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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
187/205

第185話 野生

二手


雪平の目が開く。


空気が変わる。


すきがわずかに眉を動かす。


零が目を細める。


神代が小さく笑う。


「……わお、ジャングルが見えましたね」


観客席がざわめく。


雪平のアームが動く。


速い。


鋭い。


熊が川で魚を掬い上げるような動き。


景品が弾かれ、

大きく動いた。


「なっ!?」

「今の動き…!」


会長が思わず身を乗り出す。


「設定以上に動いている…?」



三手


雪平は迷わない。


アームが斜めに降りる。


ゆっくり。


絡みつくように。

アナコンダが獲物を包むように、

箱の角度が変わる。


観客が息を呑む。



すき四手



ドクン。


心臓の音が響いた。


ドクン。


宇宙が揺れる。


ドクン。


星が震える。


ドクン。


空間そのものが鼓動している。


すきは振り返る。


宇宙の彼方。


闇の奥。


そこにあった。


あまりにも巨大な存在。


終わりが見えない輪郭。


光を拒む闇。


触れることすら許さない圧倒的質量。


——門。


ドクン。


鼓動はそこから響いていた。


すきの未来選択が走る。


幾多の未来が重なり混ざり合う


すると、1つの道となった。


すきが1歩進むたび未来が確定する。


“ 確定未来”


(……何?)


ドクン。


鼓動が速くなる。


雪平も4手目のアームが降りる。


かもめが水面から餌をさらうように、


静かに。


正確に。


景品をつまみ上げる。


同時。


すきも最適解の手を放つ。


二つの景品が


同時に落ちる。


ゴトン。


ゴトン。


会場が静まり返る。


「同時獲得!!」


実況が叫ぶ。


「手数が同じ場合、

先に獲得口へ到達した方の勝利となります!」


モニターにスロー映像。


落下。


接触。


到達。


わずか――


ほんのわずか。


先に到達したのは。


「……勝者」


一拍。


「昏華すき!!」


会場が爆発した。



雪平は小さく息を吐く。


すきは静かに目を閉じる。


零が低く呟く。


「……バフを分けるだけの者かと思っていたが」


神代が楽しそうに笑う。


「いやぁ、最高でしたね」


すきの心臓が速く打つ。


ドクン。

ドクン。


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