二〇二二年五月二十二日
スーパーは発見に満ちた魅惑のテーマパーク。よおく目を凝らして見てごらん。ささやかな感動があちらこちらに転がっているよ。
春菊って、ローマ、って呼ばれてるのね。今日初めて知った。正確に言うと大葉春菊のことをそう呼ぶんだって。西日本を中心に栽培されている春菊らしいよ。一般的な春菊は中葉春菊なんだって。へぇ。春菊に大葉とか中葉とか種類があることも知らんかったわ。そして、春菊がどうしてローマって呼ばれているのかもよく分からないんだけどね。全ての道は春菊に通じるとか、なんかそんな深い話なのかな? ふかいって入力して変換したら腐海って出たわ。腐ってやがる。早すぎたんだ。
で、まあ、何の意識もせずに春菊を買ったわけさ。おひたしにでもするかってね。どうせ今日明日に食べるんだから、賞味期限が短くてもいい。だから三割引きのを買ったんです。買い物かごに入れて、レジに持っていくわいな。バーコード、ぴってやるわいな。そうすると、レジのディスプレイに品名が表示されるわいな。
ローマ(三割引き)
……何があったローマ。三割も引かれちゃったよ、何かが。債務不履行でも起こしたのか。ベネツィアは二割増しだろうか? ミラノの状況を確認しろ!
一瞬で脳内を駆け巡りましたよ、ドラマが。緊迫感急上昇ですよ。三割も失ったら、それが何であれ大事じゃない? 謎の大怪獣が現れて市街の三割が消失、とか。もうM78星雲から光の巨人を呼ぶしかない、イタリアに。
そうこうしているうちに、買い物かごの精算は進んでいく。かごにひっそりと潜ませたおやつとかね。自分で買うのにひっそりとも何もないんだけどね。で、最後に、一玉丸ごとのキャベツの番になった。硬くて重いから買い物かごの底に置いてたので最後にご登場よ。袋に入ってなくて、バーコードもないから、店員さんが手打ちで入力。チーン。
キャベツ(裸)
いやん。
いやんシェクシー。
シェクシーキャベツ。
まあ、私の日常はだいたいこんな感じよ。