二〇二三年四月九日
書きたいものばかり溜まっていく我が身を嘆く今日この頃、皆さんいかがお過ごし? 物語が形になんねぇ、なんて悩みは子供電話相談室くらいにしか相談できないよね。夏休みまで待たねばならぬのか。夏休みなんてありはしないけど。
そんなわけで今回は、曲尾仁庵的書きたいものランキングベストファイブをお届け! 忘れ去ってしまわないようにするための備忘録ともいう。タイトルを考えただけでもう書いた気になっちゃうという弊害はどうやって克服したらいいですか?
第五位 『盗人に追い銭』
ジャンルは歴史、人情物。落語のような語り口の物語。度を越したお人好しの男と、その男の家に盗みに入った若者の話。
「これも持ってけ!」
逃げ出した若者の背に、男は財布ごと投げつけて叫びます。
「その代わり、幸せになれ! 必ず、幸せになれよ!」
財布を拾い、若者は無言のまま走り去ります。若者が去った後の地面にはぽつりぽつりと、涙跡が残っていたのでございます。
第四位 『Monologue~ある恋に関する考察~』
ジャンルは現代恋愛、高校生のお話。女の子の一人称。なんとなくぼんやりと生きてきて恋愛を意識したことのなかった主人公が、一人の男の子との出会いによって変わっていく物語。
恋をしている。
今、恋をしている。
でも私は知っている。
この恋は、偽物だ――
第三位 『偽善』
ジャンルはミステリー、取調室物。特別背任の容疑で逮捕された大手企業の社長と捜査二課の刑事による息詰まる密室の攻防を描く。
「お前は罪を負ったぞ!」
社長は血走った眼で刑事をにらんだ。
「知らねば知らないままでいられた罪を、お前は自ら負ったのだ! 法が、正義が目を背けてきた罪を、蔑ろにされてきた命たちを、お前は今、負ったのだ!」
その全霊を込めた憤りを受け、刑事は何も言い返せずにいた。
第二位 『探偵は蒸気と踊る』
ジャンルは空想科学、スチームパンクハードボイルド探偵アクション。蒸気機関が独自進化を遂げたレトロフューチャーのヴィクトリアンロンドンを舞台に、もはや誰も使わなくなった火薬銃一つを頼りに生きる中年男の物語。
「今時火薬銃とは、大した頑固者だよ旦那は」
店主はそう呆れながら、手際よく銃を分解していく。探偵は不快そうに鼻を鳴らし、煙草に火を付けた。
「蒸気銃の手応えは好きになれねぇ」
第一位 『異端の迷宮職人』
ジャンルはハイファンタジー、ダンジョン物。若くして【マイスター】の称号を得ながら、己の罪に耐えきれず地位も名誉も財を捨て逃げ出した男の、再生の物語。
人は、それほどまでに偉いのか?
ただ人であるというだけで、
他の命を蹂躙できるほどに――
どうすか? 一つくらい興味を惹くものがありましたか? 私はこの五つ、全部読みたいんですけど。最大の問題は、全然書ける気がしないってことだけどな!
全然興味を惹かれないぜって人のために、ランク外の作品をタイトルだけご紹介! まだ書いてないのに作品も何もないけどね。
『月の王』(童話)
『流れ者と天操の巫女』(童話)
『ペンジャミンは物申す~人魚姫異聞~』(童話)
『英雄の条件~桃太郎異聞~』
『灰かぶりは太陽の夢を見る~シンデレラ異聞~』(童話)
『狂愛~猿蟹合戦異聞~』(童話?)
『白馬の王子様と私 ~世界の終わりにうたう歌~』(童話)
『なきむしうさぎの大冒険』(童話)
『星追う旅路』(童話)
『騎士と歌姫』(童話)
『まずは旅立て、勇者殿!』(コメディ)
『お願いしますよ、魔王様!』(コメディ)
『大家さんと魔王』(コメディ)
ランク外は童話とコメディだけになっちゃったなぁ。童話もコメディも心に余裕がないと書けないので、絶賛デスマーチ中の今の状況では無理だからランクが低くなっている。これらも私が読みたいことに変わりはないんだけどね。
まあ結局、何が言いたいかって言うと、
もう残業したくねー
ってことなんすけどね。ちくしょう、お金貯めてぜったい早期退職したるからな!
全て書き終えるのと私の寿命が尽きるの、こいつは競争だねっ




