変わっていく関係 親衛隊
集まってくれた隊員たちを前に俺は頭を下げた。
「集まってくれてありがとう。こんなことになってしまって申し訳ないと思っている」
代々の会長親衛隊が使用している部屋に入ると、全員が立ったまま迎えてくれた。
隊員たちの誰もが浮かべているのは不安そうな顔。
内心はわからないが、否定的な表情の者はいない。
俺は頭を下げた。
「楡崎様、どうぞ頭をあげてください。楡崎様に罪はありません。僕たちこそ、何もできなくて申し訳ございません」
進み出た同学年で隊長の竹内宏太が泣きそうな顔で頭を下げると、他の隊員も一斉に「申し訳ございません!」と頭を下げた。
「君たちが謝る必要はない。俺が不甲斐なかったんだ」
そう言うと
「いいえ!楡崎様はしっかりと責務を果たしておられます!他の役員の皆様が…っ!」
「いくら転校生が幼馴染だからといって…」
「ありもしないことで楡崎様を貶めるような話を…」
「あの方々の方がどれだけ見苦しいか…っ」
「いくら美しいからといってもあのようにベタベタと!」
口々にあいつらのことを罵りはじめ、
『本当に見苦しい!』
声を合わせてそう叫んだ。
合わせたわけでもないのに、仲良いなお前ら。
様子を伺うも、隊員たちは俺に負の感情は持っていないように感じる。
むしろ、何故頼ってくれなかったのか、と悲しんでいる。
「心配かけてすまなかった。そして、俺を気遣ってくれてありがとう」
「…!!楡崎様…っ、そのお言葉だけで…親衛隊冥利に尽きますぅぅぅぅっ」
竹内がダダァーと涙を流して俺を見上げた。
見た目は上品な茶色の毛並みの小型犬っぽいのに、中身はとっても残念な竹内を見ていたら、なんだか心が軽くなってきた。
ぽふっと竹内の頭に手を置く。
おお、ちょうどいい丸さ。
柔らかい猫毛も気持ちがいい。
そのまま撫でていると、
「隊長ばかり…」
「ずるい…」
「俺も撫でてほしい」
「ちょっと場所代われ」
「呪…」
「怨…」
隊員たちが殺気立ち、
「はぅぅぅぅっ」
竹内は、真っ赤な顔で鼻血を垂らした。
「あー…、撫でて欲しいなら撫でるが…」
ワラワラと集まって並びはじめる。
俺の親衛隊は残念な奴が多ぃ……
全員並んだ。
そうか、残念なのは全員か……