第156話 現実
次の試合が始まる。
そして——
止まらない。
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歓声。
落下音。
悔しさ。
安堵。
この会場には今、
42人分の覚悟が流れている。
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Cランク同士の対決
慎重な寄せ。
確実な一手。
最後の一押し。
ゴトン。
敗者は、台の前で静かに頭を下げた。
「……ありがとうございました」
涙は見せない。
それでも、拳は震えていた。
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Dランク同士
ぎこちない操作。
だが、必死さは本物。
「頼む……!」
景品が傾く。
落ちない。
落ちない。
落ちた。
勝者は声にならない声を上げた。
敗者は笑った。
「……負けんなよ」
それが精一杯だった。
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Bランク対Cランク
安定感。
経験差。
無駄のない操作。
ゴトン。
「やっぱBは違うな……」
観客の呟き。
だが勝者は振り返らない。
まだ終わっていないからだ。
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Cランク、番狂わせ
歓声が爆発する。
「うおおお!!」
格上を倒したCランク選手が
台に手を置いたまま動けない。
信じられない。
自分が、勝った。
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Bランク、圧倒
迷いなし。
速さ、精度、判断。
三手。
ゴトン。
「……完璧」
観客が息を呑む。
勝者は無言で台を離れた。
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試合は止まらない。
勝者と敗者が入れ替わり、
喜びと絶望が交差する。
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やがて。
すべての試合が終わった。
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大型モニターに、
結果が表示される。
入れ替え戦 一回戦結果
出場:42名
勝者:21名
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■敗退内訳
•Bランク敗退:3名
•Cランク敗退:7名
•Dランク敗退:11名
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会場がざわつく。
「Dランク……半分以上消えたぞ」
「Cも結構落ちたな」
「Bでも落ちるのかよ……」
それが現実だった。
プロであっても、
生き残れる保証はない。
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控え席。
九條全はモニターを見上げる。
隣で花形鈴が静かに息を吐いた。
売田が肩を回す。
「ここからが本番って顔してんな」
羽澄はスマホを閉じた。
ジョーは無言で座っている。
すきは、ゆっくりと拳を握った。
ここから先は、
本当に落ちていく。
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アナウンスが響く。
「——二回戦トーナメントを発表します」
会場の空気が引き締まる。
モニターに、
組み合わせが表示されていく。
名前。
名前。
名前。
そして——
静寂。
それぞれが、
次に戦う相手の名を見つめていた。
逃げ場はない。
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この戦いは、
まだ始まったばかりだ。




