56.気になること?
パーティ?パーティー?
調べたらどっちでも良いって書いてるけど、どっちが皆さん的に良いです?
ヴィオラと組んでる方は「パーティ」だから
クリスマスの方のパーティは「パーティー」にします?
誤字指摘いただいたので、感想にてご意見いただければありがたいです。
ちなみに自分は「サーバ」「コンピュータ」「メモリ」と伸ばさない業界にいるので脳死でパーティと表記してました。
ご意見ありがとうございます。ひとまず「パーティー」にしてみました。
「皆まだ何か隠してる?」
『まだとは』
『我々が何かを隠していたことなど一度もないぞ』
『そうだよ、失敬な』
「いや、何か凄く連帯感出してて良い感じだけど、僕の配信見てるのに、僕にはあえて言ってこなかったこと知ってるからね!?」
『ははは、そんなまさか』
『そうです、僕達蓮華さんが配信に気付いてないなんて知りませんでした』
『知ってたら言ってましたよー』
「おっと? この期におよんで白を切るつもりかな??」
『やばいぞw』
『目が笑ってないw』
『これはガチの奴』
『なんでAIカメラ急に正面からの配信になったのw』
『カメラが良い仕事してる』
「正直に言ったら怒らないから、ほら」
『それ絶対怒るやつだよ、知ってる』
『逆に蓮華くんは一通りシステム触って何も気付かなかったの?』
『そうそう、気になる事なかった?』
「気になること……気になること? んー」
3銀……、3銀ってGoW通貨だよね。お金と言えば、インベントリ内に表示されてた金額が何か変だった気がしたんだよなあ。
「そう言えば、インベントリ内の通貨表記が何か変だった気がするなあ。二つに分かれてて、一つは括弧付きだったけど……。てっきり僕がNPCの時に稼いだお金と、プレイヤーの初期軍資金で分かれてるんだと思ってたけれど、考えてみたらあんな金額が初期費用の訳がないぞ!?」
『おっそw』
『初期軍資金w誰かが言ってた予想当たってて草』
『3銀投げられなかったら大して疑問にも思わなかったと……』
『いくらかは知らないけど、絶対初期軍資金としてはおかしい桁なのは知ってる』
「ぐうの音も出ない……」
そうだよ、よくよく考えたら三百銀って、三十万円相当だよね? そんな初期軍資金あり得なかったわ。括弧付きなのはGoW内で稼いだと言うよりも、投げ銭で稼いだから分けられてたってことか……
「要するに、この括弧内の金額って投げ銭ってことだよね……? 配信どころか投げ銭まで受け付けてた感じ?」
『せやで』
『今度アーカイブ見直してみると良いよ、皆訳のわかんないところで投げ銭してたから』
『そう言う君も変なところで投げ銭してた仲間なのでは?』
『ばれたか』
「えー……僕の知らないところでこんな金額稼いだって考えたらちょっと怖いというか申し訳が無いというか......」
「配信しよう!」と思い立って配信してるならともかく、配信の存在も知らずにだらだらと過ごして稼いでたって、なんだか投げ銭してくれてた人に申し訳ないような。いや、でも何らかの価値をその配信に見いだしたからこそ、わざわざ投げ銭してくれたってことだから、素直に受け取るべき? むむむ。
「うーん、じゃあこうしよう。この先投げ銭してくれるものはありがたく受け取るけど、現時点で貰ってる投げ銭は今回のイベントの食材費用とか、可能であれば場所代として使わせて貰う。で、今見てる人達と一緒にクリスマスパーティーとか年越しとかする。どう? 一旦換金してから課金って考えたら、若干目減りしちゃうけれど」
『胸熱企画ktkr!』
『やばw』
『課金した金で人に食べさせる……それ、何て慈善事業ですか』
『稼ぐ気だったんじゃないの? それで良いの?』
「うーん、さっきは既に投げ銭がこんなにあるって知らずに発言してたからなあ。料理が作りたい、皆でわいわいパーティーをしてみたい、と言う僕の願望さえ叶えば良くて、その為に原価の課金食材分さえ回収できれば良いかなーって考えての発言だったんだよね。それが、むしろ逆にある程度まとまった金額が先に貰えちゃった訳だから、あとは赤字にならない程度にパーティー出来れば良いかなって」
『パーティー参加したい人全員が投げ銭してる訳じゃないと思うし、自分が投げたお金で見知らぬ人に料理おごるってなるともやもやする人は居ると思うけどなあ』
『基本的に蓮華くんの視聴者はまあそれなりに良識ある人達だとは思うけれど、一応ある程度の参加条件として参加費徴収するくらいはした方が良いと思うぞ』
『そうそう、クレクレとか湧いても皆が不愉快になるだけだし』
『もし本当に場所借りるなら、余裕で足出るんじゃない? 手持ちの投げ銭だけでやろうとしないで、追加で投げ銭募る位で良いと思うぞ』
あれ、なんか皆想像以上にちゃんと考えてくれてるし、僕の見切り発車を優しく諭してくれる辺り、凄く親切だぞ……。困惑した僕の表情を知ってか知らずか、ヴィオラが口を開く。
「貴方の配信視聴者って、他で類を見ない位良い人達ばかりよね。私も随分お世話になってるし、本当に頭が上がらないわ」
「ん、視聴者さん達と面識があるの?」
「いえ、具体的に誰が誰とかは知らないけれど。私の個人スレッドを立ててくれたのは、貴方の視聴者さんだから。過疎にならないようにしっかりとメンテナンスもしてくれてるし、本当に良い人達よ」
『ばれてる』
『知ってた……だと!?』
『おい、筒抜けだぞw』『そりゃヴィオラちゃんも蓮華くんの個スレずっと見てただろうから、「スレ立ててくる!」とか言う発言も読んでただろうよ』
「な、なんか良く分からないけれど凄く良い人達だって言うのは分かった。えっと、とりあえず皆のアドバイスに従って、参加費は少し貰うことにしようかな。それとは別に、場所に関して判明した段階でまた協力を仰ぐことになるかもしれない」
『まあ常時配信なら、俺達もすぐに事情が把握出来るしいくらでも協力するよ』
『人生で初めてクリスマスにパーティーを出来ると思ったらいくらでも協力するに決まってる』
『お正月ひとりで過ごすの本当に辛かったから助かる!』
「よし、それじゃあこの話は一旦ここまでにして……テイマーの皆さんに聞きたいんだけど、気を付けないといけないこととかあったりする? ギルド所属のテイマーさんには色々教わったけど、NPC冒険者みたいだから一応プレイヤー特有の注意点とかあったら教えて欲しいなって」
我ながらちょっとゲーム慣れしてきた感があるのではないだろうか。ゲーム開始当初だったら、きっとそもそもNPCとプレイヤーの違いがいまいち分からなくてアリオナさんの説明で満足していたと思う。プレイヤー特有の観点に着目出来た自分……ちょっと成長しているぞ、うん。
『そうそう、テイミング契約結んだ相手にも熟練度が存在しているから、一度確認してみた方が良い』
『パッシブスキルに関してはこっちでオンオフ出来るからね。都合が悪いパッシブはオフにしとこ』
『熟練度と言えば、蓮華さんの熟練度めっちゃ気になるんだけど』
「へー、アインにも熟練度が存在してるってこと? どっから見るんだろう……。あ、僕の熟練度は人様にお見せ出来るような代物じゃないからパスだなあ」
『謙遜してるように聞こえるけど、実際違うよね』
『どう考えてもレベルが低すぎて見せられない、じゃなくてレベルがべらぼうに高すぎて見せられないって意味だな』
『本人でも見せられないと気付いてしまうほどの熟練度ってどう言うことなのwww』
『その情報だけで察しちゃうよね……』
『テイムモンスターの情報は「キャラクター」→「テイム」→「テイムモンスター名」から見れるよ』
「えーと、キャラクター、テイム、アイン……あー、これか。装備とかステータスも見られるんだね。で、熟練度が……?」
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盾派生
└大盾:25809 盾装備時のヘイト上昇(小)
近接派生
└槍:21334 槍装備時の貫通力上昇(小)
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目につくのはこの辺りだろうか。考えてみれば、熟練度の見方が良く分からないな……。自分の分はちらっと見ただけでなんかやばそうだなと思って速攻閉じちゃったもんなあ。
『数値たっかw』
『この世界に生まれ育った人はこれくらい普通ってことっすか……』
『アインって間違い無く亡くなる前は冒険者だったよね、これ』
『亡くなったときの年齢にもよるんじゃないのか。熟練冒険者でこれなのか、それなりに若くてこの高さなのか』
『えー、盾のパッシブでヘイト上昇すんのかー、パッシブ解放まで頑張れるだろうか、俺』
「む、無知を晒すようで申し訳ないのだけど、熟練度の見方と、あとヘイトの意味を……教えていただけると」
「熟練度には大ジャンルと、そこから伸びる派生があるみたい。アインくんで言うと、近接という大ジャンルからさらに細かい槍派生が伸びてるわね。槍を使っていれば大ジャンルである『近接』の熟練度も若干上昇するから、将来的に別の近接武器に持ち替えた際も、一から頑張らなくても良いと言うことよ。それから『ヘイト』は、憎悪という意味で、要するに敵の視線をどれだけ集められるかと言うこと」
『さすがヴィオラ先生』
『蓮華くんの師匠登場』
『教え方が上手い』
「ああ、なるほど。確かに槍からレイピアとかに持ち替えたからって、全くの素人からやり直すわけじゃなくて、ある程度武術の心得がある状態から始まるもんね。大ジャンルか……。さっき誰かが言ってた、『パッシブスキルのオンオフ』というのは、このヘイト上昇率とか言うもののこと?」
『そうそう。盾を持たせて自衛はさせたいけれど、敵のヘイトはアインくんじゃなくて蓮華さんが集めたいときとかはオフにしておくと良い。ちなみにデフォルトは「おまかせ」で、アインくんが自分で判断するようになってる筈』
『俺達からしたらそう言う戦術を考えることも出来ないけど、蓮華くんならありそうだな』
『槍のパッシブはオフにする状況が思いつかないしそのままでも良さげ』
「あー、だからダンジョン内でボスのヘイトを僕とアインで交互に受け持ってたのか。アインが状況を分析して、僕と二人で受け持った方が良いと判断したってことだね?」
僕の問いかけにこくりと頷くアイン。なるほど、めちゃくちゃ賢いな、アイン。まあこれだけ熟練度が高いんだから冒険者としての経験値はかなりのものなのだろうし……納得。
「ダンジョンでのアインの判断は僕と同じだったからなあ。今のまま『おまかせ』で良いかも。僕が明示的にヘイトを受け持つ宣言したら、オフにしてくれる? アイン」
僕の言葉にアインがサムズアップする。口答での内容を判断してオンオフしてくれるなら、なおさら「おまかせ」のままで十分だね、うん。