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くれげの世界  作者: ぐろ
第三章 プロライセンス編
139/205

第137話 景気よくいこうぜ


「……勝てなかったけどさ」


控え席で、

九條がぽつりと呟いた。


「正直、あのおっさんすげぇな」


視線の先には、

まだ興奮の残る会場。


「姉ちゃんのバフもあるだろうけどさ」


雪平が、

首を傾げる。


「……え?」


「売田さんには、

 バフは使ってないわよ?」


九條が、目を見開く。


「は?

 俺以外に25%ずつだろ?」


雪平は、

少しだけ視線を落とす。


——あの時のことを、思い出していた。



控え室。

人の少ない廊下。


「おい、姉ちゃん」


売田が、

肩をすくめて声をかけた。


「20%ずつ、

 均等に5人に分けろ」


「……わかったわ」


即答する雪平。


だが、

売田は続けた。


「ただな」


少しだけ、

視線を逸らす。


「……おれの分は、

 初戦のバカ孫につけといてくれ」


「え?」


思わず声が漏れる。


売田は、

照れ隠しのように鼻で笑った。


「大事な初戦だ。

 景気よくいこうぜ?」


その笑顔に、

雪平は一瞬だけ、言葉を失った。


そして——


「……わかったわ」


小さく、

でも確かに頷いた。



現実に戻る。


九條は、

しばらく黙っていたが、

やがて苦笑した。


「……マジかよ」


そのときだった。


売田の周りに、

自然と人が集まっていく。


「お疲れ様です」

「すごかったです」

「……かっこよかった」


それぞれの言葉。

それぞれの祝福。


売田は、

照れたように頭を掻くだけで、

何も言わない。


そして、

会場全体に声が響いた。


「——最終試験、

 結果発表に入ります」


空気が、張りつめる。


「本試験には、

 裏ルールが存在しました」


ざわめき。


「初期位置戻しを残した分、

 勝利数に加算されます」


一瞬の沈黙。


「よって——」


結果が、

一人ずつ読み上げられていく。


そして、

売田の名前が呼ばれた。


「……初期位置戻し、

 一回未使用」


会場が、

ざわりと揺れる。


「勝利数に一を加算。

 最終結果——」


言葉が、

一拍、置かれた

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