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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
177/205

第175話 エンターテイナー

電光掲示板に、次の対戦カードが表示される。


ざわめきが、一瞬止まり——


次の瞬間、爆発した。



第四ラウンド 対戦カード


Aランク 売田 転

 対

Sランク 一条 零


Aランク 昏華すき

 対

Bランク 吉永(よしなが) (あかり)


Sランク 雪平 杏

 対

Bランク 志水(しみず) 陽斗(はると)


Sランク 神代 統

 対

Bランク 田中(たなか) 真奈(まな)



会場が揺れる。


「うおおおおお!!」


「きた!!」

「零 vs 売田!?」

「番狂わせあるぞ!!」



九条サイド


「……あっ、転売のおっさん死んだな」


全が真顔で言う。


ジョーは両手を広げる。


「オー、マイ、ゴッド……」


バズ子は頬に手を当てて笑う。


「CからB、BからA、AからS。

 もう、売田さんわかってるぅ〜♡」



当の本人


売田は顔面蒼白だった。


そして——


雪平ににじり寄る。


「……バフ子」


「バフ子……」


「バフ子ぉ……」


ゾンビのように迫る。


雪平の眉がぴくりと動く。


「……誰がバフ子ですか」


「無理ですよ?」


「私もここから先、余裕ありません」


「そんなぁぁぁぁぁ!!」


売田、膝から崩れ落ちる。



すきは冷たい視線を向けた。


まるでゴミを見る目だった。


売田が顔を上げる。


「相棒!

 そんな目で見るな!!」



沈黙。


そして突然、売田が立ち上がる。


拳を握る。


「……やってやる」


「やってやるよ!!」


会場の視線が集まる。


「客が見たいのはな!!」


「本命が勝つ試合じゃねぇんだよ!!」


「大穴が勝ってこその

 エンターテインメントだろうが!!」


観客席を指差す。


「そうだろ!!

 みんな!!」


一瞬の静寂。


次の瞬間——


敗退したプロたちが拳を突き上げた。


「……て」


「て〜んばいっ!」


「て〜んばいっ!!」


「て〜んばいっ!!」


会場全体に広がるコール。


今日一番の盛り上がり。



零は静かにそれを見ていた。


そして、呆れたように息を吐く。


「……くだらん」



ジョーが売田の肩を叩く。


「おれと孫の仇、取れ」


全も拳を軽くぶつける。


「派手にやれよ」


羽澄が笑う。


「映える試合、期待してる♡」


すきは小さく言った。


「……負けるな」



実況の声が響く。


「漢・売田転!!」


「一世一代の大勝負です!!」



熱狂の渦の中、


売田は静かに零を見据えた。



第四ラウンド

最大の注目カードが、始まろうとしていた。

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