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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
146/205

第144話 組み合わせ

協会ホールの照明が、ゆっくりと落ちた。


ざわめきが止む。


巨大モニターが、静かに点灯する。


白い画面。


まだ何も表示されていない。


だが——

誰もが分かっていた。


ここから始まる。



会長の声が響く。


「ランク入れ替え戦」


一拍。


「第一回戦の組み合わせを発表する」


空気が張り詰める。



画面に文字が浮かび上がる。


《第一試合》


九條 全 Dランク


花形 (はながたすず) Dランク


ざわめき。


「同ランク対決か…」

「三期生の花形って…」


後方。


花形鈴は、唇を噛みしめていた。


視線の先には、九條全。


憧れ。


目標。


追いつきたかった背中。



全は、静かに画面を見つめている。


逃げない。


逸らさない。


ただ、受け止めていた。



画面が切り替わる。


《第二試合》


売田 転 Cランク


下衆田 下僕(げすだしもべ) Bランク


会場の空気が変わる。


「うわ、あいつか」

「零の信者だろ」


後方で、下衆田が薄く笑った。


「楽勝でげす」


その視線は売田を射抜いている。


売田は鼻で笑う。


「うるせぇな」


だが指先は、わずかに震えていた。



次の表示。


《第三試合》


羽澄 京子 Bランク


阿達 (あだちごう)Bランク


小さなどよめき。


「阿達か…強敵だぞ」

「僅差になりそうだな」


羽澄は、静かにモニターを見つめる。


その瞳に揺らぎはない。


ただ、静かな炎だけが灯っていた。



モニターが暗転する。


そして——


巨大なトーナメント表が映し出される。


B・C・Dランク 42名。


勝者のみ、生存。


格上撃破で、ランク入れ替え。



会場の空気が重く沈む。


ここにいる全員が理解した。


これは大会ではない。


選別だ。



前列。


一条零は腕を組んだまま言う。


「弱者は必要ない」


誰に向けた言葉でもない。


「淘汰は必然だ」



神代統は、小さく息を吐く。


「怖い顔しすぎっすよ」


零は視線を向けない。



雪平は、静かにトーナメント表を見つめていた。


「……始まるのね」



すきは、自分の手を見る。


震えていない。


だが胸の奥が、静かに熱を帯びている。


(みんな、ここにいる)


(それぞれの場所から)


(ここまで来た)



会長の声が響く。


「試合は明日より開始」


「以上だ」


短い宣言。


だが——


逃げ場は、どこにもない。



人々が動き始める。


重い足取り。


固い表情。


その中で。


九條全は、花形鈴の方へ歩いた。


花形は、思わず背筋を伸ばす。


言葉が出ない。


全は少し困ったように笑った。


「よろしくな」


その一言に、


花形の目が揺れた。



遠くで、売田がぼそっと言う。


「おい全」


振り返る。


「負けんなよ」


一瞬。


にやっと笑う。


「俺がSまで上がる前に消えんな」



会場の外。


夜の空気は、静かだった。


だが。


この夜が明ければ——


誰かの夢が終わる。


誰かの序列が崩れる。


そして。


誰かの運命が、変わる。

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