第176話 何をお願いする
第四ラウンド終了後
電光掲示板に名前が並ぶ。
Sランク 一条 零
Sランク 神代 統
Sランク 雪平 杏
Aランク 昏華 すき
会場のざわめき。
「……結局Sランクかぁ」
「やっぱりな」
「順当すぎるだろ」
期待と落胆が入り混じる空気。
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舞台袖。
売田はベンチに座り、うなだれていた。
「……ちくしょう」
ジョーが隣に腰を下ろす。
「よく戦った」
羽澄も笑顔でしゃがみ込む。
「売田さん、今日は“主役”だったよ♡」
売田は顔を上げる。
「……マジ?」
「会場のコール聞こえなかったの?」
売田は少しだけ照れくさそうに鼻をこすった。
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アナウンスが響く。
「準決勝進出者はステージへ」
四人が並ぶ。
一条零。
神代統。
雪平杏。
昏華すき。
静かな緊張。
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会長がマイクを取る。
「準決勝の対戦相手は、
この箱の中のボールで決定する」
スタッフが準備を進める。
その間。
神代が口を開いた。
「この入れ替え戦のあとさ、
Sランクだったら会長が願いを叶えてくれるらしいけど」
にこりと笑う。
「みんな、何お願いするんすか?」
零が即答する。
「俺は元々の意見を通すだけだ。
B以下は必要ない」
空気が少し張る。
雪平が穏やかに言う。
「私は待遇にも満足してるし……
特別な願いはないかな」
すきが静かに口を開く。
「私がSランクに勝って、
B以下も残したいと言ったら……どうなるんですかね?」
零がすきへ視線を向ける。
「勝ってから言え」
視線がぶつかる。
空気が研ぎ澄まされる。
「まぁまぁ」
神代が笑う。
「おれは願いあるけど、
会長じゃちょっと叶えられないからね」
冗談めかして肩をすくめた。
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準備が整う。
箱が差し出される。
最初に零が手を入れる。
取り出したボール。
番号がモニターに映る。
1番
会場がざわめく。
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次に神代が手を伸ばす。
だが、引く前に振り返った。
「雪平さんと昏華さんって友達ですよね?」
「戦いたくはないですよね?」
雪平は微笑む。
「仲間だけど——
いつか手合わせはしたいと思ってた」
すきは静かに言う。
「雪平さんと戦わなくてほっとした自分に、
勝ちたいです」
神代は満足そうに頷く。
「ん〜、はい」
「じゃあおれはこれで」
引いた番号。
2番
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準決勝 第一試合
一条 零 vs 神代 統
会場が揺れる。
「うおおおお!!」
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雪平が引く。
4番
すきが引く。
3番
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準決勝 第二試合
雪平 杏 vs 昏華 すき
歓声とどよめきが交錯する。
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四人が静かに並ぶ。
誰も言葉を発しない。
だが空気が語っていた。
ここから先は、
本物の領域。
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会長はその姿を見つめる。
(……この中の誰かが)
(神域への門を開くだろう)
照明がゆっくり落ちていく。
準決勝。
開幕目前。




