第10話 賭ける女
凛が、詠を見る。
「一度、
はっきりさせておきたい」
ゲームセンターの音が、
一瞬だけ遠のいた。
「あなたは」
「景品を取るために
ここにいるわけじゃない」
詠は、にやっと笑う。
「うん」
「震えるため」
「……」
すきは、無意識に一歩引いた。
この人は、
勝敗を“結果”として見ていない。
「大会は」
凛が続ける。
「五人一組」
「一人一手」
「一度きりです」
「知ってる」
詠は、即答した。
「だから面白い」
「失敗したら、
全員負け」
「最高」
沙希が、思わず言った。
「……それ、
怖いんだけど」
「でしょ?」
詠は、嬉しそうに頷く。
「怖いのが、
生きてる感じ」
金が、首を傾げる。
「でもさ」
「それで負けたら、
嫌じゃない?」
詠は、金を見る。
「君」
「自分が外しても、
立ってられる?」
「……立つよ」
金は、即答した。
「だって、
次があるなら」
詠の目が、
一瞬だけ鋭くなった。
「……次、ないよ」
「大会は」
「一回きり」
「……あ」
金が、言葉に詰まる。
詠は、
楽しそうに続ける。
「君が殴って」
「私が賭けて」
「そのあと」
すきを見る。
「この子が、
未来選ぶ」
すきの心臓が、跳ねた。
「……私」
「うん」
詠は、はっきり言う。
「もう見えてる」
「怖がってるだけ」
凛が、低く言う。
「……根拠は」
「ない」
即答。
「でも」
詠は、笑う。
「賭ける価値はある」
沈黙。
沙希が、深く息を吸う。
「……詠」
「私たち」
「勝ちたい」
「でも」
一拍。
「誰かを、
踏み台にはしない」
詠は、沙希を見る。
数秒。
じっと、
値踏みするみたいな視線。
「……ふうん」
「じゃあ」
詠は、肩をすくめた。
「私を、
四手目にしなければいい」
凛が、即答する。
「それは、
できません」
「?」
「あなた以外に」
「壊せる人がいない」
詠は、
一瞬だけ驚いた顔をして。
すぐに、
にやっと笑った。
「……言うね」
「嫌いじゃない」
金が、拳を握る。
「俺、
失敗しても笑うよ」
「空気、
壊さない」
「それが、
俺の役目だから」
詠は、
初めて真顔になった。
「……凡人か」
「その位置に立つの、
珍しい」
すきが、
勇気を振り絞る。
「……一緒に」
「来てください」
「震えるのは」
「一人じゃ、
危ないです」
詠は、
すきを見つめる。
長い、沈黙。
やがて。
「……いいよ」
小さく、言った。
「四手目」
「引き受ける」
沙希が、
ふっと笑った。
「決まりだね」
詠は、
振り返りざまに言う。
「でも」
「私が外したら」
「恨まないで」
金が、即答する。
「恨まない!」
「むしろ、
楽しい!」
詠は、
吹き出した。
「……ほんと、
変なチーム」
四人目の特訓場に、
五人目の“賭け”が、
正式に座った瞬間だった。
すきは、
まだ知らない。
この女が、
一番自分を信じていることを
キャラ紹介
賭良 詠
•髪:赤〜ワインレッド系、ラフで無造作
•目:ギラついてる。勝負前は特にやばい
•服装:露出多め・派手・挑発的
•口癖:「賭けよ?」「それ、脳汁出る?」
•正攻法を無視する破壊型
•取れるのに“任せる”賭けを選ぶ狂気




