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第二十五話:お互いの頭の中

 日本国による大東亜共栄圏設立発表に対してC国が対抗して大中華連邦を提唱して大陸の各国がチャイナマネーの力により傘下に入り残りタイ王国だけが返事を保留していた。


 その中、C国は今までに溜めていた資金を使って海軍の再建を図り急ピッチで艦船や潜水艦を建造する。


 その一方、C国は空軍や海軍で台湾等の反C国の諸国に展開して圧力をかけていたが海軍が潰滅した結果、大東亜共栄圏に参加したフィリピンがかつて武力で強奪されていた島を次々と取り返して行く。


 海軍再建に向かうC国に手を差し伸べたのがR国で既に廃艦となっている空母“キエフ”“ミンスク”“ノヴォロシースク”“バクー”の四隻が無償で供与される。


 しかも最新鋭戦闘機ミグ35とSu46戦闘機100機が提供されたのである。


「解体されていたと聞いていたがR国は保存していたのか? ソビエト連邦の亡霊が再び蘇ったのか! しかも前年に正式決定された最新鋭戦闘機を提供してくれるとの事だがモスクワは見返りとして何を望んでいる?」


 北京で執務している趙主席は、表敬訪問しているR国大使により渡された目録を読みながら言うとR国大使は笑みを浮かべて答える。


「アジアの恒久的な平和を大統領はお望みです。但し、日本ではなく貴国が盟主としてです」


 R国大使の言葉に趙主席はニヤリとすると正面に貼っているアジア方面の地図に向かって行く。


「貴国が欲しいのは平和ではなくここではないのかね?」


 趙主席が指を指したのは北海道であった。


 R国大使は惚けた表情をしながらR国はC国の大中華連邦構想を指示しますがどうしても日本が邪魔で仕方がないと言うと趙主席も頷く。


「大東亜連邦? ふざけた名前です! 我が大統領は一週間後に開催される国連安保会議で第二次世界大戦で敗北した国に対する“敵対条項”の既決を提案するつもりです」


「……成程、しかし米国と英国はどうするのでしょうね? まあ、フランスは我が国を指示してくれる手筈ですがね?」


「そこは我が国の外交力に期待して欲しいですね? 一番の問題が米国ですが既にお土産を準備していましてな、今の米国にとって最も欲しい物です!」


「米国が最も欲しい物……成程、例の国土病の特効薬ですね?」


「そうです、極秘機密としていますがあの病気は米国のみでしか発生しないのです。しかもその病気は10歳以下の子供に移りやすく一度かかれば死にはしないが遺伝子が壊されていく病気でまあまともな人生はお終いと言われている」


「ええ、我が国はその遺伝子工学を駆使して病症を遅れさせる薬の開発を完成したのです。米国大統領は直ぐに飛びつくでしょうな。何しろ彼女の子供も例の病気にかかっているのだから……」


 二人は顔を見合わせると悪い笑みを浮かべながら握手をするが時代劇を嗜んでいた人が見れば正に悪代官と悪徳商人の表情であった。


「R国による北海道侵攻戦は陰ながら我が国も最大の援助を惜しまないです。それを大統領にお伝えください」


「有難うございます、主席。しかし、U国で亡くなったイワノフ大統領は対話主義路線でしたからな、今のラスプーチン大統領の方が我等も働き甲斐がある」


♦♦


 一方、大東亜共栄圏に参加した国々のトップが首相官邸に集まり日本式の手厚い持て成しを楽しんでいた。


 その持て成しが済んだ後、本格的な会議に入る。


「笠間総理、C国海軍が潰滅した事は嬉しい事だが情報によると急ピッチで各種軍艦を建造しているとの事ですが我が国は昔と変わらずC国が脅威です」


 新たに独立宣言をした“中華台湾国”蒋海東“総統が憂いた表情をするが笠間総理は笑みを浮かべて御心配はいりませんと言い横にいる真崎に目配せをすると彼は頷いて総理の言葉を引き継ぎますと言い代わりに喋る。


「総統の心配事は最もです、日本と致しましては海上自衛隊の護衛艦と航空自衛隊及び陸上自衛隊の長期派遣を考えていますが了承して頂けるのであれば直にでも出発させますが?」


 真崎の言葉に総統は吃驚すると共にそれは本当ですか? どんな部隊を派遣してもらえるのですか? と聞いてくる。


「勿論、精鋭部隊を派遣します。台湾国には一歩も手を触れさせませんので」


 真崎の言葉に総統はお礼を言うと総理にも頭を下げる。


 フィリピン大統領が我が国にも精鋭たる自衛隊の長期派遣をお願いしたいのですがと言うと真崎は頷いてそれは当然のことですと答える。


「大東亜共栄圏の生命線ですがかつて大東亜戦争は大平洋方面でしたが今回は東シナ海や南シナ海からの脅威です! 台湾・フィリピンの両国こそが昔のマリアナ諸島と同じ存在です。ですので我が国も全力を以て防衛します」


 真崎の説明が終わった時、笠間総理が引き継いでこれからの運営方法を話し合い実に4時間が過ぎた頃、会議は解散になり元首たちはそれぞれ用意されたホテルに戻っていく。


 再び二人になった笠間は、真剣な表情をしながら椅子に座りながら足を組んで真崎に質問する。


「本当に貴方は大東亜連邦を目指しているの? どう考えても正気ではないと私は思うのですが?」


「…………まあ、時が経てば分かります。総理は国内の政治のみに専念してください! 軍事の事は我々に任せて頂ければ」


 真崎の言葉に笠間は溜息を吐くと共に相棒であった直木元防衛省大臣の事を思いだすと再びがっくりする。


「(何とかして呼び戻したいのですが?)」


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