表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くれげの世界  作者: ぐろ
最終章“ 神域編”
143/205

第141話 序列

空調の低い唸りだけが、会議室に満ちていた。


長机の中央に並ぶ資料。

壁面モニターには、統計データが整然と映し出されている。


クレーンゲーム協会本部。


プロ制度導入から二年。


昏華すきたち

第一期プロライセンス合格者が誕生してから、

競技としてのクレーンゲームは急速に拡大していた。


現在の登録プロは――


総勢50名。

•第一期生 15名

•第二期生 15名

•第三期生 20名


さらに、競技性と市場価値の可視化のため、

成績データ・平均獲得率・観客動員などを基準に

ランク制度が導入されている。


モニターに、現在の構成が表示される。


Sランク 3名

Aランク 5名

Bランク 10名

Cランク 15名

Dランク 17名


数字は、静かに現実を示していた。


観客動員、スポンサー契約、収益寄与――

上位ランカーの影響力は、圧倒的だった。


会議室に座るのは、協会幹部、

そして上位ランカーたち。


Sランク

雪平杏。

一条零(いちじょうれい)

神代統(かみしろすべる)


Aランク上位として、昏華すきの姿もあった。


知見副会長が口を開く。


「現行体制における費用対効果の検証結果です」


モニターにグラフが映る。


「収益および観客動員の約七割を、上位ランカーが占めています」


静寂。


「制度の持続性という観点から、

 人員構成の最適化を検討すべき段階に来ています」


紙を閉じる音。


一条零(いちじょうれい)だった。


「現状、価値を生んでいるのは上位層のみです」


低く、平坦な声。


「序列は現実を可視化するためのもの」


視線が室内を横切る。


「Bランク以下は――不要では?」


沈黙が落ちた。


合理として成立してしまう言葉だったからだ。


雪平が、静かに背筋を伸ばす。


「序列は否定しない」


零を見る。


「競技だから」


一拍。


「でも、序列は固定じゃない」


静かな声。


「登れる階段であるべきよ」


モニターではなく、人を見る目だった。


「切り捨ては、競技じゃない」


神代が、軽く息を吐く。


「俺は、下から上がってきた人たちに何度も助けられました」


「序列は道しるべであって、

 線を引く刃じゃない」


一拍。


「楽しんだもん勝ち、です」


零は、わずかに目を細める。


「感情論だ」


淡々とした声。


「競技は効率だ。結果が価値を証明する」


その視線が、一瞬だけすきに向いた。


「例外は制度を歪める」


すきは、小さく息を整えた。


「……序列は、見えるようにしてくれます」


静かな声。


「でも、見えないものもあります」


空気が、わずかに揺れる。


「誰かと合わせて取れたときの感覚とか、

 一人じゃ届かない位置とか」


零を見る。


「切り捨てたら、

 そこにしかない未来も切り捨てることになると思います」


静寂。


知見副会長が資料をめくる。


「排除は簡単です」


「しかし、再評価の機会を設けることは可能です」


視線を上げる。


「ランク入れ替え戦の実施。

 序列の固定化を防ぎ、競技性を担保します」


会長は、目を閉じていた。


二年。


才能を集め、競わせ、磨き続けた。


だが――


まだ“ 門”は開かない。


ゆっくりと目を開く。


「序列は必要だ」


静かな声。


「だが、終点ではない」


空気が動く。


「入れ替え戦を行う」


一拍。


「価値は、盤の上で示せ」


決定だった。


誰も異議を唱えない。


席を立つ者たちの中で、零はわずかに口角を上げる。


統は肩をすくめ、雪平は静かに立ち上がる。


すきは、その場に一瞬残った。


胸の奥で、


ドクン。


小さな鼓動。


それが、自分のものではない気がした。


まだ誰も知らない。


この音が、

門の向こうから届いていることを。



最終章 “ 神域編”開幕。

物語は、すき達一期生がライセンス取得から約2年後。


最終章“ 神域編”です。

境地の中にある、門。

門を開くことで“ 神域”に辿り着ける

と言われています。

が、門を開くには…………。


今後ともよろしくお願いしますᴗ ̫ ᴗ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ