二〇二四年三月五日
その一族は、生まれ落ちてすぐに呪印を刻まれる。かつて犯した罪を、決して忘れることの無いように――
という言葉が突然降ってきたんですがどうしますか? どうすればいいですか? あなたならどうしますか?
現代を舞台にした伝奇物かなぁ? 闇に蠢く異形を狩る一族? あっし、日本刀が好きでやんすから、妖刀使いの高校生でどうでやんしょ? ってことはローファンタジーか。書いたことないジャンルだな。
呪印が命を吸って日本刀に異形を斬る力を与えるとか? 戦うたびに寿命が縮まる。その一族は三十歳まで生き延びるのは稀なことなんだって。しきたりに縛られ、戦いに明け暮れ、人としての幸せを知らずに死んでいく。
「すべてはお前たちの罪。咎人の血を継ぐお前たちは、償わねばならぬ」
とか平気で言っちゃうヤな奴が司令官的な立場にいる感じ?
主人公は、アレだな。私の好みの問題で、その一族の男の子の同級生の一般人だな。何の力もない普通の高校生。偶然異形と戦う現場に遭遇して助けられるヤツだ。そして主人公はその一族の背負わされた過酷な運命を知る。
「ふざっけんな!」
突然怒り出した彼の様子に目を丸くする。
「なんでお前が、そんな、ボロボロになってバケモンと戦わなきゃなんねぇんだよ!」
熱血だな。彼でも彼女でもいいな主人公。物語としては主人公が何らかの力に目覚めて、みたいなほうが王道だし、展開もしやすいんだろうけど、ここは私らしくひねくれていきたい。主人公はずっと無力なままがいい。強い人間が戦うのではなくて、強くない人間が知恵と勇気で、何より誰かを助けたいという意志によって戦う物語が書きたい。たった一人のわずかな力が、戦局をがらりと変える一押しを生む、そういう戦いが描きたい。『大きなカブ』で最後にネズミが力を貸したおかげでカブが抜けたような、そういうもの。
異形が現れたら全力で逃げるよ。だって死んじゃうから。だけど、自分を助けようと命を賭ける誰かがいたら、逃げらんないじゃない。怖いけど。逃げたいけど。死なせたくないから知恵を絞る、勇気を絞り出す。それこそが未来を切り拓く。名前のない人間賛歌だ。
そんなお話、書きたいよねぇ。書ける自信はまったくないな。アマゾンギフト券狙いで書いてみるか。締め切りまでに書きあげるの絶対無理だわ。私が代わりに書いてやるぜって人がいたら、ぜひどうぞ。




