3.GMってあのGMですか?
明日・明後日投稿できないかもしれません。
2022/10/09 ご指摘いただいた誤字の修正を適用。ありがとうございます!
2022/10/10 掲示板のアンカーの>>位置修正
2022/10/11 銅貨と銀貨の計算部分の誤字修正を適用。ありがとうございます!
2022/10/21 篠原さんとの待ち合わせ日数再計算して修正。
さて。王都に辿り着いたのは良いけれど、待ち合わせの日まで、まだ現実時間で十三日残っている。
「うーん、折角だし紹介して貰った魔術師を訪ねるとして……住むところも必要だよね。出来れば自炊が出来るところが良いけど……」
王都に来て思ったのは、キャラメイクが、かえって浮いていること。
何て言うか、現実じゃ絶対しないようなカラーリングばかりで、黒髪黒目なんて殆ど居ない。と言うより、プレイヤーはともかくNPCにも居ないってどう言うことなんだろう? もしかして、不吉な色として忌み嫌われるとか、そう言う世界観的設定があったりするんだろうか。
現状NPCに頼りきりな僕としては、そう言う設定があると困るんだけど! いや、でもオルカの町の人達は皆親切だったし……。
そう言うのを調べる為にも、図書館的なところを探すのも良いかもしれない。王都ならきっとあるだろう。入れるのかどうかはさておき。
うーん、とりあえず宿を探すとして……どこが良いのかも分からないから、ひとまずレストランにでも入って、お薦めの宿屋を聞いてみようか。決して人様が作った料理を食べたいだけとか、そう言うんじゃない。
右も左も分からないし、とりあえず現在地から見える範囲でレストランっぽいところは……っと。
「エリュウの涙亭……エリュウってあれだっけ、なんかここまでの道中でもたびたび襲ってきた猪みたいな熊みたいな獣だっけ。あれの肉料理メインなのかな? 店の外観も好みだし、ここにしてみようかな」
正直エリュウの肉は気になっていたのだが、一度も口に出来ていない。道中倒したときは、商人の護衛と言う事もあって血のにおいで他の獣類が寄ってくることを嫌い、解体せずにそのまま置いてきてしまったのだ。商人曰く、「あの近辺であれば他の獣がすぐに食べてくれるので、腐敗した死体が迷惑になるなんてこともない」らしい。
食事の匂いで獣を誘き寄せる恐れもあったので、道中、基本的には兎の一羽も狩れない時は、保存用に塩漬けした肉とこれまた保存用の硬いパン。正直エリュウどころか柔らかくて温かい食事が食べたい気分なのである。
「いらっしゃいませー。お好きなお席にどうぞ」
何と言うか、ファンタジー小説でよく描写される感じのレストランだなあ、と言う印象。良くあるギルド?が併設されてる訳じゃない、完全なレストラン、それも昼時をちょっと外れた時間帯なので、雰囲気も悪くない。
良さげな情報を手に入れる為、とりあえずカウンター席を選んでみた。カウンター越しの壁に、大きな木板がくくりつけられており、メニューはそこにずらっと記載されている。王都の大通りに面していると言うことで身構えたけれど、値段も特段高い訳でもない。
「えぇと……とりあえずエリュウ肉のシチューとペペロンチーノで」
「はーい、少々お待ちくださいませー」
注文を厨房へと伝える為、店員さんが奥へと引っ込む。その隙に再度店の内部をぐるっと見渡してみたが、掃除もしっかり行き届いているし、昼間っから酔っ払って騒ぐ客も皆無。かと言って閑古鳥が鳴いてる訳でもなく、かなり良い店なのではないだろうか。
「お待たせいたしましたー」
予想以上に早い料理の登場に驚きつつも、湯気が上がっている料理の魅力にはあらがえず、早速口に運ぶ。
「あー温かい食事と口の中で溶ける肉の柔らかさの相乗効果すごい」
「ペペロンチーノの辛さが絶妙」
「喜んでくださって何よりですー」
独り言が漏れていた模様。恥ずかしい。
「あ、すみません、一人で盛り上がってしまいまして……」
「いえいえ、お気になさらずー。美味しいって言ってもらえて喜ばない訳ないですよー」
「本当に美味しいです! ところで……この辺りで、おすすめの宿とかありますか? 出来れば長期宿泊出来て、自炊可能かつ安めなところが良いのですが」
僕の質問に、店員さんはしばし考え込む。あ、そんな真剣に考えられると、何だか申し訳ないんですが……。
「うーん、長期宿泊出来る宿ならいくつかあるんですけど、自炊が可能なところは難しいですね。やっぱり宿泊費用は抑え目で、併設のレストランの方で回収をはかるところが多いので」
あぁ、そうか、なるほど。うーん、でも今の手持ちは金貨一枚。銅貨百枚が銀貨一枚になり、銀貨百枚で金貨一枚。パン一つが銅貨十枚なので、現実換算すると銅貨一枚辺り十円と言ったところか。
ここの食事が銀貨一枚なので、およそ千円。と考えると宿はどんなに安くても一泊銀貨三枚は持っていかれるだろうし、それを現実時間十三日分連泊するとなると、ここでは四十四日間。
どう考えても余裕で足が出るんですよねぇ、これが。王都に居る間に誰かからの依頼とかこなして稼がない限りやっていけない……でもコネがない。店員さん曰く宿の食事はちょっとお高いらしいし、これはちょっと厳しいかもしれない。
急に黙り込んだことに何かを察したのか、いつの間にか店員さんは居なくなっていた。うん、金欠の相手するよりもっと注文してくれそうな人の相手するよね。
まあ、ここでぐだぐだ考えても仕方が無いので、とりあえず黙々と食事は進める。最悪、自炊が出来ないけど長期宿泊出来る宿を教えて貰って、部屋を借りてから仕事を探そう。
なんて思っていたら、店員さんが戻ってきて、僕の耳元でこそっと囁く。
「店主――父なんですけど、許可が取れたので、よければうちに泊まりませんか? うちって言っても、この上なんですけど」
「え、それって……?」
「その代わり、お客さん、腕っ節強そうだから食材を穫ってきてもらえれば、って条件付きですけどね。勿論、うちの料理を食べても良いし、自炊してもらっても大丈夫です。上の階にも台所はあるので」
「それは勿論。でも、本当に良いんでしょうか? 見ず知らずの初対面の人間なのに……」
「お客さんがここに入ってきたときに一緒に居た商人さん、うちもよく取引してるんです。
あの人、最南端からでしょ? で、それなりに貴重なものも運んでるので、護衛選びはすごく慎重なんです。
だから、あの人の護衛をやっていた貴方は、この街の商売人からは既にある程度の信頼を得ているんですよ」
そんなことを、ウィンクしながら言うもんだから、僕は思わず呆けてしまった。えぇ、何その……いや、でも護衛は腕より人格なんてこと、僕が人間だったときに馴染みの商人も言ってたしなぁ。あそこの商人と馴染みになった途端に、他の店からも依頼が舞い込んできたんだよな。まさに今と同じ状況じゃないか。
「そうなんですか……。では、お言葉に甘えさせていただきます」
王都に着いて大して時間も経っていないのに、とんとん拍子にことが進んでしまい、正直ちょっと怖いくらいだけれど、早速二階の空き部屋に案内してもらった。
店主さんも店員さんも、今日は疲れてるだろうから食肉の調達は明日からで良いとまで言ってくれて、本当に良い人達である。
一息ついていると、こんこん、と部屋の扉を叩く音。店員さんかな?と思い「どうぞ」と声をかける。
と、そこには見知らぬ女性が。誰だろう? 店主さんの奥さん……にしては若すぎるし。店員さんの姉妹だろうか?
「どうも、初めまして蓮華さん。ゲームマスターのフェリシアと申します」
「あ、はい……?」
げぇむますたぁ……あのゲームマスター? 小説界隈で、ログアウトボタンを消失させたり、やらかしたり、プレイヤーに凸したりする、あのゲームマスターだろうか。
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【個スレ】名前も呼べないあの人【UIどこぉ】
名前を呼びたくても呼べない、あの人に関する話題です。
なんでNPCすら名前呼ばないの?怖いんだけど。
※運営側も確認してあげてください。何だかおかしいです。
1【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
と言うわけで個スレ立てました。
なお、配信者の名前は全アーカイブをさらっても不明だったので、こうなりました。
デフォ名は俺は知らん。運営なのかAIなのか、アソビゴコロガアリマスネ。
スレタイで誰の配信か分からない人はこちら つ[リンク]
2【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
>>1 スレ立ておつおつ。
3【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
>>1 そんな馬鹿なと思って俺も全アーカイブ確認したけど、まじで名前が分からんかった。
ええ、NPC相手にあんだけ会話しといて名乗ってないのまじなんなんwww
4【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
>>3 それな。もうすぐ王都に着くわけですが。初期町から離れても名前分からんとか前代未聞過ぎる。
5【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
あんだけ料理に命かけてる人なのに道中ほぼ保存食なの不憫で笑える。
6【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
>>5 不憫なら笑ってやるなよ……
7【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
てか、この人王都行ってどうすんの? メインクエ受けてないんでしょ?
直るまで初期町動かない方が良かったのでは。
8【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
>>7 誰かと待ち合わせしてるって何度か会話に出てるし、移動しないわけにはいかんのだろーよ。
だがこのゲーム、宿なり家なりで定期的に寝ないとデバフ食らうし視界が持ってかれるしで、散々だから、王都で宿探すじゃろ? 金はどうするんだ?
9【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
あっ……(察し
初期軍資金なんて受け取れてないですよねーインベもシステムメニューも開けないし。クエ報酬で金も貰ってないし詰んだのでは。
10【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
>>8 すまん、視界が持ってかれるって何?
11【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
>>10 寝不足扱いで強制的にうたたねしだす。文字通り勝手に目を瞑るから何も出来ない。狩り中とかだとまじで詰む。
12【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
なあ、でも王都までの道中でうたたねしなかったし、これ別に王都で宿とらなくても道具さえ買えば野宿いけるんでは?
13【闇の魔術を防衛する一般視聴者】
本人が気付ければね。多分ちょいちょい現実で攻略ぐぐって情報得てるっぽいから野宿情報知らんやろ。アーカイブで気付けた俺らが初出じゃね。