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雑記  作者: 曲尾 仁庵
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二〇二二年十月十四日

「僕はもう疲れたよパトリチェフ」

「よせよ。痛いじゃないかね」


 そんな妄想から始まります、相も変わらず雑記でございます。そろそろ更新されないぜ警告が出る季節につき、慌てて書いてるんだぜ。雑記ってのは何を書いたっていいんだよ、と開き直って本文にクレクレを書いて永久追放。そんな未来もいいかもね。


 私のウチの近所には業務用スーパーがあってさ。いろんなものが売っててさ。結構安い値段でさ。意外と重宝していてさ。それを猟師が鉄砲で撃ってさ。煮てさ、焼いてさ、食ってさ。いや、撃っちゃいかん。だいじょうぶ。週末だからってだけさ。

 基本的に食材を買いに行くんだけど、食材だけが売っているわけじゃなくて、何となく眺めて回るのもちょっと楽しい。先日も鮮魚のコーナーでメダカが売っていたんだ。小さな水槽で泳ぐメダカの群れ。癒されるような、狭い世界に閉じ込められた哀れさを感じるような。不思議な気持ちで眺めていたよ。するとふと、値札が目に入ったんだ。


――サタン 1,280(税別)


 そうか。日本のデフレもついにここまで来たか。まさか、終末の獣が1,280円で買えるなんて。まあそれ以前にサタンが業務スーパーに売っているこのシュールさよ。何を想ってメダカにそんな名前を付けたのかお聞きしたいわ。


 ま、メダカは飼いませんので、釈然としない思いを抱えたまま買い物は進む。野菜コーナーの一角には農家から直接仕入れた野菜が並んでいるよ。生産者の名前と写真がついていて安心だね。葉物野菜をカゴに放り込む。大根は安いけど、ちょっと小さいので今回はパスだ。一通り回り終え、精算に向かおう。店員さんが手際よくバーコードを読み込んでいく。リンゴ、キャベツ、牛乳、アジの干物。軽快な音が響く。そして、地元の農家さんが作った野菜がピッと読み込まれ、レジに名称が表示される。


 宮崎一郎 100円


 ……いや、分かるよ? 私は宮崎一郎氏を100円で買ったのではなくて、宮崎一郎氏が作ったサニーレタスを買ったんだ。生産者の名前がそのままレシートに印字されるんだね。わかるよ? わかるけど……


 なんか、ちがくね?

 もうちょっと表現工夫しない?

 なんか意味もなく罪悪感。

 宮崎一郎さん、一度も会ったことはないけれど、でもあなたの価値はけっして100円ではないよ! だから、頑張れ!


 そんなことを思った、ある日の昼下がりの出来事。

ちなみに「宮崎一郎」さんは仮名です。実在の人物の名前ではありません。

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