二〇二二年九月二十七日
こっそり書いている作品が、もうすぐ終わる。十万字を超える作品を終わらせるのは初めてなのだが、実は今、ちょっと不思議な、あるいは不可思議な気持ちになっている。終わりを目指して書いてきたし、終わらせないといけないというある種も義務感を持って書いてきた、にもかかわらず、なぜか、終わらせたくないな、と思っている自分がいる。
ハッピーエンドではない、というのは一つの原因だろうか? 描いてきた世界に、キャラクターに、愛着が湧いたということもあるのだろう。当初描いていた結末を変えて、しれっとハッピーエンドにしてやろうか、と思わないでもない。しかしそれは、やはり違うとも思う。そうするのであれば、今採用している表現方法に意味がなくなる。普通の、まともな小説のような書き方をすべき物語になる。救われない物語だからこそこの形式を選んだのだ。今さら変えられない、とも思う。
迷いが展開に影響している、気がする。本来はもっと早く終わるはずだった。冗長になっているのではないか。もっと残酷に削ってしまうべきだっただろうか。終わらせたくない気持ちが、先延ばしにしたい気持ちが、話数を増やしている。
いつか終わりが来る。どこかで終わらせなければならない。終わらせることをためらうなんて、書き始めたときには思いもしなかった。だって、描きたい場面があって、だから書き始めたのだ。その場面に辿り着きたくて、辿り着くために書き続けたのだ。それなのに今、少し、書きたくないと思っている。
書き続けて初めて見えるものがあるんだなぁ。




