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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
193/205

第191話 魂の同期

宇宙の闇の奥。


閉ざされていた巨大な門。


九条全の手が添えられる。


昏華すきの指が触れる。



カチ……


錆びついた鍵が回る。


鼓動が止まる。



ギィ……


扉がわずかに開く。


闇ではない。


光でもない。


理解不能の“深さ”。


その奥から、

低く、重い鼓動が響く。


ドクン。


ドクン。


ドクン。



全が隣に立つ。


何も言わない。


ただ、共に立つ。




現実


会長が椅子から立ち上がる。


目を見開く。


呼吸が止まる。


「……門が……」


横で晴谷が静かに微笑む。


「ついに来ましたね」



雪平の手が震える。


「……嘘でしょ……」



統が息を呑む。


白黒の世界の奥で、

確かに何かが動いた。


「……開いた」


声が震える。


だが目は輝いている。



零の指が止まる。


景品ではない。


すきと全を見る。


(到達ではない)


(だが……)


(門が開いた)


胸の奥がわずかに高鳴る。


恐怖にも似た未知。


そして、

抗えない興奮。



観客席


何が起きたか分からない。


だが、

違う。


空気が違う。


「……なんか、今」


「寒気しなかったか?」


「音、したよな?」


ざわめきが広がる。



すきと全。


二人は理解していない。


だが、

互いの存在が近すぎる。


境界が曖昧になる。



(そこ、強く押せ)


全の意志。



(右アーム、投げる)


すきの感覚。



声ではない。


思考でもない。


境界の消失。


“ 魂の同期”



零が低く呟く。


「……会話をしていない」


統が小さく笑う。


「でも、通じてる」



操作


大胆。


正確。


迷いゼロ。


補完。


同調。


一つの意思。



アームが降りる。


触れる。


滑る。


跳ねる。


傾く。


落ちる。



ゴトン。



誰も歓声を上げない。


誰も動かない。


ただ、

理解できない静寂が支配する。



境地の内側


門の隙間が、

ゆっくり広がる。


奥は見えない。


深さだけが存在する。


ドクン。


ドクン。


鼓動が強くなる。


すきの足が前へ出る。


自分の意思ではない。


引かれている。


導かれている。


抗えない。



「……昏華」


全の声が遠く聞こえる。


止める声ではない。


見送る声でもない。


ただ、そこにある声。



すきは振り返らない。


一歩。


境界を越える。



光でも闇でもない空間が広がる。


音が消える。


重力が消える。


時間がほどける。


世界の構造が変わる。



その瞬間。



会長の瞳が震える。


「……入った」



晴谷が静かに目を閉じる。


「行ってこい」



統の胸が高鳴る。


「うわ……」



零の鼓動が強く打つ。


(神域……)



門の前


九条全は、

その場に立ち尽くす。


ただ、


信じられないほど静かな顔で、


門の向こうを見つめていた。


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