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第3次 中二病大戦 〜無能力の俺が物理法則(マジレス)で世界最強の設定(妄想)を解体する〜  作者: ぱすた屋さん


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第4話 観測者の帰還と、紅き独立国家

 


 もうもうと立ち込める水蒸気と土煙が、風に流されて少しずつ晴れていく。


「神宮寺さん! 神宮寺さぁぁんっ!!」


 涙声で叫びながら、如月さんが瓦礫の転がる谷間へと駆け込んできた。

 先ほどの凄まじい水蒸気爆発と衝撃波の嵐。まともに巻き込まれれば、ただの人間が原型をとどめているはずがない。


「……騒ぐな、如月。ただの少し強い風が吹いただけだ」


「えっ……?」


 土煙の奥。

 ひどくひび割れた岩壁を背にして、俺は腕を組み、静かに佇んでいた。

 服はボロボロに焦げ、全身は煤と泥にまみれているが、口元には不敵な笑みを浮かべている。


(熱っっっっっ! 鼓膜破れるかと思ったし、岩の裏に隠れるのあと一秒遅れてたらマジでローストポークになってた!!)


 内心では恐怖と痛みに大号泣しながらも、俺はあくまで『無傷で生還した強キャラ』のポーズを崩さない。


「神宮寺さん! よ、よかったぁ……!」


 如月さんがへたり込み、安堵の涙をこぼす。

 俺の足元には、全身の雷光設定が完全にバグってショートし、白目を剥いて気絶しているオオサカ・キョウト連合の男が転がっていた。


『ピーッ。オオサカ・キョウト連合代表、戦闘不能。サイチグント共和国代表の勝利』


 上空を飛ぶ無数の配信用ドローンから、大会運営AIの無機質なアナウンスが響き渡る。

 それと同時に、全世界の視聴者たちがモニターの向こうで熱狂しているのが、肌で感じられた。


 最弱国家の無能力者が、最強クラスの能力者を二度も「無傷(に見える状態)」で圧倒したのだ。

 この異常事態に、大会のシステム自体が反応を示し始めた。


『警告。サイチグント共和国代表・神宮寺慧に、未知の事象改変能力エラーを確認。危険度スレットレベルをSに引き上げます』


「なっ……危険度S!? それって、全参加者から最優先で狙われるってことじゃないですか!」


 如月さんがタブレット端末を見て悲鳴を上げる。

 俺の顔面からも、サッと血の気が引いた。


(マジかよ!? 隠れ強キャラムーブしたかったのに、これじゃただのヘイト集めまくったレイドボスじゃん! 殺される!)


「……フッ。遅すぎる評価だな。世界がようやく、俺の観測に追いついたというわけか」


 絶望で足が震えそうになるのを必死に堪え、俺はドローンのカメラに向かってドヤ顔をキメた。

 もう後には引けない。こうなったら、最後まで最強のイレギュラーを演じ切ってやる。


「ちょっと、何を呑気なこと言ってるんですか! すぐにこの場を離れて身を隠さな――」


 如月さんが俺の手を引こうとした、その瞬間だった。

 上空を飛び交っていたドローンたちの挙動が、一斉におかしくなった。


『エラー。エラー。未登録の独立勢力からの干渉を確認』


 無機質なはずのAIの音声が、ノイズ混じりに歪む。

 そして、周囲の空間が赤黒い光に包まれ始めた。


「な、何これ!? 大会システムがハッキングされてる!? ありえない!」


 如月さんがタブレットを叩くが、画面は真っ赤に染まったままだ。

 そこに、血文字のような禍々しいフォントで、ひとつの国家名が浮かび上がった。


『独立国家ウラワ』


「……ウラワ、だと?」


 俺は思わず素の声を漏らしてしまった。


 ウラワ。本来なら、俺たちの所属するサイチグント共和国(埼玉・千葉・群馬・栃木連合)の一部であるはずの地名だ。

 なぜそれが、独立国家としてシステムに認識されているのか。


(待って待って、埼玉の内輪揉め!? こんな世界規模の大会で、なんでウラワだけ独立しちゃってんの!?)


「愚かなるサイチグントの民よ。そして、世界を欺く偽りの観測者よ」


 赤黒い光の中から、ぬらりとした漆黒のローブを纏った人影が浮かび上がる。

 顔の半分を禍々しい仮面で覆ったその男は、圧倒的な「強者のオーラ(痛い設定)」を放っていた。


「我らこそが真の深淵。選ばれし血の系譜、独立国家ウラワ。……貴様のその浅はかな論理、我が『紅蓮の煉獄』で焼き尽くしてくれる」


 男が片手を上げると、周囲の空間そのものが高熱で歪み始めた。

 先ほどの絶対零度や神速とは比べ物にならない、システムそのものを書き換えるようなデタラメな出力だ。


「ヒッ……! 神宮寺さん、この人、これまでの相手と次元が違います……!」


 如月さんが俺の背中に隠れながら震える。

 俺はごくりと唾を飲み込み、冷や汗を流しながらも、口角を限界まで引き上げた。


(設定盛りすぎだろウラワ民! どんだけ埼玉の中で選民意識こじらせてんだよ!)


 だが、これこそが俺の求めていた最高の舞台だ。

 相手の設定が痛ければ痛いほど、俺の論理(屁理屈)も輝きを増す。


「いいだろう、相手になってやる。お前たちのその腐った設定ごと、俺が解体してやるよ」


 俺はボロボロの右手を前に突き出し、新たなる強敵(中二病患者)へと宣戦を布告した。


 全世界が注目する中、最弱国家の論理と、独立国家ウラワの深淵が激突しようとしていた。


 完


完結!!

独立国家ウラワは東西南北と中、武蔵、美園と複数の優秀な部下を持っている強力な独裁国家です(

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