第140話 祝福の音
「……で、どうなんだ?」
九條全は、
目の前に座る祖父を見据えた。
机の上に置いたのは、
プロライセンス。
派手でも、特別でもない、
ただの一枚のカード。
だが、
それを出す手は震えていなかった。
祖父は、
しばらく無言でそれを見つめていた。
「……くだらん」
九條は、
奥歯を噛みしめる。
やっぱりか、と。
だが、
次の言葉は違った。
「だが——
扉も、才能もないと言ったのは、
わしだ」
祖父は、
視線を上げる。
「それでもここまで来た。
……認めざるを得ん」
一瞬、
九條は息の仕方を忘れた。
「……ありがとうございます」
それだけ言って、
九條は立ち上がった。
⸻
数日後。
インターホンの音が、
静かな住宅街に響く。
母親の実家。
扉が開き、
驚いた顔の母が立っていた。
「……全?」
九條は、
胸を張って言った。
「母さん、迎えにきたよ。」
母は、
何も言えず、
ただ息子を抱きしめた。
⸻
「はーい!
みなさーん!」
羽澄京子は、
自宅の配信ブースで笑顔を振りまく。
片手には、
プロライセンス。
「次回の生配信はですね〜
なんと!」
画面いっぱいに、
文字が躍る。
《プリンセス葉子と激辛大食い対決!!》
その頃。
別の場所で、
スマホを見ていた葉子が声を上げた。
「……えぇ!?」
だが、
その口元は、
確かに笑っていた。
⸻
居酒屋の一角。
かもめ高校時代の仲間たちに囲まれて、
雪平はグラスを掲げていた。
「おめでとう!」
「さすが主将!」
「やっぱり雪平だよな!」
少し遅れて、
扉が開く。
「……うるさ」
詠だった。
「遅れてごめん」
そう言ってから、
一瞬だけ視線を逸らす。
「……おめでとう」
照れくさそうに。
雪平は、
驚いたあと、
やさしく笑った。
「ありがとう」
⸻
夜。
売田は、
母の肩を揉んでいた。
「……どうだ?
凝ってるだろ」
「もう歳だからね」
笑う母。
売田は、
少し黙ってから言った。
「なぁお袋」
「……パート、やめろよ」
母は、
首を振る。
「まだ動けるから——」
「ちがう」
売田は、
手を止めた。
「おれが、
そうしてほしいんだ」
「ちゃんと就職、決まったからさ」
少し照れながら、
続ける。
「……これからは、
親孝行させてくれよ」
母は、
何も言わず、
ただ息子の手を握った。
⸻
静かな墓地。
黒いスーツに身を包んだジョーは、
墓前に立っていた。
父。
母。
妹のクレア。
そして、仲間たち。
手に持っているのは、
大きなホールケーキ。
「……遅くなって、ごめん」
そう言って、
静かに置く。
「でも——
ちゃんと、戻ってきた」
風が、
そっと吹いた。
ジョーは、
深く頭を下げた。
⸻
合格発表後。
四次試験の面接官が、
最後に問いかけた。
「あなたにとって、
クレーンゲームとは?」
すきは、
少しだけ考えてから答えた。
「退屈から、
解放してくれるものです」
そして、
微笑んで続ける。
「私にとっての 祝福の音」
ゴトン。
それは、
誰かの人生が
前に進んだ音。
プロライセンス編、
ここに——幕。
ここまで読んでくださった方本当にありがとうございます┏○ペコッ
中学、高校ときて
プロライセンス編ここで完結です!
皆さん好きなキャラクターはできましたか?
ちなみに私はバズ子推しです笑
現在最終章の執筆も進んでおり
完結まで、毎日更新続けられそうです。
最終章“ 神域編”明日よりよろしくお願いします!!




