通学
次の日の朝。そういえば…
「学校はどこにあるの?」
わたしがレイくんに聞いてみる。
「空に浮かぶ島。」
「空に浮かぶ島?それって歩いて行けるの?わたし飛べないから…。」
するとお母さんが、
「歩いては行けないわね~。」
と少し困り顔をする。
「レイ、今日は一緒に乗せてあげてくれない?」
ユカおばさんがレイくんに提案し、分かった、と頷くレイくん。
「さあ、行っておいで!」
ユカおばさんとお母さんに笑顔で送り出された。
「前に乗って。」
ほうきに跨ったレイくんが言った。
前に乗るとなると…わたしはレイくんに後ろから抱きしめられるような感じになっちゃうよね?それはなんか…なんとなく無理な気がする。だったらわたしは後ろに乗ってレイくんに捕まる感じの方が良いよね。
「わたし、後ろに乗るよ。」
「だめ。前。」
「…分かった。」
でもらレイくんは譲ってくれなかった。わたしあんまり信用ないのでは…?
ほうきに跨ると、レイくんの右手がわたしのお腹に軽く回される。
心の中でううぅ~~恥ずかしい!と思いながらも学校へと飛び立った。
ほうきで飛んで学校に向かっていると、周りにもほうきで同じ方向に飛んでいる、年が近そうな子たちがいた。通学時間なんだ。
「レイ~!その子誰?彼女なの?」
とこちらに声を掛けながら、同い年くらいの男の子が近づいてきた。
「か、彼女…!?」
わたしはすごいびっくりしてしまう。なんでいきなりそういうことに?
「ほうき2人乗りしてるからさー。」
「え??」
もしかして、もしかしてだけど、こっちでいう相合傘みたいな状態ってことなのかな?レイくんは冷静で、
「まだ飛べないんだ。詳しくは後で。」
とだけ答えた。わたしだけ緊張してて恥ずかしい…。