表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くれげの世界  作者: ぐろ
第二章 高校編
87/205

第86話 境地に至る


ボタンを握る、すきの手は

震えていなかった。


怖くないわけじゃない。

でも、逃げてもいなかった。



宇宙だった。


扉の向こう側。

果てしなく広がる闇と、

無数の星。


一つひとつが、

選択肢だった。


(……多い)


未来が、見える。

でも、それは“正解”じゃない。


選ばなかった星も、

確かに存在している。



最初は、

一人で見ていた。


沙希も、

凛も、

舞子も、

豚田も、

針千も。


誰もいない宇宙。


(……違う)


すきは、

気づいた。



星の一つが、

ゆっくりと、明るくなる。


——声がした。


『無理しなくていいよ』


沙希の声。


軽くて、

でも確かに背中を押す声。



別の星。


『間違えてもいい』


凛の声。


理屈じゃない、

温度のある言葉。



さらに、

小さくて、

必死な声。


『ブヒ……信じてる』


豚田。


笑ってしまいそうになる。



また一つ。


『努力は、裏切りませんわ』


舞子。


血豆の感触が、

掌に蘇る。



最後に。


『行け、すき』


短くて、

乱暴で。


針千の声。



宇宙が、変わった。


星は、

“未来”じゃなくなった。


仲間との距離になった。


近い星。

遠い星。

重なる軌道。


——全部、抱えていい。



(……あぁ)


すきは、

理解した。


未来を“当てる”必要はない。


選ぶのは、

一人じゃない。



宇宙の最深部。


そこに、

扉があった。


二つ。


未来予測の扉。

フィギュアの声の扉。


重なり合い、

一つになる。


——”境地”。



現実。


4手目。


すきは、

盤面を見ない。


見るのは、

距離。


箱と、

橋と、

落下点。


そして、

“今ここにいる全員”。



動かす。


一切の迷いなく。


アームが、

星を掴むみたいに、

静かに降りていく。



運命は、

その瞬間、

はっきりと感じた。


(……至ったか)


砂漠とは違う。


これは、

一人では辿り着けない場所。



4手目。


箱が、

ゆっくりと持ち上がる。


会場が、

息を止める。



まだ、落ちない。


まだ、決まらない。


だが。


この瞬間、

確定したことが一つある。



昏華すきは、

仲間と共に、境地に至った

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ