表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/31

スーツケースたち

長いこと、目を閉じていた。


そのすぐ横に、

蹴りが入るまでは。


目を開ける。

薄くなりはじめた空の明るさを借りて、

見知らぬものばかりを見た。


何人かの鉄棍が、

あちこちへ怒鳴り声を飛ばしている。


すぐそばで蹴られたやつが、

喉の奥で少し音を漏らした。

帽子をめくって、

痒いところを掻く。


地面には、

まだ縮こまった影がいくつもあった。

それぞれ、自分の荷を背にしている。


鉄棍がひとり、

こっちへ歩いてくる。

僕を一瞥して、

一発蹴って、

また次のほうへ行った。


痺れた尻を支えながら、

僕は立ち上がる。

リュックは胸の前。

寝具はスーツケースに縛りつける。


外套の男も、

ほとんど同じ動きをしていた。

荷を引き寄せる手つきだけ、

僕より少し遅い。

目つきは、

昨夜のままだった。


人とスーツケースが一列に並ぶ。

僕もその中に立つ。


横の鉄網を見る。

果ては見えない。

消えた焚き火も、

まだそこにあった。


列は鉄網に沿って進んだ。


夜なら、

網のこっちには灯りがあって、

向こうにはない。

でも昼になると、

どちらも同じに見えた。


前は、歩くとき、いつもイヤホンをしていた。

あれがあれば、

全部を切り離せたからだ。

今日は、

それがポケットの中で静かだった。


スーツケースと荷車の車輪の音が、

ここでは主旋律になっていた。


鉄棍が先頭を歩く。

ほかの小さな鉄棍たちが、

スーツケースたちを囲んで、

ときどき怒鳴る。


脚が重い。

僕はそれらに言い聞かせる。

もう少し歩けば、

十分くらいは休める。


後ろで、鈍い呻き声がした。

続いて、衣服が地面を擦る音。

車輪がふっと浮いて、

また落ちる。


僕は足を止めた。

振り向いて、

二歩だけ戻る。

手を伸ばしかける。


そいつは後ろへ這って、

杖を胸の前に横たえた。


僕の手は宙で止まったまま、

ゆっくり引っ込んで、

リュックの肩紐をつかんだ。


僕はまた歩き出す。

後ろで、

車輪がもう一度まわり出す音がした。

僕は無意識に、

少しだけ足を速めた。


関所に着く。


先頭の鉄棍が、

小走りで前へ出ていった。


何かを言っている。

何かを渡してもいる。

塔の上から、

誰かがそれを見ていた。


そいつが顔を少し横に向けたとき、

僕は、わずかな笑いを見た気がした。


哨兵が上に合図を送る。

塔の上のやつがうなずく。

門が開いた。


鉄棍たちは両側に立って、

スーツケースたちを門の外へ追い立てる。


門をくぐって、

網の向こう側へ出る。

僕は額を拭った。

たぶん、あの哨兵の目つきが、

ここに少し焼け残っていた。


門が閉まる。

錆びた摩擦音が、

哨兵と鉄棍へ向けた僕の最後の視線を、

引き裂いた。


僕は初めて、

スーツケースたちと目を合わせた。


まだ光が残っている目もあれば、

もう灰色になっている目もあった。






中国語原文



第三章:行李箱們


我合上眼睛,很久


直到一腳踢在旁邊


張開眼

借著微亮的天色

看著

陌生的一切


看見幾個人拿著鐵棍,對著四周吆喝


看到了一旁被踢的人

喉嚨裡擠出了一點響聲

撩開帽子,撓了撓癢


地上還有不少蜷縮的身影

依靠著他們的行囊


拿鐵棍的人向我走來

瞥了我一眼

踢了我一腳

又走向下一個方向


我撐著發麻的屁股

站起來

包背在胸前

被鋪綁在行李箱上


披大衣的人做著幾乎跟我一樣的動作

拉扯著行囊,比我慢一些

他的眼神,還是昨晚那樣


人和行李箱站成一排

我站在其中

看一眼身旁的鐵網

看不到頭

還有熄滅的篝火


隊伍沿著鐵網往前走

如果在晚上,網的這邊有燈,那邊沒有

到了白天,好像都一樣


以前我走路,總喜歡戴著耳機,它能幫我把一切割裂開來

今天它安靜在口袋裡


行李箱和手推車的軸輪聲,成了這裡的主旋律


鐵棍走在最前面

其他的小鐵棍包圍著行李箱們

時不時吆喝幾聲


兩腿發酸

我告訴它們

再走一會

就能休息十分鐘


身後傳來一聲悶哼

接著是衣物與地面的摩擦聲

滾輪失重,又跌落

我停下

轉身

走過去兩步

想伸手

他往後爬了一下

足杖橫在身前

我的手停在空氣中

慢慢收回來

拽在背包帶上


我繼續走

聽到身後重新運行的軸輪聲

我下意識加快了幾步


到了關卡

走在最前的鐵棍幾步小跑過去


他說著什麼

又遞上了什麼

塔樓上有人看著


他側過臉的時候

我好像看見了一點笑意


哨兵朝上面打了個手勢

塔樓上的人點頭

門打開了


鐵棍們在兩側

把行李箱往門外驅趕


穿過門,來到網的另一側

我抹了一把額頭

或許是哨兵的眼神

在這裡留下了些灼燒感


門關上了

鐵鏽的摩擦聲,撕開了我看向哨兵和鐵棍的最後一個眼神


我和行李箱們第一次對視

有些眼裡還亮著

有些已經發灰了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ