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くれげの世界  作者: ぐろ
第三章 プロライセンス編
140/205

第138話 最終結果

会場が、息を潜めていた。


勝ったか。

負けたか。

その二択だけでは、測れない空気。


司会の声が、淡々と続く。


「最終試験。

 勝利数に、初期位置戻し未使用分を加算した結果をもとに——

 合否を決定します」


ざわめき。


誰もが、

頭の中で計算を始める。


「第五試合。

 売田転 対 ジョー。

 結果は——ドロー」


会場がどよめく。


「売田転。

 初期位置戻し、一回未使用」


一拍。


「よって、勝利数に一を加算」


売田は、

何も言わない。


ただ、

少しだけ背筋を伸ばした。


「——合格」


その一言で、

空気が弾けた。


拍手。

歓声。

安堵の吐息。


九條が、思わず声を上げる。


「……まじか!」


羽澄が、

満足そうに微笑む。


「当然ですね♡」


雪平は、

静かに目を閉じた。


——間違っていなかった。


続けて、

名前が呼ばれていく。


昏華すき。

羽澄京子。

雪平杏。

九條全。


それぞれの合格。


受験生チームが、

互いに視線を交わす。


誰も、

大声では喜ばない。


ただ、

胸の奥で、確かに熱が灯っていた。


そして——


「ジョー」


会場が、

再び静まる。


「最終戦。

 勝てば合格負ければ不合格。」


ざわめきが、

大きくなる。


「結果引き分け

 しかし——」


会長の声が、

はっきりと響く。


「本試験において、

 最も“未来を示した一手”と判断しました」


間。


「——合格」


ジョーは、

一瞬、意味がわからなかった。


通訳が、

静かに伝える。


その言葉を聞いた瞬間、

ジョーは——


深く、深く、頭を下げた。


今度は、

誰かを守るためじゃない。


自分の意思で。


売田は、

その背中を見て、

小さく鼻で笑った。


「……やれやれだ」


合格者が、

並ぶ。


勝った者。

負けた者。

使わなかった者。

使わせなかった者。


その全員が、

同じ場所に立っていた。


会長が、

最後に言った。


「今日、

 クレーンゲームは——

 競技であり、職業であり、

 そして人の生き方になった」


静かな拍手が、

会場を満たす。


その中で、

すきは思った。


——ゴトン。


あの音は、

ただの景品獲得音じゃない。


人生が、

次の位置に進んだ合図だ。

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