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くれげの世界  作者: ぐろ
44/62

第43話 合宿

38.39.40話投稿前に

41.42.43話投稿してました。大変失礼しました┏○ペコッ

話数のズレも修正しました。

今後ないように気をつけます。

部室の空気は、まだ張りつめていた。


 対戦校一覧の公開。

 知らない名前。

 見覚えのある強豪校。


 誰も口を開かない。


「……まあ」


 その沈黙を、晴谷が割った。


「一回、場所変えようか」


「え?」

 針千が反応する。


「合宿」


 全員が、固まった。


「合宿!?」


「ちょっと待ってください」

 針千が即座に立ち上がる。

「いきなり!?てか部費、足りますか?」


「そこ?」

「そこです!」


 晴谷は笑った。


「安心して」

「安心できる要素ありました?」


「安いとこ、知ってる」


 それだけで、全員が不安になる。



「……ブヒ」


 豚田が、小さく声を漏らす。


「豚田?」

 沙希が振り向く。


「合宿って……」

 言葉を選ぶ。

「泊まり、ですよね」


「当然」

 凛が言う。


「……ぶひ」


 もう一度。


「いや」

 針千が手を振る。

「部費の話中にブヒが紛らわしい」


「え?」

「賛成なのか不安なのか分からない!」


「……不安です」


「正直でよろしい!」



「でもさ」

 沙希が言う。

「悪くないと思う」


「理由は?」

 凛が聞く。


「逃げ場、なくなるから」


 舞子が、静かに頷いた。


「……理にかなっていますわ」


「舞子まで!?」


「勝負は、環境で決まる部分も大きいですもの」


 すきは、少し遅れて口を開いた。


「……集中、できそう」


「ほら」

 晴谷が指を鳴らす。

「全会一致」


「強引すぎません?」



 針千は、ノートを取り出した。


「交通費」

「宿泊費」

「食費」


 ぶつぶつ言いながら計算する。


「……ギリギリです」


「ギリ?」

 沙希が笑う。

「いけるじゃん」


「その“いける”が一番怖い!」



「決まりだね」


 晴谷は、あっさり言った。


「目的は三つ」


 指を立てる。


「一、基礎の底上げ」

「二、役割の再確認」

「三……」


 一瞬、間を置く。


「自分が、どこで折れるかを知る」


 空気が、静まる。


「折れないために、ですか?」

 凛が聞く。


「いや」

 晴谷は笑った。

「折れる前提」


 舞子が、目を細める。


「……お嫌いですわね」

「何が?」


「綺麗な勝ち方」


「昔から」



 豚田が、意を決したように手を挙げる。


「あの……」

「はい」


「俺」

 深呼吸。

「足、引っ張ります」


「もう言うな!」


 針千が即ツッコむ。


「それ前提にされると、こっちが困る!」


「……ブヒ」


「今のも紛らわしい!」


 部室に、久しぶりの笑いが起きた。


 すきは、その様子を見て、胸の奥が少しだけ軽くなる。


(……逃げない)


 場所が変わっても。

 空気が変わっても。


 それだけは、同じだ。



 晴谷は、窓の外を見て言った。


「じゃあ、準備しよっか」


「どこ行くんです?」

 針千が聞く。


「静かで」

「安くて」


 一拍置いて。


「……クレーンゲームが、置いてるところ」





 強化合宿は、

 こうして決まった。


 それが、

 逃げ場を潰す選択だとも知らずに。

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