変わっていく関係 トリオ
翌日の昼休み、隊長他2人が勤務表を持ってきた。
「6人で当たっていただけるのですね。…おや?君たち3人は…」
「毎日人員が変わるようでは毎回申し送りが必要で効率が悪いと考え、僕ら3人は毎日来ることにしました」
「いいのか?」
『はい!もちろんです!』
嬉々として答える3人に一瞬腰が引ける。
「むしろ役得です!」
ムフーと鼻息も荒く力説する竹内。
「毎日楡崎様とお会いできるこの僥倖」
両手を胸に当てうっとりとそう言うのは竹内よりもさらに小柄な副隊長の飛梅真人。
3年の飛梅は、本来ならば先輩と呼ぶべきなにだが、本人がそれを拒否したため、仕方なく呼び捨てにしている。
竹内がポメラニアンなら飛梅は黒のチワワ。
フワサラな黒髪にウルウルの大きな黒い目が愛嬌たっぷりだ。
「尊い…」
涙を流しながら天を仰いでいるのは、1年生ながら親衛隊随一の体格を誇る蘭伽音だ。
蘭の身長はたぶん190cmはある。
でかいが、地味だ。
格闘技の経験はあるかと聞いたら、見るのも怖いと返された。
俺が近づくとすぐに腹を見せて撫でろと要求する、角の駄菓子屋の看板犬の黒のラブラドールに似ている。
昨日もいの一番に並んでいたし。
「楡崎さん」
「なんだ?」
「あなたの親衛隊は素敵な隊ですね。あなたとの関係性も素晴らしいと思います」
「あぁ、そうだな。みんな俺にはもったいない奴らだ」
「本当に仲がいいのですね」
「時間を見繕って顔を出すようにはしていたからな。友達として付き合いたいと思っていたんだが…」
「親衛隊の成り立ちを考えるとそれは無理というものでしょう」
「せめて様付けはやめてほしい…」
『畏れ多くて無理です!』
「これだから…」
「では名前の方にしたらいかがですか?苗字よりも親しげですし」
「そうだな。よし、じゃぁこれからは俺のことを名前で呼ぶように!これは命令だ」
そう言ってニヤリと笑う。
「あぁ…眼福…心のメモリーに焼き付けなきゃ」
「はぅっ!」
「尊すぎます…」
こいつら、可愛いな。
「蘭くんの苗字が松ならもっとおもしろ……おめでたいのですが」
松 竹 梅 かよ。
てか、面白いって言いかけただろう、今。