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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
172/205

第170話 日頃の行い


会場のざわめきは、まだ収まらなかった。


神代統の一手。


あまりにも静かで、

あまりにも決定的だった。


バズ子は、しばらく台を見つめていた。


それから、ふっと笑う。


悔しさはある。

でも、不思議と嫌な負けじゃない。


(……統くん)


背中を向けて去っていく統。


その背中が――

ほんの少しだけ、寂しそうに見えた。


バズ子は、その理由を誰にも言わない。


ただ、小さく息を吐いた。


「負けちゃった♡」


明るく言うと、

観客席から拍手が起きた。


先ほどまでの歓声とは違う、

優しい拍手だった。



控え席。



零は腕を組んだまま、視線すら向けない。


「……所詮、相手はBランクだ」


だが、すきは気づいていた。


(違う)


ほんの一瞬だけ、

零の目が揺れた。



会場アナウンスが響く。


「第二ラウンド、全試合終了しました」


ざわめきが広がる。


電光掲示板に、残存人数が表示された。



■ 現在の勝ち残り


Sランク 3名

一条零

神代統

雪平杏


Aランク 4名

昏華すき

売田転

他2名


Bランク 7名


Dランク 1名

九條全



「おいおい…」


売田が口を開く。


「マジかよ…」


「Dランク生き残ってんじゃねぇか」


全は、少しだけ肩をすくめた。


「運がいいだけだ」



アナウンスが続く。


「第三ラウンド進出者は15名となります」


「なお、1名は抽選により不戦勝となります」


会場がざわつく。


「不戦勝だって?」

「誰だ?」

「ここで運かよ…」


抽選箱が運ばれてくる。


静まり返る会場。


カードが引かれる。


一瞬の沈黙。


「第三ラウンド不戦勝――」


「売田転選手」


ざわめきが爆発した。


「マジかよ!」

「持ってるなあの人!」

「運まで転売してんのか!」


「うるせぇ!!」


売田が叫ぶ。


「これはな!日頃の行いだ!!」


「持ってますね♡」


羽澄が笑った。



すきは、売田を見る。


(嵐の前の静けさ)


そんな気がした。



電光掲示板が切り替わる。


第三ラウンド


明日 開始


会場の空気が、ゆっくりと張り詰めていく。


次に落ちるのは、誰か。


次に残るのは、誰か。


そして――


その先にあるものを、


まだ誰も知らない。



第三ラウンドは、明日から

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