嵐を呼ぶ転校生 そして誰もいなくなった
翌日、5人は朝から浮き足立っていた。
そのためケアレスミスも多く、そのフォローで俺の仕事が滞ってしまった。
「ごめんねかいちょー」
「私とした事が、申し訳ございません」
「すまない」
「会長お仕事増やしてごめんね」
「ほんと、ごめんね」
口々に謝罪する5人を、
「あぁもういいから、さっさと食堂へ行け。約束があんだろ?お前らの大事なモモちゃんとやらを待たせるな」
シッシッと手を振って生徒会室から追い出した。
チャイムの音で集中が切れる。
いつの間にか昼休みが終わっていた。
5人はまだ帰ってきていない。
きっとそのまま授業に出たのだろう。
軽く伸びをすると俺は腰を上げた。
少し遅れたが教室に向かうことにする。
確かこの時間は現国だったはず。
手早くデスクの上を整理し生徒会室を出る。
ふと寂しさが過ぎったが、首を振りやり過ごす。
「あぁ、昼飯食い損ねたな」
カチャリとオートロックの音が誰もいない廊下に響いた気がした。
放課後もあいつらは来なかった。
翌日も。
明日は来るかもしれない。
来ないかもしれない。
そして今日も俺ひとり。
きっと明日もそうだろう。
敷地内の林の小道を一人歩く。
最近ここも澱んできている。
左足、右足、左足。
右足、左足、右足。
左足、右足、左足。
夜空に見える北斗七星。
あぁ、明日もきっと晴れるだろう。