聖なる存在
聖なる女と書いて聖女。
聖なる男と書いて何て読む?
99代目聖女が、俺を100代目聖女として指名した。
「今までは女性にしか光属性は受け継がれませんでしたが、神の加護まで付いた光属性とは…。歴代聖女より遥かに強い力ですわ」
『なぁ、このチカラはアンタに渡せないのか?』
「無理ですわ」
『男だぜ、俺。神官じゃねーしさ』
「聖なる女で聖女。ならば、聖なる男…いいえ主で聖主はどうですか」
『…聖なる主か。良いかもしれないな…』
その日から俺は聖女ではなく、聖主として働いた。
人々の怪我や病を治し、天候が荒れれば鎮め、様々神に祈りを捧げ、世界の安寧を祈る。
「聖主!貴様は危うき存在だ!」
「うむ。余りにも巨大すぎるなそのチカラ」
「次の聖なる者がいないが…コレだけ繁栄してるなら…」
「…私は反対だ!神の加護まである者に死刑は!」
「ふん!たかだか聖なる者」
用済みか俺は…。
仕方ないと思う。余りにも巨大すぎるからなチカラが。
地下牢にて死刑を待っていた。死にたくないが各国が決めたなら仕方ないしな。
「失礼します!」
『ん?』
「足元ですよ」
足元を見れば、小さな妖精がいた。
「ルンディ中立国が貴男を迎えに行けと」
『ルンディ中立国か…俺を助けようとした。だがな、俺如きに危ない橋を渡るのは止めろ』
「しかし…」
『カミサマってさいるか分からねーけど、もしいたらルンディ中立国以外は滅びるぜ。ちゃ~んと見てるぜカミサマ(笑)』
「…どうしても?」
『あぁ。アンタもわざわざありがとうな。そうだ、コレだけしかないが、ルンディ中立国国王とアンタの国と他に俺を助けようとした国にプレゼントだ』
俺は俺の髪の毛をザクザク斬り、三編みにし、妖精に渡した。
『アンタ等の国々に神の加護が与えられますように』
「ありがとうございます…聖主様」
『ほら、帰った帰った』
妖精が姿を消して数日後、俺は処刑された。
処刑され数分後、雨が3ヶ月降り、雪が降り続き、ルンディ中立国とルンディ中立国同盟国は不思議なチカラで護られたが、難民を受け入れた瞬間雨が降り、追出した瞬間天候は元に戻った。
やはり俺は処刑したら駄目な存在だったと、罪の擦り合いをする醜い争いがおきた。
『んぎゃ…ふんぎゃふんぎゃ』
「元気な男の子ですよ陛下」
「そうか!」
「そして…聖女の刻印が」
「…また産まれてきてくれたか、聖主デューイ様」
俺は聖主。
処刑されたが、何故かルンディ中立国国王の息子に生まれ変わった。
安心安泰な人生に、
乾杯っ!!!!
読んでいただきありがとうございます。
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