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くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
144/205

第142話 入れ替え

翌朝。


テレビのニュース番組が、

普段とは違う話題を伝えていた。


『クレーンゲーム協会は本日、

 プロライセンス制度の新たな改革を発表しました』


画面に表示された文字。


《ランク入れ替え戦 開催》


街のざわめきの中で、

その言葉だけが静かに浮かび上がる。



ナレーションが続く。


『現在のプロクレーンゲーマーは50名。

 2年前、第一期生の誕生以降——』


画面に数字が並ぶ。


■第1期生 15名

■第2期生 15名

■第3期生 20名


『競技人口の増加と実力差の可視化を目的として、

 新たにランク制度が導入されています。』


画面が切り替わる。



Sランク 3名


Aランク 5名


Bランク 10名


Cランク 15名


Dランク 17名



『ランクは平均獲得率、成功難度、

 競技実績などのデータに基づき決定』


『ICプレイシステムの導入により、

 すべてのプレイは数値化されます』


そして——


『ランク入れ替え戦の開催が決定しました』



■Bランク以下は一回戦から出場

■格上に勝利した場合、ランク入れ替え

■一回戦負けの場合、契約解除の可能性


「序列の固定化を防ぎ、

 プロ全体の競技力向上を目的とします」


キャスターが言葉を締めくくる。


「クレーンゲーム界は、

 新たな時代を迎えようとしています」



・転売ズのアジト


昼間だというのに薄暗い古民家。


テレビの前で、売田とジョーが座っていた。


「……入れ替え戦ねぇ」


売田が鼻を鳴らす。


「給料、変わるらしいな」


ジョーが最近覚えた日本語で聞く。


「オマエ、上がりたいか?」


売田は少し考え、


「……上がるに決まってんだろ」


ニヤッと笑った。


「金は正義だ」


一拍。


画面のランク表を見つめながら、静かに続ける。


「でもな……

 下を切り捨てるなら、つまらねぇ世界になる」


ジョーは何も言わず、画面を見つめていた。



・ファンイベント会場(羽澄京子)


ステージ裏。


「えぇぇぇ!?」


羽澄がスマホを見て声を上げる。


「ランク入れ替え戦!?」


ファンがざわつく。


「ねぇバズ子、何ランクなの!?」


羽澄は振り返り、満面の笑み。


「それは本番のお楽しみ♡」


だが。


スマホを見つめる目だけが、わずかに真剣だった。



・ゲームセンター裏スペース(九條全)


Dランクの若手プロたちが集まっている。


「俺たち、切られるのかな……」


「下位は価値ないって噂だし」


重たい空気。


全は壁にもたれたまま聞いていた。


そして静かに言う。


「関係ねぇだろ」


全員が顔を上げる。


「上だろうが下だろうが、

 取れるやつが残る」


一拍。


「それだけだ」


テレビの速報が流れる。


《ランク入れ替え戦 開催決定》


全の目が、わずかに細くなった。



・月刊クレーンゲーム 編集部


聞見描は資料の山に囲まれていた。


「これは……時代が動きますね」


向かいに座るのは協会会長。


録音機が回っている。


「会長、今回の改革の狙いは?」


会長は短く答えた。


「停滞の打破だ」


「強者を強者のままにしないため、ですか?」


「それもある」


一拍。


「だが、本当の目的は——

 まだ誰も知らない」


聞見のペンが止まる。



・協会本部


夜。


モニターに表示されたランク表。


晴谷が静かに見つめている。


背後から、会長の声。


「始まったな」


「ええ」


晴谷は振り返らない。


「この戦いで——」


会長は言葉を切った。


窓の外、夜の闇。


「“ 神域”へ辿り着く者が―」


静寂。


遠くで雷が鳴る。



新しい序列。

新しい時代。


そして——


まだ誰も知らない領域が、

静かに待っている。

【クレーンゲーム協会公認】

プロクレーンゲーマー年収一覧


Sランク 年収2000万円+グッズ、広告、スポンサー料

Aランク 年収1200万円+グッズ

Bランク 年収700万円

Cランク 年収600万円

Dランク 年収500万円

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