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二〇二三年六月三日
「今日の夕飯、なんにしようか」
「冷蔵庫の中には何があるの」
「うーん、豆腐ばっかり余ってんだよね。賞味期限明日のが三丁。もう食べちゃわないと」
「なぜ三丁も」
「豆腐が食べたくなって買って、それを忘れてまた買って、さらに忘れてまた買ったっぽい」
「それは致し方なし」
「冷奴でいい?」
「三丁は厳しいな。麻婆豆腐なら三丁いける自信はある」
「ひき肉もネギもニラもないよ」
「買ってきますよそのくらい。マーボーのためならば」
「でも、豆腐がちょっといい絹豆腐なんだよ。麻婆豆腐にしたら崩れそう」
「だったら固めの絹豆腐も買ってこようか」
「そう? だったら作れるよ、麻婆豆腐」
「よっしゃ決まり。んじゃ、ちょっくら行ってきますか」
「ついでにビールも」
「がってん!」
――翌日
「今日の夕飯、なんにしようか」
「冷蔵庫の中には何があるの」
「うーん、豆腐ばっかり余ってんだよね。賞味期限今日のが三丁」
本末転倒な話。