表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
苦魔 ー黒羊と少年ー  作者: カイ
2/3

悠人

孤児院の庭園、悠人という少年が居た。

「ふぅん...。読めない漢字ばかりだな。」

「お前また本読んでるのか。たまには皆と混ざればいいのに。」

「いや、いいよ。あまり体は動かしたくないし...。」

「ふぅん じゃあいっか。」

悠人は庭園のベンチで常に本を読んでいた。同じ本を何度も。

「おい、悠人、また本読んでるのか。」

「あ、おじさん。こんにちは。」

「何の本を読んでいるんだ...?」

「黒羊。読めない漢字ばかりだけど。」

「お前いっつもそれ読んでいるのか。好きなのか?」

「特別好きってわけじゃないよ。この人が書いている小説は全部好きだよ。誰が犯人だったり、謎を解くシーンだったり、場面の切り替わり、展開だったり全部が面白いんだ。」

「へぇ...。かなり好きなんだ。」

「うん。俺はこれを読むのに集中しているから、話はまた後でね。」

「じゃぁ、ちょっと聞きたいんだけど、なにか欲しいものはあるか...?」

「? いや、特に無いけど。」

「本当か?他の子達は皆欲しいものがあるぞ。おやつとか、おもちゃとか、なんかあるだろ?」

「いや、別にいらないかな。この本にだって、甘やかされすぎた子供は将来駄目になってしまうって。」

「夜隅みたいになりたいのか...?」

「!? どうして、この小説の人の名前はを...知ってるんですか...?」

「そりゃ分かるさ。俺だって昔子供の頃読んでいたからな。何度も何度も。」

「へぇ... 意外と古い本なんですな。」

「30年前くらいに作られたんだぞ。知らなかったか?」

「はい。」

「そうか、じゃぁ、もう一回聞くけど、欲しいものはあるか?」

「強いて言うなら、この人の書いた...他の小説がほしい。黒羊以外の。」

「よーし、分かった!見つけたら買っといてやる。」

「本当!?ありがとう、おじさん。」

悠人は微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ