新しいお家
しばらく飛んでいると森が終わり、街が見えてきた。近づいてきて街をみおろしていると、レンガの道とカラフルな家で、
「かわいい…！」
思わず見入ってしまい、少し前のめりになるとほうきがふらっと揺れた。
「危ない。じっとしてて。力入らないままでしょ。」
「うん、ごめんなさい…。」
少し強めの声でレイくんに注意されてしまった。変わらず、わたしはほうきの上でレイくんに抱きかかえられたまま。そのままスーっと下りていき、パステルの黄色い大きめの一軒のドアの前で止まった。
「ここ。歩ける？」
「たぶん大丈夫です。ありがとう。」
ほうきからひとりで降りたけれど、思ったように足に力が入らなくて、ふらついてしまう。横からすぐにレイくんの手が伸びて体を支えてくれた。
「ご、ごめんなさい…！」
大丈夫って言ったのに、助けてもらっちゃった。そんなに太くない腕なのに、力強くてドキッとしてしまう。
「危なっかしい。」
ほうきを消すと、わたしの体を抱え上げた。
「えっ！？だ、大丈夫です、歩けます。」
「大丈夫じゃない。おとなしくしてて。」
うぅ〰と声にならない声をあげながらレイくんに抱えられたまま家に上がった。
「ただいま。」
レイくんが家の奥に声をかけると、奥からバタバタ音をさせながら、ユカおばさんとお母さんが出てきた。
「遅かったわね。大丈夫～？」
のんきな感じで声をかけてきたふたりだったが、抱きかかえられたわたしを見て、
「…何かあったのね？どうしたの？」
ユカおばさんがお尋ね、お母さんは、
「話は後にして、とりあえず休みましょ。」
と言ってくれた。
「そうね、部屋こっちよ。」
「マユちゃん、この部屋使ってね。」
部屋に案内しくれて、レイくんはわたしをベッドに下ろした。
「話はレイから聞くから、マユちゃんはゆっくり休んでてね。」
ユカおばさんの言葉を最後にわたしはあっという間に寝てしまった。
