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くれげの世界  作者: ぐろ
第三章 プロライセンス編
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第99話 二人三脚


ステージに立ったのは、

無機質なスーツを着た男だった。


表情が読めない。

声も、感情を感じさせない。


「二次試験、試験官を務めます。

 威信電子いしん・でんしです」


会場が、静まる。



「二次試験は――

 二人三脚」


スクリーンに、

簡潔なルールが映し出される。



《二次試験》


《二人一組で行う》


《一人は、横移動操作のみ》

《もう一人は、奥行移動操作のみ》


《台選び、攻め方、修正を含め、

 試験開始から終了まで発言禁止》


ざわめき。


「話せないって……」

「無理だろ」


威信は、淡々と続ける。


「プロとして必要なのは、

 自分が上手いことではありません」


「相手の思考を読むこと」

「意思を、言葉なしで共有できること」


「それができなければ、

 チーム戦では――

 足手まといです」


冷たい言葉。


だが、

誰も反論できなかった。



「……昏華」


呼ばれて、すきは振り向いた。


九條全が、

少し距離を取って立っている。


視線が、泳いでいる。


「……あのさ」


一拍。


「一次試験の時」


言葉に詰まりながら、

九條は続けた。


「……ありがとな」


すきは、

しばらく黙ってから答えた。


「通過してよかったですね」


それは、本音だった。


でも――

視線は、柔らかくない。


「ただし」


すきは、はっきり言う。


「ババアって呼ばれたのは、

 許してません」


九條が、ぎくっとする。


「……っ」


「だから」


すきは、

真っ直ぐに九條を見る。


「二次試験で、

 借りは返してください」


九條は、

一瞬だけ驚いた顔をして――

それから、強く頷いた。


「あ、当たり前だろ」


不器用な返事。


でも、

逃げなかった。



《ペアを決めてください》


威信の声が、

会場に響く。


人が、動き出す。


すきの隣に、

九條が立った。


「……よろしく」


「こちらこそ」


短い言葉。


それで、十分だった。



「おい」


背後から、

大きな声。


「俺を捨てるのか!?」


売田が、

大げさに頭を抱えている。


「せっかくの相棒だろ!」


すきは、

困ったように視線を逸らす。


「試験ですから」


「冷てぇ……」


そう言いながらも、

売田はすでに別の男と並んでいた。


顔なじみの、

年季の入ったクレーンゲーマー。


「まあ、いい」


売田は、肩を回す。


「情報戦は、

 誰とでもできる」



少し離れた場所。


雪平杏の前に、

一人の青年が立っていた。


金剛良樹(こんごうよしき)です」


落ち着いた声。


「個人大会、

 ベスト3に入った」


雪平は、

一瞬だけ考えてから頷く。


「……お願いします」


互いに、余計な言葉はない。


最初から、

呼吸が合っていた。



さらに向こう。


羽澄京子は、

満面の笑みだった。


「え、ほんとに!?」


「初期からのフォロワーです!」


興奮気味の相手に、

羽澄はウインクする。


「じゃあ、

 信じてついてきて」


派手だけど、

軽くはない。


そこにも、

確かな関係があった。



全員のペアが、

揃う。


威信が、

一歩前に出た。


「二次試験は、

 失敗を修正できません」


「ずれたまま進むか」

「信じて任せるか」


「選びなさい」


照明が、落ちる。


《二次試験、開始》



すきは、

九條の横顔を見る。


緊張している。

でも、逃げていない。


(……やれる)


声は、出せない。


だからこそ――

伝えるしかない。


すきは、

ゆっくりと台に向き直った。


ここからは、

二人で一つ。


言葉のない、

二人三脚が始まる。

キャラ紹介 羽澄京子(ばずきょうこ)


通称:バズ子

・年齢:24歳

・活動:配信者/インフルエンサー型プレイヤー

・特徴:映えるプレイ・発信力

・口癖:「映えてますね♡」



◆キャラクター概要


“見られること”を武器にする現代型プレイヤー。


プレイは魅せるためのもの。

勝利だけではなく、

人の心を動かす瞬間を作り出す。


軽やかな振る舞いの裏で、

評価と数字の世界を生き抜いてきた覚悟を持つ。

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