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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
179/205

第177話 光と闇


競技エリア上方。

ガラス張りの会長席。


マイクを手にした

月刊クレーンゲーム記者 聞見描が

会長へ向き直る。


「会長、いよいよ準決勝です」


「今回残った四名、

 まさに現代プロシーンの象徴とも言える顔ぶれですが――」


「特に第一試合、

 一条零選手と神代統選手について、

 お話を伺えますか?」


会長は静かに盤面を見下ろす。


「一条零――二期生の頂点」


少し間を置く。


「技術、精度、再現性。

 そのすべてを極限まで研ぎ澄ました男だ」


「彼は勝つために無駄を排除する。

 勝利以外の価値を、必要としない」


「ゆえに、強い」


聞見が頷く。


「実力主義の象徴、ということですね」


会長は小さく肯いた。



「対して、神代統――三期生の頂点」


会長の目がわずかに柔らぐ。


「彼は勝利のために戦っているのではない」


「楽しむために戦っている」


「そしてその楽しさが、

 周囲の人間を巻き込み、

 場そのものを変える」


聞見が静かに言う。


「競技空間そのものを変える存在……」


「そうだ」


「彼は、光のような男だ」


会長は続ける。


「零が“孤高の完成”なら、

 統は“共有される才能”」


「対照的でありながら、

 どちらも頂点に立つにふさわしい」


聞見は息をついた。


「まさに現代プロの二極ですね」



準決勝特別ルール


聞見がモニターを見上げる。


「そして本準決勝から、

 使用される台が変更されると伺いました」


会長が頷く。


「準決勝は特別仕様台――

 難易度レベル5」


観客席がざわめく。


モニターに仕様が映し出される。


アーム出力:不安定制御

橋幅:極狭設定

景品箱:内部重心可変構造

振動反応:ランダム増幅


「プレイヤーの再現性を崩し、

 判断力と適応力を試す設定だ」


聞見が続ける。


「決勝ではさらに?」


「難易度レベル10」


会場にどよめきが広がる。


「競技者の限界を試す領域だ」



試合開始直前


競技台の前。


神代統が軽く肩を回しながら笑う。


「いやぁ、一条さん」


「お手柔らかにお願いしますね」


零は視線を盤面から離さない。


「お前相手に手を抜くほど、

 自惚れてはいない」


統は嬉しそうに笑う。


「はは、さすが」


静寂。


観客のざわめきが遠のく。


難易度レベル5の台が、

静かに起動音を響かせる。


カチ、カチ、と内部機構が調整される。


景品箱の中で、

重心がわずかに移動する。


誰もが理解する。


ここから先は――


別の領域。



アナウンスが響く。


「準決勝 第一試合――」


「一条零」


「対」


「神代統」


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