この世界
あのままお昼過ぎくらいに寝てしまって、目が覚めた時には夕方だった。
お母さんとユカおばさんとレイくんが集まって、話し合いが始まる。お母さんがわたしに尋ねた。
「じゃあまず、真優は聞きたいことある?」
「…あの大きい蜘蛛はなんだったの?」
「魔ノモノ。ここでは大きくなった昆虫を魔ノモノって呼んでるの。もともとは小さい普通の昆虫だったんだけどね。」
とお母さん。ユカおばさんが続けて、
「何がきっかけかはまだはっきりしてないんだけど、大きくなった昆虫が魔法使いを襲うようになったの。」
「遠い昔、科学者たちは不思議な現象を起こす鉱石を発見した。その石を持つ者は水を操ったり、物を浮かせたり、光で夜を照らすことが出来た。科学者たちは石を研究し、その力をコントロールすることに成功した。これが魔法の始まり。」
レイくんが補足した。
「昆虫が大きくなったのは、自然現象とも、石の力を悪用しようとしている科学者がいる、ともいろいろ言われてるわね。」
ユカおばさんが締めくくる。
「そうなんだ…。」
「今度はお母さんから真優に聞く番ね。レイくんから聞いたけど、魔ノモノを攻撃しようとした時に、止めようとしたのよね。どうして魔ノモノをかばおうと思ったの?」
「かばったわけじゃなくて…。少しかわいそうと思ったの。」
「そう…。とりあえず無事だから良かったわ。でも、多分真優は魔法を使ったのよね?何の魔法だったのかしら??」とお母さん。ユカおばさんは首を傾げながら、
「うーん…小さくしたのかしら?魔法はまだ分からないこともまだ多いから、なんとも言えなけど…。」
そしてユカおばさんとお母さんが声を揃えて言った。
「レイ、しっかり見ててあげてね!」
「レイくん、真優をよろしくね」
なんでわたしのことをレイくんに?
「どういうこと?」
「明日から、レイくんと同じ学校に通うからね。」
2人はにっこりと告げた。