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41.良く口ずさむ歌かあ

「それじゃあ再開!」


 いよいよ何かがありそうな右奥!と言う高揚感もあってか、謎の掛け声と共に進行を再開。


「『カラオケでよく歌う歌は何ですか?』。完全に偏見だけれど、蓮華くんってカラオケ行ったことなさそうよね」


「お、大正解。行ったことないなあ。完全に未知の世界」


「やっぱり。それじゃあ、よく口ずさんだりする曲はあるのかしら? ちなみに私の場合は十八番!って言う曲は全然なくて、そのとき放送されてるアニメの曲を歌う感じよ」


「良く口ずさむ歌かあ。歌と言って良いかは分からないけれど、敦盛は良く口ずさむかなあ」


「『敦盛って信長で有名な人間五十年~ってやつですか?』ですって。みんな詳しいわね」


「そうそう、幸若舞の敦盛。僕はもともと別に好きではなかったんだけど、友人が好きでね。よく謳っているのを聞いていたよ。それが元でいつの間にか僕も口ずさむようになっちゃって」


「友人の影響って結構あるわよね。私も、全く興味がなくてスルーしてた漫画を友人に推されて、読んでみたらどハマりしちゃった経験があるから分かるわ。それじゃあ次の質問。『蓮華さんってゲーム初心者ですか?』ですって」


「うん、このゲームが初めて。一応、プレイ前に予習としてVRMMORPGものの小説は色々読んでみたよ」


「『そこで小説が出て来る辺り斜め上』って意見が大半ね。私も同意よ。なんで小説なの?」


「え……うーん……機械音痴過ぎて調べ物と言えば書籍だから?」


「小説は攻略本じゃないのよ……?」


「でも雰囲気は掴めるでしょう? ゲームによって色々細かいシステムは違うみたいだけれど、だいたいゲーム特有の考え方というか、暗黙の了解というか、そう言うお作法を学ぶのに小説は最適だったよ」


「『確かにVRMMOものの小説からゲームに入った勢としては納得出来る部分もある』ですって。ゲーム好きだからそのジャンルの小説を読むんじゃなくて、小説から入ってゲームに興味出る人もやっぱり居るのね」


「ヴィオラはもともとゲームが好きな人?」


「そう……だったかしらね? 改めて聞かれるとどうだったかしら。私はサブカル全般が好きだから、好きな漫画がゲーム化したのかのがきっかけだったと思うけれど……、忘れちゃったわね」


 興味を持ったきっかけをいつの間にか忘れてしまったりとか、長く生きてるあるあるだなあ……。


「ゲーム初心者の僕から見たらヴィオラはもう……雲の上の存在? その動体視力どうなってるの、とか、判断力の早さどうなってるの、とか、情報収集能力凄いなあ、とかいつも思ってる」


「私も視聴者の皆と同じことを思っていたわ……うん、『ブーメラン』ね。それだけの強さと情報収集能力の高さを持ってる貴方に雲の上の存在とか言われても煽りにしか聞こえないのよね……」


「それは多分このゲームがVRだからだよ。昔一般的だった、モニター越しにキーボードとかで操作するタイプのゲーム?なら間違いなく手も足も出ずに死んでる自信がある。なんならチャットとか言うのが打てなくてコミュニケーションがとれないと思う」


「今の発言に対して『そもそも何でそんなに強いの?どこで身につけたの?』って質問が来てるけど……」


 ちらっとヴィオラは僕を見て躊躇いがちに質問を読み上げた。そうか、彼女は僕が吸血鬼で長く生きていると分かっているから、答えにくいと思っているのだろう。こう言う気遣いを見ると、やっぱり彼女は僕に害を為そうとしている訳じゃ無い気がする。


「お家柄的に家でずっと修練をしていたから、かな。ほら、一口に刀と言っても、型とか流派とか色々あるでしょう? そういう歴史的価値のあるものを、失いたくないって言う考えの家でね」と僕は適当に濁す。もともと僕の生家は武士の家庭だったので、家系的に刀を握ったというのは噓ではない。ただ単純に、人より長い時間刀を握っていたと言う事実は口にしないけれど。まあ、今の時代、一体どんな家で刀の修練をするんだ、と言う突っ込みはありそうだけれども。


「あら、今の質問は私にも向けてだったの? そうね、私の場合は……そもそもこの国の生まれじゃないのよ。この国では弓での狩猟は禁止されているけれど、海外では全然そんなことはない。で、我が家は山奥で自給自足の生活をしていて、銃器を買うお金もなかった。そうなると残された道は罠もしくは弓で仕留める以外なかったのよね。生活をしているうちにどんどん上達していった感じよ」


 ヴィオラの方も絶妙にそれっぽい説明を披露している。僕と出会ったあの辺りに集落があったのだとしたら、確かに海外で生まれ育ったのだろう。でも、集落で暮らしていたのだとしたら、どうしてヴィオラは一人で日本に居るのだろう? いや、一人じゃなくて仲間とこちらに移住してきた可能性もあるのか……。


 そう言えば、前に魔法の話をしたとき、ヴィオラはあまり良い顔をしていなかった。もしかしてヴィオラは魔法を使えないとか? そもそもエルフが魔法を使えるって本当だろうか。


 いけない、ヴィオラがエルフだと分かった途端、色々と腑に落ちるけれど、逆に気になる点も色々出て来てしまったからつい考えてしまった。職業柄、疑問に思ったことはなんでも追究する癖が……。


「――げくん、蓮華くん、聞いてる?」


「えっ、ごめん全く聞いてなかった」


「……素直なのは良いことだけど、もう少し取り繕ってくれても良いのよ? 心なしか方向が狂う頻度が上がっているのだけど、蓮華くんは何か感じない?って聞いたのよ」


「ああ、そう言われれば確かに……気持ち悪さがひどくなっている、って言えば良いのかな?そんな感じはあるね」


「そう。それじゃあ、いよいよ目的地が近いってことかしらね? 注意して進みましょう」


 ヴィオラの言葉に僕は頷く。質問への回答タイムは一時中断。全神経を集中させて、ヴィオラはマップ読みを、僕は何か気になるものがないかを探しながら歩く作業に没頭する。


「あの木が気になるな」


「確かに気になるわね。マップ上でも、あの木から離れるように誘導されている感じがするわ。ちょっと調べてみましょうか」


「……ただの木だねえ。これといって怪しい点が全くない。変だなあ、どう考えてもこの木に何かあるように感じるんだけど」


 見る限りでは普通に見えるし、ちょっと触ってみても良いかな? 何かあったらヴィオラとアインが対処してくれるよね、うん。


 そっと木の幹に触れてみようと思った瞬間。


「あっ」


「えっ!?」


 幹に見える部分に物質的感触はなく、僕は勢いよく何かに吸い込まれたのだった。やっちゃった、ごめんなさい。


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【個スレ】名前も呼べないあの人2【UIどこぉ】


 名前を呼びたくても呼べない、あの人に関する話題です。

 名前は判明しましたが、諸々の事情で名前が呼べない為、タイトル継続しました。

 万が一本人にばれたら困るからね!!!

 ※運営側も確認してあげてください。何だかおかしいです。


209【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

魔法陣か。これがアンデッド襲撃の元凶か?


210【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

なんとまあ禍々しい雰囲気出しちゃって……後処理大変そう。


211【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

おー、NPC冒険者に魔術師居て良かったな。

いかにも魔術師!って感じのテンプレ装備w


212【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

前線に立たないなら機動力重視するよなー。あと身体鍛えてなくて防具が重くて死にそうw

まあもしかしたらこのローブも金属糸で織ってあるのかもしれないけど。


215【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

ええええええええええええええええええええええ


216【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

なに、なにいまの


217【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

配信のコメントの方も大混乱wwww


218【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

NPCめっちゃ目逸らしてるけどwww


219【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

嫌な現場に居合わせちゃったなあ感が凄いよ


220【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

俺達は今何を見せられているの????


221【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

あ、あー……ワールド初のステータス上昇装備かつ、超級レア度のペンダント……?


222【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

普通は一個だけつくのかー……


223【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

『ペトラ・マカチュの魂の残滓が宿った』って嫌な名前だなあwww


224【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

マークの次は蓮華くんだったか……。


225【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

混乱の中、配信が終了した……w

考察班、情報求む。


238【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

ステータス上昇装備があることが分かったのはかなりの進展。

ただ、効果が二つとは言え、これはかなり使用する場所が限られてて使いにくそうなステータスだよなあ。


239【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

死霊術とアンデッド耐性だもんなー。前回みたいなイベントがない限りまず使うところはないよな。


240【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

いやいや、冷静に考えてみろよ。

今後の展開的にどっかしらのボスとしてネクロマンサー出て来るじゃん。

その時大活躍するだろ。+5がその頃にはゴミ装備扱いじゃない限り。


241【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

何にせよ判断基準は欲しいな。+1から始まって、ランクが上がる毎に1ずつ上がると仮定すると、+5なら現時点でかなりレア度高い気がするけど。


------------------------------


【個スレ】ヴィオラ【神弓】


 超絶弓使いのヴィオラさんの個スレです。

 荒し、暴言・動画の無断転載は禁止です。

 ※運営側も時々確認しています。発言には気を付けましょう。


456【神速で放たれる一般矢】

また二人がやらかしてるじゃないっすか。


457【神速で放たれる一般矢】

>>456 発言に気を付けろ、やらかしてるのはヴィオラちゃんじゃない、あっちだ。


458【神速で放たれる一般矢】

>>457 そっちこそ発言に気を付けろよ、やらかしてるとか言うな。

世紀の大発見をしてると言え。


459【神速で放たれる一般矢】

どうでも良いけどあのNPCたち、本当に言わないかな?


460【神速で放たれる一般矢】

あの分隊長やってたリーダーは大丈夫だろうけど、全メンバーが喋らないかって言うと、ねえ?


461【神速で放たれる一般矢】

人の口に戸は立てられぬって言うから……


462【神速で放たれる一般矢】

面倒臭い貴族とかに目を付けられなきゃ良いけど。


463【神速で放たれる一般矢】

なお、視聴者の口に戸は……


464【神速で放たれる一般矢】

貴族へのコネがないことを祈るキリッ


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2024年4月20日2巻発売!

吸血鬼作家、VRMMORPGをプレイする。2巻

二巻表紙


1巻はこちら

― 新着の感想 ―
[一言] 貴族へのコネがある視聴者は他国(笑)
[一言] 465【神速で放たれる一般矢】 尚、しゃべった者には熱いハグが待っている 骨張って入るが熱い熱いハグである 誰がするとは言わないが察して
[一言] >そうそう、幸若舞の敦盛。 僕はもともと別に好きではなかったんだけど、 友人が好きでね。よく謳っているのを聞いていたよ。 その御友人さん、色々とはっちゃけた人生を送った挙句、 最後はお寺と…
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