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第七話:必殺、殲滅!

 伊400は“うりゅう”と別れてから最大戦速で台湾沖に急行していた。


 その過程の中、司令塔では日下が椅子に座りながらじっと何かを考えていて傍にいる橋本は日下が何かとんでもないことをするのだろうと思っていた。


「なあ、橋本君? 今までの平行世界の旅は隠密で行動して目立つことはしなかったが今回に限り大いに表舞台にでてみようかと思うのだが?」


 日下の言葉に司令塔にいる橋本以下の乗員が心の中でうんうんと頷いていて橋本が彼らの代表として口を開く。


「よろしいかと? この伊400の存在をこの世界全体に見せつける事によって日本という国を自然と守れるかと」


 橋本の言葉に水を得たように日下は笑みを浮かべて頷くと椅子から立ちあがって艦内全区画一斉放送のボタンを押してマイクに口を近づけて喋る。


「諸君! 今の状況は既に認知していると思うが今回のこの世界ではこの伊400の存在を世界中に示す! 武御雷神の矛は、勿論だがその他に関しても大いに見せつけて世界中の度肝を抜いてやろうではないか! この行為は、時代や世界は違えど我々も日本人だ! この日本に喧嘩を売れば災厄が襲う事を身を以て示す!」


 この日下の放送が終わったと同時に凄まじい拍手が艦内の至る所で聞こえる。

 日下は笑みを浮かべながら橋本の方を見ると彼も又、大きく頷いて日下とグータッチして笑みを浮かべる。


「艦長! 到達予定ポイントまで後四分ですがどんなパフォーマンスで?」


「……もう決めている! 急速浮上で海面にジャンプだ! もしかすると数メートル空中に一瞬だけだが飛ぶかも? それと同時に武御雷神の矛を展開してC国艦隊を葬る!」


「了解です! 機関室から報告です。すこぶる順調だとの事です!」


「艦長、遥か上空の偵察衛星が台湾沖上空に展開していますが何か感ずいたのでしょうか?」


「まあこの世界の米国も馬鹿ではないからな、勘が鋭い人物なら何かが起きると思っている筈だがそれを上乗せして見せつけてやろうではないか」


 そうこうしている内に浮上ポイント地点に到達したことを聞いた日下は操縦士に急速浮上を命じる。


「アップトリム最大! 最大戦速で海面にジャンプして直に武御雷神の矛の展開だ!」


♦♦


 その頃、台湾沖海上ではC国海軍のほぼ全隻が集結していて出撃体制に入っていたのである。


 空母3隻を旗艦とする四十隻の大艦隊で威風堂々としている。


「よし、1300時に出撃だ! 小日本の自衛隊なぞ、この艦隊の前には稚児に等しいぞ、米軍も積極的には動かず中立に徹する事! 我が国に栄光あれ!」


 空母“大連”艦橋で総司令官『袁世公』大将はマイクで全艦艇に檄を入れると歓声が沸き起こる。


 それに満足した彼は1300時になったと同時に出撃命令を出す。

 その時、前方に展開していたフリゲート艦“宋”から緊急無電が入る。


「何? 前方2キロ海中から50ノットの高速で海上に向かっている物体?」

「はい、どうやら潜水艦らしいです」


 袁大将は一応、対潜水艦迎撃を命じた瞬間、海面が膨れ上がって巨大潜水艦が飛び出してくる。


「な、何なのだ!? あれは……!?」


 勿論、それは伊400で実に海面から二メートル浮き上がって海面に着水する。

 日下は直ちに武御雷神の矛展開を命ずる。


  格納庫前方の甲板が左右に開くと射出レールが収納されて代わりに独立した武御雷神の矛発射装置が現れる。


機関室ではエネルギー粒子の回路の切り替えを行い武御雷神の矛発射管に伝達させる操作を開始する。


「発射管の圧力を上げて非常弁を閉鎖だ」

「荷電粒子砲バイパス用意完了! 異常認めず」

「バイパス接続十秒前! カウント開始、……二秒前、一秒前、バイパス接続! エネルギー伝導管及び圧縮弁開放!」


 中性粒子が発生すると同時に次々と圧縮弁を経由して粒子加速器に投入される。

 加速器により膨大な粒子が発生して次々と途切れることなく圧縮されていく。


「エネルギー充填百パーセント! 百二十パーセントまで圧縮充填します」

「……エネルギー充填百二十パーセント! 武御雷神の矛射出口開放!」

「電力増幅装置起動開始! 十億メガワットまで増幅」

 この時、圧縮伝導管室内は前代未聞の粒子が圧縮・収束されていて逃げ場を求めていた。


「照準を沖合に停泊している機動部隊に設定しました!」


 機関室では在塚大佐がPCモニターを凝視している。


PCモニターの数値が十億メガワットを表示した時に艦内無線で報告する。

「重力アンカー作動開始」


 射出口の奥が光輝いてきてそれが段々と強くなっていく。


「発射カウントダウン、十秒前……七秒前……三秒前……一秒前……発射!!!」


 司令塔に設置されている発射トリガーを日下が引くとカチリと音がする。


 この瞬間、限界値まで圧縮収束された中性粒子が一気に開放されて凄まじい速さで一直線で撃ちだされる。


 その巨大な光の塊は前方のフりゲート艦を呑み込んでそのまま空母“大連”と縦横列に並んでいた艦船を一瞬で呑み込むと同時に一瞬で爆発と同時に一片たりとも残さず消滅してしまう。


 『袁世公』大将以下乗員達は何が起きたか分からずに消滅する。


 この一撃で空母“大連”“上海”以下7隻の艦船が武御雷神の矛のエネルギーに呑み込まれて消滅したのである。



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