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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
189/205

第187話 タッグ戦

ざわめきは、まだ収まらない。


決勝形式変更。


2対2。


会場の視線が、二人へ集まる。


一条零。

昏華すき。


静寂の中、零が口を開いた。


「……先に選べ」


低く、淡々と。


「好きにしろ」


その声音に余裕が滲む。


会場がざわめく。


(余裕か)

(それとも自信か)


すきはゆっくりと周囲を見渡した。


プロライセンス保持者たち。


強者たち。


だが――


視線が合わない。


目を逸らす者。

腕を組む者。

静かに後ずさる者。


相手は一条零。


その現実が、空気を重くしていた。


ジョーが一歩踏み出しかける。


だが止まる。


唇を強く噛みしめた。


(完封された……)


拳が震える。


その隣で売田が吠える。


「おい情けねぇな!!」


会場に響く声。


「選ばれるの待つ前に!」


「我こそは!って名乗り出るやつはいねぇのかよ!!」


周囲から即座に飛ぶ声。


「お前が言うな!」

「さっき泣き崩れてただろ!」

「バフ中毒者は黙ってろ!」


「うるせぇ!!」


売田が吠え返す。


そのやり取りに、張り詰めた空気がわずかに緩む。


雪平が一歩踏み出した。


「私が——」


その瞬間。


すきの視線が止まった。


一点。


人だかりの中。

誰も目を合わせない中で、


ただ一人。

真っ直ぐこちらを見ている男。


九条全。


逃げない視線。

不器用なほどまっすぐな眼差し。


迷いが消える。

すきは静かに言った。


「……全くんにします」


一瞬。


時間が止まった。


次の瞬間、

会場がどよめいた。


「はぁ!?」

「Dランク!?」

「九条かよ!!」

「普通は雪平だろ!」

「神代かジョーだろ!!」


ざわめきが広がる。


零が隣で小さく息を吐く。


(勝負を投げたか)


会長の眉がわずかに動いた。


境地同士の衝突。


共鳴。


その先に門は開く。


だが——


Dランク扉無し。


想定外の選択。


わずかな苛立ちが胸をよぎる。


全は目を見開いていた。


「……俺でいいのか?」


すきは頷く。


「うん」


短い言葉。


だが、

そこに迷いはなかった。


零が口を開く。


「先に選ばせてやったのに」


視線を横へ向ける。


「神代」


統がぱっと顔を上げる。


「え、マジすか」


すぐに笑う。


「楽しそうだから全然やりますけど」


軽い調子のまま続ける。


「昏華さんはさっき勝ってSランク、

おれと一条さんもSランク」


「もし九条さんと昏華さんが勝ったら、

おれか一条さんがDランクっすか?」


会場がざわつく。


零は淡々と言う。


「俺が負けるとは思わん」


一拍。


「万が一負けたら、

俺と九条が入れ替わりだ」


「お前はそのままでいい」


統は一瞬きょとんとしたあと、


にっと笑った。


「了解っす!」



アナウンスが響く。


「入れ替え戦 最終戦」


「決勝タッグマッチ!」


会場の空気が震える。


昏華すき。

九条全。


一条零。

神代統。


異端。

凡人。

最強。

光。


すべてが交差する。



売田が拳を握る。


「いけ……相棒」


ジョーが静かに祈る。


雪平が微笑む。


羽澄が胸の前で手を組む。


会長は静かに目を細めた。


(門は——開くのか)


遠くで、


鼓動が響く。


ドクン。


ドクン。



さあ。


最後に笑うのは、誰だ。

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