表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/316

30.現実とゲームの戦闘の違いって何か分かる?

台詞内の行間を詰める方向にしました。

読みにくい方は各自行間の設定を調整して下さい(なろうにそんな機能があるとは……

 僕は今、自分がトッププレイヤーだったと言う事実に衝撃を受けている。


「ええ……いつからそんなことに……」


「具体的にいつ、って言うのは難しいけれど。トッププレイヤーって一口に言ってもね、色々種類があるのよ。


 例えば攻略トップとか、戦闘トップとか、金策トップとか、生産トップとか。


 公式側でランキング形式で出しているわけじゃないから、トッププレイヤーの概念は今のところプレイヤー間での知名度とか、ギルドでのランクだとかで判断されているわ。


 で、貴方は攻略と戦闘のトップ。王都クエストの発見者及びその攻略方法発見者。恐らく初の魔術師プレイヤーかつ、ギルドランクも最速Dランク昇格資格保持者。そう言われれば納得いくでしょう?」


「た、確かに……。ちなみにヴィオラはなんのトッププレイヤー? 戦闘は確実だよね」


 僕の言葉にヴィオラは頷いた。


「ええ。私も今回の王都クエストでDランク昇格資格を得たから、戦闘面で言えば貴方と同等ね。まあ、私は弓だけだから厳密に言えば違うけれど……。他には、一応生産の方もトップに食い込んでいるわね。ポーションと、武器生産の。と言っても、私はあくまで自分が使うものを自作しているだけだから、こちらはそのうち生産ガチ勢に追い抜かされるでしょう」


「なるほど。攻略のトップではないんだね?」


「うーん、ちょっと前迄なら攻略もトップだったと思うけれど。王都クエスト終了時に、東側の道が解放されたのは知ってる? 私はまだ一度も足を踏み入れていないから、攻略のトップではなくなったと思うわ。攻略のトップって判断が難しいのよ。進行速度を指す場合と、所謂(いわゆる)隠しクエストに気付く為の情報量の多さを指す場合と。私の場合は進行度で、貴方の場合は情報量の多さ、って感じね。進行度の方はどれだけこのゲームに時間がかけられるかによるから、入れ代わりは激しいわ」


「僕はそもそもクエストが受けられてないから、進行速度って言う意味では対象外だね。その分NPCと交流することが多かったから情報量も多かったって感じか……納得がいったよ。それにしても、東側が解放されてたなんて知らなかったなあ。どうする? さっきはこの世界について調べるって話だったけれど、東に行ってみる?」


「んー……装備をちゃんと調えないと東に行くのは厳しい気がするよね。で、よくよく見たら貴方武器を買ったのね?」


「うん、昼にナナとガンライズさんに会ってね、オークションで代理購入して貰ったよ。そのあとにアインの装備を買いに鍛冶屋に行ったって感じかな。アインの装備は大きすぎて、固定する為の器具が出来る迄は鍛冶屋に置いてある。僕もこの刀を固定する為の器具を依頼中だけど、まあ手に持っててもそんなに苦じゃないからね」


「二人とも武器が揃ったのは分かったけれど……防具は?」


 ヴィオラが呆れたように聞いてくる。


「正直、僕ら二人とも防具要らないんじゃないかな、と思って。アインに関しては鍛冶屋の店主に守る臓器がないよねって指摘をされたって言うのが一点。で、機動力と重量どっちを取るかの検証をしてから考えようって話で保留中。僕に関しては元々防具を着けるって言う感覚があんまりないから……」


「普通は誰だって武器や防具を着ける感覚なんて持ち合わせてないわよ……。アインくんに関しては分かったけれど、貴方は防具をしなくて良いの? 一個だけ忠告するけれど、現実とゲームの戦闘の違いって何か分かってる?」


 突然の問いかけに僕は焦った。現実とゲームの違い……。うーん。ゲームでは死んだところで拠点に戻る訳だから、これかな?


「死なないこと?」


「残念、外れよ。いえ、合ってると言えば合っているけれど、今言いたいことはそうじゃないの。例えば現実で、貴方は腕を何度か切られた。武器を振るうのに支障はあるけれど、まだ戦える。でもゲームではね、HPが全てなのよ。腕を一度切られる度に、確実にHPが減っていくの。貴方がいくら”これくらいなら大丈夫”と思っていても、HPがゼロになった段階で問答無用で拠点に戻される」


 ヴィオラはそこで一呼吸おいた。多分、一語一語噛み含めるように説明する為だろう。そこまでしなければならないほど、僕の感覚がずれていると言いたいらしい。


「そこに気合でどうにかなる要素はない。MPもそう。現実に魔法は……まあないけれど、あると仮定すると、気合でどうにか捻り出すことが出来るかもしれない。でもゲームではMPがゼロになったら問答無用で魔法は使えなくなる。そこが最大の違いよ。だからね、確実に攻撃を避ける自信がないなら、防具はあった方が良いってこと。勿論、機動力を重視するスタイルでプレートアーマーのような重鎧を着けるのは変だけれど。でも、洋服のままって言うのはいくらなんでも危険すぎない? 痛覚だって現実同様なんでしょう?」


 正直僕的にはちゃんとした防具に良い思い出がない。そりゃ何度か戦争を経験してきて、何度か着ける機会はあった。けれど、しっかりとした防具はそもそも騎乗で大して動かない前提だったから、重いし動きにくいし参戦出来ない割に騎乗と言うだけで首級と判断され、狙われやすい。もはや何の為に着けているのか分からない状態だった。


 で、徒歩武士として参加したときの装備はどうだったかと言うと、僕含めて大半が腹当・腹巻。よくて胴丸。つまりヴィオラが言うような全身を覆う鎧を着けている人なんてほぼ皆無だったのだ。


 時代が下ってからは当世具足なんて言ってそれなりに頑丈な防具が増えたみたいだけど……正直、その頃には僕は吸血鬼になっていたので、実は機動力重視で着物のまま突っ走っていたんだよね。


 当時の絵巻に載ってる妙に軽装な兵士は、実は僕だったりする。巷じゃ色々言われているみたいだけれど。事実はいつも一つです。


 とは言え、確かにこのゲーム内では吸血鬼としての身体能力が十全に発揮出来る訳ではない。HPの存在が絶対的な以上、一切防具なしは厳しいと言うヴィオラの意見は正論な訳で。


「分かった、さっき行った鍛冶屋で、なるべく動きやすい防具がないか相談してみるよ。ちなみに、HPの減りは部位毎に違う認識だけれどあってる? つまり、心臓とか頭をやられると一気に体力が減ると言う認識なんだけれど」


「ええ、それであってるわ。ちなみに頭装備に関しては非表示にしてる人が多いわね。見た目がださいから。まあ、非表示にするだけで、機動力や視認性が悪いのは変わらないけれどね」


 ああ、頭装備は視認性なんてものも気にする必要があるのか。僕がまともに防具をつけていた鎌倉時代って、正直頭って全然守ってなかったんだよなあ……。


「僕の装備が完成する迄は調べ物に集中する感じ?色々考慮する点も多そうだし、時間がかかっちゃうかもしれないけど……。」


「そうね。それが良いと思うわ。私も今回の報酬を使って色々アップグレードする予定だから、時間がかかるのはお互い様よ」


 と、話がまとまったところで、僕は昼間の出来事を思い出した。


「そう言えば、店売りの防具を買ったらサイズってどうなるの? 鍛冶屋さんは僕のサイズなら調整料込みだって言ってたけれど、巨漢プレイヤーはいつも上乗せ金額がかかってるってこと?」


「ああ、そう言う設定なのね。でも実際には料金はかからないわよ。と言うより、調整必須だったらオークションで転売したりプレイヤーメイドのものを売るにしても、サイズ展開が必要になっちゃうじゃない? だから、買った装備はプレイヤーが身につけた段階で勝手にサイズが調整されるわ。そういうところが如何にもゲームって感じよね。勿論、オーダーメイドで誰かのサイズに合わせて作って貰った防具でも別の人のサイズにちゃんと調整されるから、使わなくなったタイミングで売りに出して問題ないわ」


 おお、なんというファンタジー。じゃあアインのサイズがないからって迷う必要はない訳か。


「凄いなあ。あれ、じゃあ今日買った刀も長さが気に食わなかったら磨上げる気だったけど、そんなことしなくても実はサイズ調整可能なのかな」


「磨上げ……現実的なサイズ調整のことかしらね。ごめんなさい、武器に関してはまだ分からないわ。そもそも大抵のプレイヤーが初心者だから、自分にとっての丁度良いサイズなんて知らないでしょうし、私は自分好みのサイズで自作しちゃってるから、そう言う場面に遭遇したことがないのよね。調べたら分かるのかもしれないけれど」


「そっか。でもまあ良いかな。今のところは丁度良い長さだったから磨上げる予定もないし。将来的に困ったときに調べてみるよ。それにしても武器を自作って凄いよね。僕は刀を自分で作るのは無理だなあ……」


「あ、あー……そうね。私は元から趣味で作っていたから、うん。ほら、刀と違って弓の材料は基本的に木材だから、現実世界でも作ろうと思えば簡単に試せるじゃない? さすがに私も鍛冶は試せないもの、無理よ」


------------------------------


【個スレ】名前も呼べないあの人【UIどこぉ】


 名前を呼びたくても呼べない、あの人に関する話題です。

 なんでNPCすら名前呼ばないの?怖いんだけど。

 ※運営側も確認してあげてください。何だかおかしいです。


660【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

スケルトン様の名前はアインに決まったようです。


661【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

一、ジェンク。二、ブリック。三、松田。四、アイン。

どの名前も骸骨キャラクターを連想するのは俺だけじゃないはず……。


665【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

盾と槍だって。ちゃんと自分で使いたい武器決まってる訳か。

今の所アンデッドをテイムする方法分かってないけど、これ出来る様になったら目当ての職業アンデッド引き当てるまでテイミング契約し続けるというガチャ要素……?


666【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

考えただけでつらすぎるwww

むしろアンデッドが使う武器に自分が使う武器を合わせた方が早い説……。


667【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

熟練度の上げ直し考えたらそれも現実的じゃないよな。。。


668【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

タンク良いなー。プレイヤーのタンク少なすぎる問題。


669【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

実際のところスキルが存在しないんだからタンクはどうやってヘイト集める?ってなる。

現状一番火力高い奴がヘイト集めても平気なくらい硬くなるか、ヒラ連れて行くか、皆平等にヘイト集めるように管理するのが一番良い気がする。


673【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

最近珍しく長いことログアウトしてるよなあ……。なんか寂しい。


674【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

ま、まさか彼女とデート……


675【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

わ、私というものがありながら!?


691【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

お、ナナさんとガンライズさんだっけ?

ちゃんと分隊員と仲良くなっててよきよき。


692【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

あの子ちょっとコミュ障なところがあるでしょう?

保護者としては心配だったのよね。

ちゃんとお友達が出来たようで安心したわ。


693【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

お前ら誰目線だよwww


695【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

おお、ついに刀を買うのか。

ガンライズさん説明GJ


696【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

耐久度の概念が一瞬にして崩されたんだが……


700【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

そうはいってもやっぱ蓮華くんでもアンデッドみたいなのと戦うと耐久度一気に減るってことでしょ?

高いに越したことは無いんじゃ無いの。特に俺らは武器の熟練度低いからあっと言う間に消耗するし。


710【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

まじで蓮華さん日本刀詳しいなあ。刀使う機会とかどこにあるのまじで?


717【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

ヤのつく職業説が……。


720【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

仮にそうだとしても今時日本刀使う? どう考えても銃が一般的では……。

使うにしても太刀じゃなくて短刀。ドスとか匕首(あいくち)とか言ってるイメージ。


728【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

やっぱり残るは不老不死説じゃん。

アンデッドじゃなくて人魚の肉食べて不老不死になった説を俺は推す。


735【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

不老不死のヤ○ザだったら日本刀使ったことありそう


736【闇の魔術を防衛する一般視聴者】

なんでそこ混ぜちゃったの?ねえ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2024年4月20日2巻発売!

吸血鬼作家、VRMMORPGをプレイする。2巻

二巻表紙


1巻はこちら

― 新着の感想 ―
[一言] 居合道とかの選択肢は……………ww
[一言] ヤではなく、元武のつく自営業。今はしのつく自営業w
[良い点] セリフ内の行間を変更した今の方が読み易いです。 [気になる点] ゲーム内で仕事を始めるまでにコクーンは改修できるのか? 仕事内容が配信されたら、作家が身バレしそう。 しかも小説の内容まで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ