。


静かになる。

まわりには、

虫の声だけが残る。


気根をつかむ。

掌が刺すように痛む。


つま先で、

いくつか隙間を探る。

太腿は、ずっと震えていた。


手を伸ばして、

支えになるところを探す。

引っかける。

足をかける。

身を返す。


上がれた。


腹が、

木に押しつけられる。


スーツケースを、

少しずつ、

力を込めて引き上げる。


山の風はきつかった。

毛布をきつく巻きつける。


どうやっても楽にならない。

ずっと動いて、

ずっと姿勢を変える。


喉が渇いた。

最後の半分にも満たない水を飲みきる。


腹が減った。


疲れた。


……


まわりが見えなくなっていく。

虫の声が、

もっと大きくなる。


体には、

もうあまり力がなかった。

胃だけが、

まだあがいていた。


リュックを開ける。

服を二枚めくる。

何日もいっしょにいた、

最後のマンゴーを取り出す。


僕はまたスマホをつけた。

あのスクリーンショットをめくる。


皮ごと、

実ごとかじる。


酸っぱい。

渋い。

甘い。






中国語原文


第八章:《榕樹》


按下開機鍵,手機能開

「好」

又關了機


看見手掌,是紅色的

褲腿,是紅色的

晚霞,是紅色的

我能走


臉頰很痛

手肘很痛

腳踝很痛

我還能走


有一棵榕樹

看著很高

分杈卻很低


靜下來

四周只剩蟲鳴


扯住氣根

掌心刺痛


腳尖試了幾個縫隙

大腿一直在顫


伸手找到支點

扣住

腳跨上去

翻身


人上來了


腹部頂著樹


行李箱

一點一點

用力拉上來


山風凌厲

我裹緊毛毯


怎麼都不舒服

一直挪

一直調整姿勢


渴了

喝完最後小半瓶水


餓了


累了


... ...


周圍看不清了

蟲叫聲更大了


身上沒什麼力氣

只有胃在掙扎


打開背包

翻開兩層衣服

拿出陪了我好幾天的

最後一個芒果


我又開了手機

翻著那些截圖


連皮帶肉啃著


酸,澀,甜

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