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くれげの世界  作者: ぐろ
第二章 高校編
91/205

エピローグ②


大会が終わって、

数日後。


トレ高クレーンゲーム部の部室に、

見慣れない機械が運び込まれた。


最新型のクレーンゲーム筐体。


「……でかっ」


豚田が、

率直な感想を漏らす。


「最新機種ですわ」

「大会優勝校、特別仕様だそうで」


舞子が、

誇らしげに言った。


その横で、

段ボール箱がいくつも開けられる。


中身は、

白磁のティーカップ。


「人数分、ちゃんとありますわよ」


その言葉で、

自然と全員が集まった。



部室の片隅。


即席のティータイム。


「部室で紅茶って、なんか不思議だな」


沙希が笑う。


「優勝校らしい」

凛は淡々とカップを口に運ぶ。


「ぶひ……これ、高そう……」

豚田は落とさないように両手持ちだ。


「主将、ちゃんと管理よろしく」

舞子が針千を見る。


「はいはい……」

針千は苦笑いしながらも、

どこか嬉しそうだった。



優勝記念撮影のあと。


晴谷が山口に声をかけた。


「なぁ」

「今度、お前の店行っていいか?」


山口は、

一瞬きょとんとする。


「……あぁ」


晴谷は、

ニヤリと笑った。


「久々に景品枯らしちゃうか!」


「お前は初期位置戻さないからな?」


そう言いながらも、

山口の口元は緩んでいた。


「じゃあ」


聞見が、

楽しそうに言う。


「わたしも、プレイしちゃおっかなぁ〜?」


三人は、

並んで歩いていった。



後日。


月刊クレーンゲーム。


表紙を飾ったのは、

トレ高クレーンゲーム部。


学校では、

一気に話題になった。


「見た?」

「すごくない?」

「同じ学校だよね?」


すきは、

少し照れながら、

それを聞いていた。



夢幻高校との合同練習。


筐体の前で、

豚田が真剣な顔をしている。


「運命先輩……」

「ここ、どうしたらいいぶひ?」


「そこはね——」


運命が、

自然な声で答える。


「重心が少し前だから」

「焦らず、ここ」


「……なるほど!」


豚田の目が、

きらきらと輝いた。


「運命たん……すごい……」


「渡さない」


即座に、

神咲が割って入る。


「運命先輩は、うちのです」


「ぶひ!?」


その様子を、

すきと沙希が並んで見ていた。


「なんかさ」

沙希が言う。


「平和だね」


「うん」

すきは頷いた。


少し離れた場所では、

凛と舞子が、

寸胴姫歌と談笑している。


技の話。

失敗談。

これからの話。


——もう、

切り捨てられる誰もいなかった。



さらに離れた場所。


「で」


針千が、

享楽に詰め寄る。


「なんで扉、捨てたんすか!?」

「おれ、欲しかったんすけど!」


「そんないいものじゃねぇよ。」


享楽は、

面倒くさそうに返す。


「必要なくなっただけだ」


「それが一番ズルいっすよ!」


享楽は、

笑った。



合同練習が終わり、

すきは家に帰った。


その日は、

珍しく父も早く帰ってきていた。


三人で、

久しぶりの夕食。


「そういえば」


母が言う。


「来週、すき誕生日でしょ?」


「あ、うん」


「せっかくだから」

「お父さんに欲しいもの、言っといたら?」


父が、

箸を置く。


「そうだな」

「すき、何が欲しい?」


すきは、

少し考える。


「……んー」


そして、

顔を上げた。


「あっ」

「来週の日曜日さ」


「三人で」

「ゲームセンター、行こう?」


一瞬、

両親は顔を見合わせた。


「ゲームセンター?」

「昔はよく行ったけど……」


「最近、全然行ってなかったな」


父は、

少し考えてから、

にっと笑った。


「よし」

「じゃあ、お父さんが」

「すきの欲しいやつ、全部取ってやる!」


「ちょっと」

母が笑う。

「使いすぎないでよ?」


「うん!」


すきは、

大きく頷いた。


「楽しみにしてる!」



その夜。


すきは、

布団に入って、

天井を見上げた。


今日も、

世界は続いている。


明日も、

きっと。


——それでいい。


第二章高校編~完~

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