表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くれげの世界  作者: ぐろ
第三章 プロライセンス編
108/205

第106話 複雑

会場の照明が落ち、

スクリーンだけが白く浮かび上がった。


「三次試験の結果を発表します」


目立 番の声は、

相変わらず軽い。


「まず、説明しておくね」


一拍。


「三次試験には、裏ルールがあります」


ざわり、と空気が揺れる。



《評価対象》


《・視聴数》

《・高評価(GOOD)》

《・低評価(BAD)》

《・コメント数》


《すべてを合算し、

 “反応を生んだ量”として評価》


《通過者は、上位20名》


数字が、

無慈悲に整理されていく。



「つまり」


目立は、笑った。


「好かれても、嫌われても勝ち」


「無風が、一番ダメ」


誰かが、

息を呑む音がした。



ランキングが、

下位から表示されていく。


20位。


昏華すき


一瞬、

会場が静まった。


(……20番目)


ギリギリ。


すきは、

スクリーンを見つめたまま、

何も動けなかった。



続いて――


8位。

雪平 杏


納得の順位。


派手さはない。

でも、確実に支持されている。



5位。

売田 転


「……え?」


小さな声が漏れる。


売田本人が、

一番驚いた顔をしていた。


(……あれ、俺こんな上?)



2位。


名前が映った瞬間、

会場がざわつく。


九條 全


コメント数。

BADボタン。

炎上。


すべてが、

“反応”として評価された結果。


九條は、

唇を噛みしめていた。


喜んでいいのか、

分からない表情。



そして。


1位。


羽澄 京子


圧巻だった。


視聴数。

GOOD。

コメント。


どれも、

他を寄せ付けない。


「……まあ、そうなるよね」


誰かが、

苦笑混じりに呟いた。



「以上」


目立は、手を叩く。


「本日の試験は、終了!」


「明日から、

 四次試験(面接)に進みます」


軽い声。


でも、

会場の空気は重かった。



帰り道。


夕方の空。

人の流れ。


すきは、

少し後ろを歩いていた。


(……20番目)


通った。

でも――

胸を張れる数字じゃない。


「ちょっと」


明るい声。


振り向くと、

羽澄京子――バズ子がいた。


「落ち込んでる?」


すきは、

小さく笑って誤魔化す。


「……まあ」


「気にしなくていいよ」


羽澄は、

あっけらかんと言った。


「三次は、

 向いてる人が強いだけ」


「向いてないからって、

 価値がないわけじゃない」


それは、

優しさでもあり、

現実でもあった。



少し遅れて、

売田が合流する。


「……相棒」


すきを見て、

鼻で笑った。


「不甲斐ない顔してんな」


「……すみません」


「謝るな」


売田は、

歩きながら言う。


「三次はな、

 技術試験じゃねぇ」


「俺だって、

 正直向いてるとは思ってねぇ」


一拍。


「でもよ」


「向いてねぇって分かった上で

 どうするかが、

 プロの分かれ目だ」


すきは、

その言葉を噛みしめる。



前を歩く九條の背中。


2位。


でも、

どこか悔しそうだ。


(……みんな、

 それぞれ違う戦い方してる)


すきは、

空を見上げた。


(……明日)


(四次試験)


今度は、

プレイじゃない。


自分自身を、

 どう語るか。


それが、

問われる。


すきは、

歩幅を少しだけ速めた。


まだ、

終わっていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ