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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
190/205

第188話 ぼやける未来

アナウンスが響く。


「入れ替え戦・最終戦は――」


一拍。


「タッグ戦形式で行われます!」


会場がざわめく。


「プレイは交代制!」


「すきチーム:全 → すき → 全 → すき」


「零チーム:零 → 神代 → 零 → 神代」


モニターにルールが映し出される。


■3ラウンド制

■先に景品を獲得したチームがラウンド取得

■2ラウンド先取で勝利


そして。


台の設定が表示された。


難易度:レベル10


橋幅:極狭

アーム爪角度:20°

重量級・長箱景品


観客席がざわつく。


「これ無理だろ…」

「店舗じゃ絶対置けない設定だぞ」

「落ちねぇぞこんなの…」


会長が静かに言う。


「準決勝を勝ち抜いた者に相応しい舞台だ」



第一ラウンド


操作順。


九条全。

一条零。


全が台の前に立つ。


橋幅ギチギチ。

重たい長箱。

ほぼ掴めない角度。


「……マジかこれ」


思わず漏れる本音。


観客席から笑いが起こるが、

誰もこの難易度を笑えない。


全は深く息を吸う。


アームが降りる。


触れる。


滑る。


箱は、ほとんど動かない。


「……っ」


わずかに位置が変わっただけ。


決定打には遠い。


全は唇を噛む。


「悪い……」


振り返る。


「2手目頼む」



一条零が前へ出る。


箱を一瞥。


橋幅。

摩擦。

角度。

重量。


そして。


アームを降ろす。


触れた瞬間。


微かな振動音。

擦過音。

内部の重心移動。


零の耳が捉える。


(……裏下重心)


アームが戻る。


箱はわずかに揺れただけ。


だが零は確信していた。


静かに言う。


「裏下重心だ」



神代統が頷く。


「了解っす」


境地が展開する。


箱の内部。

密度の差。

重心の偏り。

摩擦の弱い面。


「あぁなるほど、たしかに」


にっと笑う。


「さっすが一条さん!」


アームが斜めに降りる。


滑らせる。


押す。


支点を作る。


箱の姿勢が整い始める。


観客席がざわめく。


「形が出来てきた…」

「もう落とす準備に入ってるぞ…」



すきが台の前に立つ。


静かに目を閉じる。


境地の恩恵。


“ 未来選択”


幾多の未来が展開する。


最短ルート。

安全策。

逆転の一手。


だが――


ぼやけている。


霧がかかったように。

未来が定まらない。


(……見えない)


胸がざわめく。


それでもボタンを押す。


二手目。


箱は前進する。


だが、


一条・神代ペアが作った形が優位。


観客席も理解する。


「零チーム有利だ…」



すきの鼓動が速くなる。


ドクン。


ドクン。


視界の奥。

闇の彼方。

巨大な存在。


——門。


雪平との試合で見つけたもの。


ドックン。


ドックン。


鼓動が重く響く。


すきはその存在を見つめる。


ラウンドは、まだ終わっていない。


だが――


何かが近づいている。



第一ラウンドの空気が、


静かに張り詰めていく。


ドックン。


ドックン。


(……来る)

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